■Galaxy Nexusのフォント入替え方法(非rooted)のメモ
 近くボリューム問題FixのOTAも来ることだろうからrecovery.imgを損なうことなく本体非rootedのままで日本語フォントの変更を行うためのメモ。SC-04Dで有効かどうかは不明。rootedにしないもののoem unlockは必要なので製品保証がなくなることを覚悟できる場合のみ実行のこと。基本的に質問にはお答えできません。

■前提条件
・MacOSXでの操作説明です(他OSはパスとfastbootコマンドを適宜読み替えてどうぞ)
・Android Fire Transfer等でMacとGalaxy Nexusの接続が確認できていること
・Terminalによる作業に慣れていること
・adbやfastboot-macが利用可能な状態になっていること
・xda等必要なところから必要なものを調達することができること
・最低限必要なファイル
 recovery-clockwork-5.5.0.2-maguro.img
 DroidSansJapanese.ttf(好みのフォントをリネームしておく)

■手順
・oem unlockする
 MacとGalaxy NexusをUSBデバッグオンにしてUSBケーブルで接続する
 一旦GNの電源をオフにしてから、ボリュームキー+/-を同時押ししながら電源オンする
 fastbootで起動したことを確認してMacターミナルの該当pathで以下を入力
 $ ./fastboot-mac oem unlock
 成功したら一度本体再起動しておく
 ※oem unlockすると本体初期化されるので注意

・CWM recoveryで起動する
 GNに再度必要な設定をしてUSBデバッグオンにしてUSBケーブルで接続する
 一旦GNの電源をオフにしてから、ボリュームキー+/-を同時押ししながら電源オンする
 fastbootで起動したことを確認してMacターミナルの該当pathで以下を入力
 $ ./fastboot-mac boot recovery-clockwork-5.5.0.2-maguro.img
 以下の表示が出ればOK
 downloading ‘boot.img’… OKAY
 booting… OKAY
 GNがCMWで起動するのを待つ

・必要なファイルをバックアップする
 GNがCMWで起動したことを確認し以下の作業を行う
 (ボリュームキーで項目上下、電源キーで選択)
 mounts and strage > mount /system を選択
 Macターミナルの該当pathで以下を入力
 $ ./adb pull /system/etc/fallback_fonts.xml fallback_fonts.xml
 SC-04Dの場合には以下をやっておくといいかもしれない(GT-I9250には無い)
 $ ./adb pull /system/fonts/DroidSansJapanese.ttf DroidSansJapanese.ttf.orig

・必要な修正を行う
 Macターミナルでfallback_fonts.xmlを編集する
 $ cp fallback_fonts.xml fallback_fonts.xml.orig
 $ vi fallback_fonts.xml
 以下を他のfamily項目同様に追記して保存する
[code]


DroidSansJapanese.ttf

[/code]

・日本語フォントの置き換えを実行する
 Macターミナルの該当pathで以下を入力
 $ ./adb push DroidSansJapanese.ttf /system/fonts/
 $ ./adb push fallback_fonts.xml /system/etc/fallback_fonts.xml
 GNを再起動してフォント変更を有効にする
 $ ./adb reboot

 これでrecovery.imgを書き換えることなく(本体をrootedすることなく)日本語フォントの置き換えが可能になる。

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とりあえず付けておく無駄ではなかったなまぁまぁ読めたちょっと役に立ったかなかなり良かったかも (まだ評価されていません)
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■Galaxy Nexus GT-I9250 UK版 レビュー
 HandtecにオーダーしてあったGalaxy Nexusが届いたのでレビューを書いておきます。型番のGT-I9250は外箱のタグ等に記載はなかったのですが、パッケージ同梱のQuick Start Guideに型番記載があったのでそれを記載しています。基本的なハードウェア仕様はdocomo版SC-04Dとほぼ同じなので前記事を参照していただくとして、ここでは設定関連や動画再生について中心的にレビューをしていきます。

 到着したGalaxy NexusのAndroidバージョンは4.0.1、ボリューム制御の不具合があるまま出荷されたバージョンということになります。ベースバンドバージョンはI9250XXKK1、カーネルバージョン 3.0.1-ge2433f2 android-build@apa28 #1、ビルド番号 ITL41Dでした。リファレンスモデルということで当然のようにセットアップ段階から日本語が選択可能になっています。ただしフォントはCJKフォントでモトヤフォントは残念ながら導入されていませんでした。日本語入力プログラムは導入されていないので、マーケットからインストールする必要があります。とりあえずATOKを導入してみましたが、問題なく動作するようです。注意が必要なのはデフォルトで使うIMEを切り替えるためにテキストフィールドを長押しする方法が使えなくなっているようで、設定するために「設定>言語と入力>デフォルト」の項目を変更する必要があるということです。最初ちょっと戸惑ってしまいました。

 docomo版では延期されているテザリング機能も当然のように利用可能になっており、無線とネットワーク設定から選択することができます。Galaxy NexusではUSBやWi-Fiテザリングに加えてBluetoothテザリングも有効になっていてびっくりしましたが、何故かヘルプにはBluetoothテザリングの記述がなく少し不思議な感じです。リファレンス端末であることを証明するかのような開発者向けオプションは正式版でもそのまま残されており、USBデバッグ設定などはここでするようになっています。こちらの項目に開発端末IDという名称のものがありアルファベットのコードが表示されているのですが、用途はともかくデバイスを一意に特定可能なコードになっていそうなので扱いには注意した方がよさそうです。

 初搭載されたフェイスアンロックも試してみました。「設定>セキュリティ>画面のロック」から設定を行います。フェイスアンロックの設定をする際に注意が表示されるのですが、「フェイスアンロックは、パターン、PIN、パスワードよりも安全面で劣ります。」と適切に警告されていることには好感が持てます。フェイスアンロックが失敗した場合にパターンかPINで解除できるよう必ず設定させられるので、この辺りも適切だなぁと思いました。フェイスアンロックの認証動作は非常に早くカメラに顔が映ったなと思った瞬間に解除されています。試してはいませんが写真でも解除できてしまいそうなので、面白い機能ではありますがセキュリティとしての期待はあまり持たない方がいいかもしれません。

 SC-04Dのレビューで書いた通りメニューボタン相当の機能がアイコン化されアプリ内の配置が自由になったことで操作感が微妙になっている点ですが、やはりかなり影響があるなぁという実感です。持ち位置を直さないと左手持ちで指が届かない右上にメニューが出るアプリが、ブラウザ・ギャラリー・マーケット・Earth・カレンダー・トーク・プレイス・検索・電卓・電話など。画面下部に出るので支障がないアプリにメッセージ・Gmail・ナビ・マップ・音楽・ユーザー(旧連絡先)などとなっています。主要なアプリでもバラバラ、更にこれらのアプリでも画面上の配置が微妙に異なる(最上段だったり中段だったり、最下段だったりアクションバー内だったり)という具合で非常に統一性に欠けます。メニューボタンを統一的にアクションバーに入れなかったのは愚策としか思えません…。非常に残念です。

残念といえばひとつGoogleアカウント設定での注意があります。今回からGoogleアカウントの同期設定にGoogleフォトが追加されており、Galaxy Nexusで撮影した写真は放っておくと全てクラウド側に自動で同期されてしまうようです。GoogleフォトはおそらくPicasaのことになりますが、とりあえず設定して同期してみてもPicasaでは表示されず…。Google+の写真にも出てこないのでどこにどう同期されているのかよくわからないのですが、クラウド側に置いてしまって万が一ネット上で公開されてしまったりするとまずい写真がある場合には注意した方が良さそうです。風景とかならともかく友人知人が写っている場合にはやっぱり気になりますよね…。この辺り詳しいことがわかれば追記したいと思います。(どうもプリインストールアプリのGoogle+でログインをすると機能が有効に働くっぽい?)

 恒例の動画再生実験もやってみました。Galaxy NexusはMicroSDに対応していないので、動画や音楽ファイルの転送にはAndroid File Transferアプリを使用します。今回はMacOSX版をダウンロードして使いました。アプリはダウンロードしてアプリケーションフォルダにコピー、ダブルクリックで起動するだけです。USBケーブルでMac本体と接続されていればウインドウが開いて本体のフォルダ一覧が表示されるので、Moviesフォルダに動画ファイルをドラッグコピーすればOKです。同期等のコントロール機能があるわけではありませんが、転送も早くそれなりにお手軽という感じです。それなりに便利なのはiTunesのプレイリストから直接音楽のタイトルをドラッグアンドドロップして音楽ファイルを転送することができることで、使い勝手は悪くないかなと思いました。ただプレイリストは端末上で再構成しないといけないのでその点は少し残念です(プレイリストをドラッグすると含まれる曲がフラットにコピーされるだけ)。

 ということで動画のローカル再生は本体のストレージからとなります。DLNAサーバはMacOSX上のPlayback1.8.8で、再生アプリはローカルはギャラリーアプリ、DLNAはskiftaがローカルネットワーク上のDLNAサーバを見つけられない(Android4.0に未対応のせい?)ため代わりにAwoX mediaCTRLでの再生となります。mp4は全てWebOptimizedなファイルです。

ファイル:
  A) AVI DivX502 mp3 640×480.avi
  B) AVI H264 mp3 640×480.avi
  C) AVI Xvid Mp3 640×480.avi
  D) MKV 1280×720 x264 AAC.mkv
  E) MKV 1280×720 x264 AC3.mkv
  F) MP4 w BP3 480×270 H264 AAC.mp4
  G) MP4 w BP3.1 640×480 H264 AAC.mp4
  H) MP4 w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  I) MP4 w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
  J) MP4 w MP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  K) MP4 w HP3 640×480 H264 AAC.mp4
  L) MP4 w HP3.1 1280×720 AAC.mp4
  M) MP4 w HP4 1920×1080 H264 AAC.mp4
  N) WMV 24fps 640×480.wmv
  O) WMV 60fps 640×480.wmv
  P) MP4 60fps w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  Q) MP4 60fps w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
 ※mp4の略号 BP=Baseline Profile MP=Main Profile HP= High Profile 数字はLevel

ローカル再生
 B,E,N,O以外全て再生可能。N,Oはリストすらされず。Bは音声のみ可映像不可。Eは音声不可。
 Qは再生自体は可能だがコマ落ち激しく実用は不可。全画面再生可能

DLNA再生
 B,E,N,O以外全て再生可能。Bは音声のみ可映像不可。Eは音声不可。
 P,Qは再生自体は可能だがコマ落ち激しく実用は不可。メニューバーとアクションバーが残存する。

 結果としてはOMAP4430を搭載しているArchos 80 G9とほぼ同様という感じですが、wmv系が非対応になっているのが残念なところです。上位CPUなので1080p 60fps mp4も再生できるのではないかと期待したましたが、こちらも残念な結果に終わりました。音楽の再生ではVictorのHA-FXC71-Bで聴く限りSC-04Dと同様好印象です。MDR-7506で確認してみてもやや固く締まった感じのあるHTC Radarに比べて音がやや明るく広がり感があるこちらの方が一般的にも好まれるのではないかと感じました。設定アプリの音項目にはイコライザーなどがありませんでしたが、音楽アプリの再生曲を表示している画面のメニューアイコンから「サウンド効果」を選択することでイコライジングが可能になっていました。音楽アプリの再生曲の画面ではメニューアイコンは画面右上、曲一覧画面ではメニューアイコンが画面右下と位置がころころ変わるので、この辺もやはり気になってしまいました…。

 Galaxy Nexusのカメラは画素数は高くないですがレスポンスはいいと前レビューで書きましたが、実機もその通りで非常に快速にシャッターが切れます。今回は動画の撮影もしてみたのですが、1080pまでの動画がmp4ファイルとして記録されます。撮影した動画の情報をMP4BOXでチェックしてみたところ以下のようになっていました。Baselineの4.1、音声はAACの1chです。撮影した動画はAndroid File TransferアプリでMacにコピーし、QuickTimeで問題なく再生可能でした。ちなみにAndroid File Transferアプリで接続している最中にカメラ撮影したファイルは次に接続し直すまで、Android File Transferアプリのウインドウ内では表示されないようです。

[code]* Movie Info *
Timescale 1000 – Duration 00:00:14.720
Fragmented File no – 2 track(s)
File Brand isom – version 0
Created: GMT Fri Nov 23 15:10:23 1945

File has no MPEG4 IOD/OD

Track # 1 Info – TrackID 1 – TimeScale 90000 – Duration 00:00:14.468
Media Info: Language “Undetermined” – Type “vide:avc1” – 347 samples
Visual Track layout: x=0 y=0 width=1920 height=1080
MPEG-4 Config: Visual Stream – ObjectTypeIndication 0x21
AVC/H264 Video – Visual Size 1920 x 1080
AVC Info: 1 SPS – 1 PPS – Profile Baseline @ Level 4.1
NAL Unit length bits: 32
Self-synchronized

Track # 2 Info – TrackID 2 – TimeScale 48000 – Duration 00:00:14.720
Media Info: Language “Undetermined” – Type “soun:mp4a” – 690 samples
MPEG-4 Config: Audio Stream – ObjectTypeIndication 0x40
MPEG-4 Audio AAC LC – 1 Channel(s) – SampleRate 48000
Synchronized on stream 1[/code]

■まとめ
 スクリーンの品質やハードウェア全体の品質は十分な仕上がりだと思いますが、やはりAndroid4.0(ICS)のUIの部分が非常に気になってしまいます。初期設定時にオーバーレイ表示するガイドやヘルプなど優れた改善もあるのですが、メニューアイコンの配置など日常的に重要な操作部分での微妙さがとても残念です。既存のアプリもインストールはできるのに実質的に機能しないものが結構あるなど、予想の範囲内とはいえdocomoからSC-04Dが正式発売された後のコンシューマーの反応はちょっと恐そうな気がします…。開発者向け端末としては非常に便利且つ実用的になっている面も多いと思うのですが、少なくとも初めてAndroid端末を使うという人にSC-04Dを売るためはAndroid4.0対応アプリが在る程度出そろうまで待った方がいいのではないかと思いました。そうでないとマーケットのレビューが悲惨なことになりそうです…。docomoの影響の少ない端末であるが故にSC-04Dに売れて欲しいとも思うのですが、いろいろな影響を考えるとやはりこの端末はAndroid4.0であることの意味を適切に理解できる方以外にはオススメできない端末となってしまいそうです…。

 ボリューム関連のバグのFixも遠からずOTAされるらしいので、いろいろ遊びながら気付いたことを追記していこうと思います。

■気付いたこと(随時追記中)
・3Gの掴みはiPhone3GSやHTC Radarに比べるとイマイチっぽい
・無線LANも同様(アンテナ受信感度が他機よりやや低く表示される)
・docomo SIMだとAPNが自動設定されるらしい(twitterで聞いた)
・softbank SIMは手打ちしないとAPN設定されない
・3G/Wi-Fiオンでもバッテリーの持ちはかなりよい
 (実使用状況にもよるかもしれないがHTC Radarと同程度な実感)
・一度だけマーケット操作中に画面フリーズ(電源長押しで終了)
・再起動したら10%以上一気にバッテリーが減少していた(謎
・外でも比較的画面が見やすい(NexusOneからは大きな進歩)
・画面をスクロールさせようとする時一瞬だが間があるように感じる
・CJKフォントでも画面の精細度が高いせいかフォントスタイルにはあまり違和感を感じない
・字形が異なる一部漢字はともかく、十分に見やすく使い慣れれば問題なさそう
・大画面化しているがAndroid2.x用アプリでもスケーリングに不自然さをあまり感じない
・やっぱりメニューボタン位置のおかげで左手持ち片手操作完結は無理orz
・本体スピーカの音質もなかなか締まったいい感じ
・デフォルトで入っている着信音やアラーム音はなんだか穏やかで優しい印象のものが多い
・通信データ量がアプリ毎で判るのはやはり便利
・通信データ量のマーカー設定が設定したい値が大きいほど微妙にやりにくい
・Android File Transferのファイル転送は約5Mbyte/秒(100Mbyteを20秒くらい)
・Android File Transferウインドウ内のファイルもコマンド+デリートキーで削除可能(確認有り)
・USBマスストレージモードはないみたい(メディアデバイスとカメラの2モードが設定可能)
・スクリーンの映り込みはあまり気にならない
・皮脂を目立たなくする加工はかなり優秀な気がする
・アンチグレアフィルムを貼るつもりだったが不要と思い始めた
・充電クレードルが欲しいかな
・標準音楽プレイヤーで画面スリープ時にいくつかのm4aで音飛び確認
・再生中に画面を点けると飛びが解消するので省電力制御の問題っぽい
・音飛びが発生する条件は歌詞が記録されていることらしい(発生曲に共通)
・歌詞がない曲は問題が発生しない模様
・APNが消える現象発生…原因特定できず…
・ワイシャツの胸ポケットより大きい携帯ってやっぱり微妙な気がする…
・熱はあまり気にならない、カメラ下がちょっとあったかいかなって感じ
・カメラの写りは微妙な感じ、思ったより暗所ノイズは多めorz
・WBもなんだか微妙なんだけどHTC Radarと比べたらいかんか…

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■docomo Galaxy Nexus SC-04D ラウンジ版レビュー
 Galaxy Nexusのレビューは実機が来てからと思っていたのですが、発売日が少し先になってしまったのでラウンジ版をレビューしておこうと思います。スマートフォンラウンジでは入口寄りに3台展示されており、さすがに注目を集めていて常に誰かしら順番待ちをしているというような具合でした。しかしながら、少し前にtweetしたのですが、個人的にはこの端末についてはあまり国内での販売が伸びないのではないかと思っています。コンシューマにとってハードウェア面でスペック的に訴求できる部分が少ない上に、最大のセールポイントであるAndroid4.0(ICS)も魅力的な部分はもちろんあるものの、使いやすい携帯電話を求める多くのユーザにはICSのUI自体が魅力的には映らないだろうと感じてしまったからです。そうした部分を中心にここではレビューを書いていこうと思います。

 こちらも合わせてどうぞ
 Galaxy Nexus GT-I9250 UK版 レビュー
 http://blog.isnext.net/issy/archives/1731

■ハードウェア
 Galaxy Nexusの第一印象は「画面大きくて本体でかい印象の割に薄くて軽いかな?」というやや中途半端な感覚でした。スクリーンは4.7インチ1280×720の有機EL(HD Super AMOLED)でPentail配列のものになっています。高解像度ではあるものの画素を少なくしたPentail配列ということで少し表示の精細感について心配していましたが、実機を見てその不安はなくなりました。輝度も高く発色も良く精細感がありにじみ等をほとんど感じさせない美しいディスプレイになっていると思います。Optimus LTEに比べればやや粗いということもできると思いますが、通常の利用でその差が気になるようなことはあまりないと思いました。スクリーン表面はややカーブした形状ということですが、正面から見て使う限り湾曲を意識するようなこともありません。タッチの反応も非常に良く、高速なCPU OMAP4460と相まって非常にスムーズな動作が実現されていると感じました。皮脂も他機に比べて目立ちにくい加工がしてあるように感じました。スクリーンが大きいので片手親指での操作で対応できる範囲が非常に限定的で、横方向にはあまり支障がないものの、画面縦方向の操作は指が届かず、操作するため持ち位置を直したりしないといけない場面がかなりありました。カーブしたスクリーンが少しは移動距離を補ってくれるのかと思ったのですがそういう感じはありません。後述しますがOSの問題と合わせて、この操作具合がGalaxy Nexusで結構致命的な問題になるのではないかと心配してしまいます。

 ICS前提の設計になったことで、スクリーン下部には見慣れたタッチ式物理式ボタン類はありません。Android3.x同様、戻る・ホーム・タスクボタンはスクリーン内のアクションバーに表示されるようになります。物理的なボタン類は最小となり、本体左側面にボリュームキー、右側面に電源キー、本体下部に左からヘッドホンジャック・マイク穴・MicroUSBととてもシンプルになっています。右側面にはクレードル用の充電端子もありますが小さくあまり目立ちません。電源とボリュームは薄い印象でクリック感もほどほどですが、安っぽい感じはありません。背面上部中央にはカメラとLEDフラッシュがあります。背面の広い範囲を凹凸のある樹脂カバーで覆っているのですが、これが個人的には持ちやすく好感触でした。ただあまり携帯電話にはないタイプの加工なので人によって好みが分かれそうな気がします。本体の重量バランスも悪くなく、滑りにくい背面カバーと合わせて非常に持ちやすいと感じました。

 カメラは500万画素と今どきのスマホとしては画素が少ない感じですが、レスポンスは非常によくシャッターラグをほとんど感じさせません。ほとんど押した瞬間に撮影が終わっている感覚です。Xperia Arcのカメラ速度も当時感動したことを覚えていますが、これはそれ以上の快速動作です。写真のクオリティは画面で見る限りとなりますが、ブレも少なくキレイに撮影できているように感じました。フロント120万画素のカメラもノイズが少なく非常にキレイな表示が得られます。残念なのはカメラの撮影オプションが非常にシンプルすぎて物足りない感じがすることです。撮影モードはオート含めて5つ、露出補正も±3、パノラマ撮影が可能になっている等のプラス要素もあるものの最近の機種に比べて見劣りする感は否めません。Galaxy NexusがICSのリファレンス機であることは周知なわけですから、ICSではカメラは重視していないとハッキリ出てしまっているようで残念に感じます。

 ワンセグやおさいふ・赤外線等の日本独自の機能は当然のように搭載されていません。Felicaの代わりにNFCが搭載されていますが、NFC搭載機間でデータ交換可能なAndroidビーム以外では国内で今のところ利用する術はなさそうです。

 起動時間は以下のような感じです。起動はまずまず速いと思いました。
 電源長押し→5秒→Googleロゴ→10秒→読込み動画→15秒→ロック画面(合計約30秒)

■ソフトウェア
 前述の通りICSということで、Androidバージョンは4.0.1です。カーネルバージョン 3.0.1-gc1a8b31 android-build@apa28 #1、ベースバンドバージョン SC04D0MKK2、ビルド番号 yakjusc-userdebug 4.0.1 ITL33D SC-04D.KK2 test-keysとなっており、Samsung系らしい番号が振られていることがわかります。標準の日本語入力はiWnn IME Ver.2.2.0.jp-Google-03 オムロンソフトウェア(株)となっていました。スクリーンが大きくなっている分、入力はしやすいように感じます。プリインストールアプリはdocomoから発売される端末としては非常に少なくOS標準のものを含めて32個しか入っていません。Optimus LTEの半分以下です。明らかにdocomoの追加アプリと思われるのはspモードメール・あんしんスキャン・エリアメールの3つだけです。リリース時にどうなるかは判りませんが、このままの数でリリースされるなら画期的と言えるかもしれません。

 プリインストールアプリとしてGoogle+があったりカレンダーのデザインがそこそこ良くなっていたり、メールやブラウザもデザインや使い勝手がやや違っていたりする部分はあるのですが、個人的に一番インパクトがあったのは、Android2.x系でメニューボタンに相当する機能が非常に判りにくく使いにくくなったことでした。ICSでは通常アプリがフロントで動作している場合には、アクションバーには戻る・ホーム・タスク一覧の3つのボタンしか表示されていません。これまでのメニューに相当する機能は縦に3つの■が並んだアイコンでアプリ内のどこかに配置されます。この配置に一定のルールがないようで、アプリによってこのアイコンの配置がバラバラになっています。画面の下の方にある場合には片手操作にあまり支障がないのですが、画面上部に配置されると持ち方を変えないと片手では操作できません。左手親指をメインで片手操作したい場合、画面右上にメニューアイコンがあると本体を持ち直さないと親指が届かないという具合です。慣れればなんとかならない訳ではありませんが、ICSの標準アプリでもこうした配置が不規則になっており、非常に使いにくいと感じてしまいました。例え両手持ち操作前提であってもUIの統一による分かりやすさは大切だと思うのですが、ICSの個々のアプリのUIのバラバラさ加減にはGoogleがユーザビリティを軽視している姿勢しか感じられませんでした。Androidに慣れているから感じる変更されたことへの不満ではなく、UI要素の位置やカラーがバラバラに使われていることへの不満であることは、少し注意して一度利用してみるとすぐに理解できると思われます。正直なところ初めてスマホとしてICSを使う人はこれを理解して快適に操作できるのだろうかと心配になりました。

 設定関連でも、これまでの項目がフラットに並んでいたところにカテゴリ単位にまとめるようなUIが広く導入されているのですが、小さいフォントでカテゴリを表記しラインの太さを変えることでカテゴリ化を表すようになっていて、これが非常に中途半端で項目説明のフォントとサイズが同じで返って分かりにくくなっているところも散見されました。フォントフェースを変更したり色を変えるなどもう少し工夫のしどころはあるだろうに、そうした努力がされていないように見えます。「その他…」という意味不明の階層化がされた項目がそこだけ存在したり、Googleが何をしたいのか、どうユーザに理解して使って欲しいのか、ICSのUIの設計は全体を通して非常に不透明な感じがします。表面的なデザインやセオリーによってのみ再構成され、特にUIにおいては本質的な設計思想を欠いたアップデートになってしまったのではないかと残念に感じました。

 先に酷いと思った部分を書いてしまいましたが、良い部分ももちろんあります。開発者向けオプションの設定項目はリリース時に残るかわかりませんが、CPUの動作状況をリアルタイムに画面に表示できるなど便利な機能がたくさん用意されています。Wi-Fi Direct設定や端末の暗号化設定の際などに表示される注意書きは力が入っているようで非常にわかりやすく説明がされており好印象でした。VPNの接続オプションが6種類選べるなど細かくなっておりこれも嬉しいポイントです(OpenVPNが選べたらもっと良かった…)。データ使用という項目では、一定期間の通信量とそれをどのアプリが行ったのかが一目でわかる工夫がされていて素晴らしいと思いました。またアプリを個別に選択してバックグラウンドでの通信を制限する設定が可能になるなど、ユーザの安心感に直接繋がる機能が追加されており非常に嬉しいところです。

 動画再生に強いArchos 80 G9(OMAP4430)よりも上位のCPU OMAP4460を搭載しているということで、動画の再生試験も試してみたかったのですが、スマホラウンジでは試すことができない(そもそもMicroSDにも対応していないですしね)ので、音楽再生のヘッドホン出力確認だけしてきました。動画の再生試験は実機到着後に改めて記事にしたいと思います。ヘッドフォンジャックにいつものVictorのHA-FXC71-Bをつないで、Webブラウザで試聴用mp3を再生したところHA-FXC71-Bとかなり相性がいいようで、低音はしっかりキレと迫力ある鳴り方、ボーカルや高音も伸びやかでクリアな音で聴くことができました。最近はHTC Radarをずっと音楽プレイヤーとして使ってきたのですが、個人的にはそれを超える好印象な再生品質でした。派手さを抑えた堅実でしっかりした再生をするHTC端末に対して、Galaxy Nexusは少し空間を拡げて明るくした感じの音になっていてかなり好みでした。イコライザーなどの音質調整機能はなく標準でこの出力ということなので、おそらく実機が届いたらHTC Radarに変わってGalaxy Nexusが通勤時のメイン音楽プレイヤーになりそうです。(少し気になったのはラウンジの端末では充電用のUSBケーブルをつないだ状態だとヘッドホンジャックからの音声出力にノイズがのったことです。展示されていたのは開発機ですしUSBケーブルを外すとノイズが消えるのでおそらく実用上は問題ないのでしょうが、一応説明員さんに事象を伝えて確認とリリース版で影響のないよう必要な対応をして欲しい旨をお伝えしておきました。)

■まとめ
 個人的に仕事上海外の特定ソフトウェアベンダーと交渉する場合に日本国内端末の実装上の問題でないことを証明するためにリファレンス端末が必要なので確実にGalaxy Nexusは購入はするのですが、果たしてこの端末が国内で(好評を博して)売れるかどうかというと冒頭で書いたように大きく疑問です。最新のOSを最速で求める層と仕事上必要な層を除いて、積極的に購入すべき理由があるように感じません。ICSには正直不満点の方が多いと言わざるを得ないと思っています。iOS5やWindows Phone 7.5がUIで非常に優れた実装を進めて行っているのととても対照的に感じてしまいました。Androidの魅力はその自由度にあることは否定しませんが、Google自身が制御しうるリファレンスたる部分でまでUIが統一されないのは先行きに不安感を感じざるをえません…。ICSは便利な機能は追加されているものの、OSとしてAndroidを使いやすくしてはいない、そんな印象でした。これが単なる杞憂であるならそれに越したことはないのですが、せっかく日本でリファレンス端末が初めて購入できるようになったのですから、これが今後リファレンス端末が発売されなくなる悪しき前例となってしまわないことを、心から祈りたいと思います。

【追記】テザリングについて
 Galaxy Nexus自体はテザリング対応ということになっていますが、上記のレビュー機体において設定アプリ内のメニュー項目にテザリングは存在しませんでした。展示機ではテザリング設定アイコンがホーム画面を右にフリックした2番目の画面内に配置されていましたが、クリックして開いてみてもヘルプという項目があるだけで、そこではUSBテザリングとWi-Fiテザリングの説明が表示されるのみという状況で、テザリングに関する実質的な設定画面などを確認することができない状態でした。SIMフリー版でのメニュー配置がどうなるのかはわかりませんが、docomoの他機種がテザリングの際のみ通常のAPN設定と異なるテザリング用既定APNを利用する変則的な仕様になっていることを考えると、この辺りの実装をdocomo版Galaxy Nexusで独自に追加するようにしたため現在の展示機にその辺りの反映が遅れているという見方はできそうです。説明員の方もテザリングに関してなぜメニューにないのか詳しいことは開発途中のバージョンなのでわからないということでした。

【追記2】SC-04Dのテザリングがアップデート対応になった件について
 11/11に公開されたgizmodo.jpの記事の通りSC-04Dのテザリング機能はリリース当初は搭載されずアップデートで提供されることになったようです。11/7に公開されているBlog of Mobile!!さんの記事では無線とネットワーク設定にテザリングの項目が表示されていることから、docomo側の要求仕様に合わせた変更の結果発売に間に合わないという判断になったことが推測されます。docomoとSamsungの間でどのようなやり取りがあったかわかりませんが、11月の頭の時点で実現されていなかった仕様を11月発売予定の製品に入れ込もうとするのは流石にどうかと思ってしまいます。度重なる海外でのGalaxy Nexusの発売延期はこの件が影響したものではないかと疑いたくなってしまいますね…。

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