■ロジクール Ultimate Ears 350vi レビュー (後)
 fansfans.jpのキャンペーンで「iPhone対応! ロジクール・高音質、遮音性イヤフォン Ultimate Ears モニタープレゼント」に応募したら幸運にもUltimate Ears 350viのモニターに当選することができたので、エージング無し評価の前編に続いてエージング後の後編をお送りしたいと思います。エージングはホワイトノイズで60時間行いました。今回は比較のためスマホ3機種を2週間(通勤時間を含めていろいろなシチュエーションで)使ってみて、各機種毎での使用感を中心に350viの最適な使い方を探ってみた内容を書いていきたいと思います。

1)iPhone4S (iOS6.0.1)
 エージング前と比較してブーミーさが抑えられて低音がややはっきりとして聴きやすくなった印象。イコライザをBass Reducer設定にしなくてもそれなりに聴ける感じ。中域もしっかり出て聴きやすいものの、反面高域がやや伸び切れないというかかなり高い音域がカットされているような印象が強く出てきたように感じてしまいました。尖った部分が削れて丸くなっているような物足りなさです。Bass Reducer設定ではそれが多少緩和されるものの、やはり高域に物足りなさを感じます。女性ボーカルの繊細さはやや控えめな感じですが、声のリアル感はよく出ていて、コーラスなどの聴き分けもエージング前よりもそれなりにはっきりしているので解像感が上がっているようです。低域が締まって中域が向上したことで高域の物足りなさがよりはっきり出てきたという感じでしょうか。
 音楽を聴いている分にはやや高域が物足りない感じが出るのですが、Webラジオなどの低ビットレートの音源を聴くケースではいやなノイズ感が抑えられていて非常に聴きやすく疲れにくいというのが実感できました。元よりヘッドセットという点を考えると通話等の低ビットレートの音声利用時を想定したノイズ対策がされているものと考えていいのかもしれません。個人的にはPodcastやWebラジオは350viでならより積極的に聴きたいと思えるなぁと感じました。

2)Arrows X F-05D (Android 4.0.3)
 こちらもイコライザオフでまずは確認。MicroSDにiPhone4Sと同じ曲を入れてPlayミュージックで再生した評価です。残念ながら他機に比べて軽くやや浮ついた軽い印象の音になっており、必ずしも悪いものではないのですが聴き比べると残念な感じです。350viは単なる低音強調型のヘッドセットかと思っていたのですが、むしろスマホ本体の音質をかなりストレートに表現するタイプのヘッドセットかもしれないと思うようになりました。F-05Dではイコライザでバスブーストや3D効果などの強調が可能なのですが、調整するほどバランスが悪くなる印象で個人的には350viとの相性が非常によくないと感じました。正直F-05Dであまり長く聴いていたくないと思いました。350vi自体はiPhoneシリーズ用と銘打っているので、Androidで利用するために敢えて選ぶ方はいないと思いますが、リモコンも中央ボタンでの再生と一時停止しか利用できず、音量調整もダブルクリック等での曲操作もできないので注意が必要です。

3)HTC Radar (WIndows Phone 7.5)
 こちらにはWinodws Phone 7 Connector改めWindows Phone.appとなった専用転送ツールから曲を転送しています。残念ながらiTunesで購入した曲はDRM無しのデータでも転送してくれないので(同じ曲がAndroidでは再生できているのに…)、自リップ曲のみ転送してのチェックでした。以前のレビューでも書いていますが、HTC Radarは音質がHTCらしいしっかり締まった低音と硬質感のあるキレイな高音が特徴で音楽プレイヤーとしても非常に気に入っているスマホです。今回350viとの組み合わせでは双方の長所がうまく発揮されているようで、3機種中最も好みのバランスの音になりました。350viの特徴としてカットされているような高域部分は改善されることはないのですが、元々の硬い感じの高域がちょうど聴きやすく緩和されるというか耳に優しい感じになり、しっかり低音はしっかりのまま素直に再生されて密度感のあるとてもまとまりのある音楽になります。奥行き感はあまり感じないのですが、横への広がりは解増感の高さも加わって非常にいい感じです。これは音楽用途でオススメできる組み合わせだと思うのですが、ヘッドセットしては中央ボタン長押しの音声入力呼び出し以外一切リモコンが機能しない(何故長押しだけ使えるのか…orz)という残念仕様なので、わざわざこのために買う必要はないと言わざるを得ません…。この辺りの操作性は共通にして欲しいなぁと率直に思いました…。

 ということで、残念ながらヘッドセットとして各種操作を期待する場合にはiPhoneシリーズしか実用にならないことも確認できたので、いろんなデバイスで使いたいガジェットマニアな皆さんにはオススメできないのですが、iPhoneシリーズをお持ちでWebラジオやPodcastを中心に利用される方には、聴き疲れも少なく十分にオススメできるのではないかと思います。むしろWebラジオなどは結構長時間聴き続けることもあると思うので、そういう方には嬉しい製品になるような気がします。後、アニメ動画を見る場合でも聴き疲れが少なくて良かったですね。通勤途中で音楽などを聴き流すような感じで使われる場合にもいいかなと思います。350viを使って感じたのは、自室でじっくり音楽を聴くような用途では微妙でも、耳に負担をかけない音質で通勤や聞き流しに便利な「疲れない音」のバランスを狙っているんだろうなということでした。低音の調整は個人の好みで必要かなと思いますが、「聴き疲れない音」をお探しの方は試してみられてもいいかもしれません。

, ,
とりあえず付けておく無駄ではなかったなまぁまぁ読めたちょっと役に立ったかなかなり良かったかも (まだ評価されていません)
Loading...

■ロジクール Ultimate Ears 350vi レビュー (前)
 fansfans.jpのキャンペーンで「iPhone対応! ロジクール・高音質、遮音性イヤフォン Ultimate Ears モニタープレゼント」に応募したら幸運にも当選することができたので、早速簡単なレビューを書いておこうと思います。応募する時には一応モニター希望機種を指定でき600viを希望したところ、当選したのは350viでした。350viの特徴は「迫力のある低音重視設計」…むむむ、個人的に低音重視ではなく寧ろ繊細さクリアさとか艶重視なのでちょっとこれはミスマッチだぞと思いつつ、いつものことながらfansfans.jpさんが関与されるイベントでは「商品についての率直なご感想の掲載を」と、ちゃんと感じた通りに書いていいというお墨付きの一文が封入されていたので、ミスマッチ前提で感じた通りに書くことにしますw 今回レビューに敢えて(前)としたのは、開封直後に視聴した音とホワイトノイズでエージングした後の音を比較してみようと思ったからです。数日後に書くつもりの(後)では、エージングでどのような変化があったか比較になるように書ければと思っています。

 ということで今回はキャンペーンの募集要項にもあったようにiPhoneでのモニターが前提となりますので、いつも利用しているiPhone4Sで試してみることにしました。ちなみに日常で最も利用時間の長いヘッドホンはAKG K601で、自宅での音楽はこれをメインで聴いています。次点がこれまでのスマートフォンレビューでも度々登場するVictorのHA-FXC71とHA-FXT90LTDになります。どれも低音も十分に楽しめる製品ですが、高音が繊細でよりキレイに出るところを好んで使っているので、低音寄りの設計とされている350viでの試聴は最初やや不安を伴うものでした。その当りのバイアスがかかっている前提で以下をお読みいただければと思います。

 iPhone4Sのミュージックの設定は通常通り最初はイコライザをオフにしてスタートしました。350viには標準で5サイズのイヤーピースが付いてくるのですが、標準で付いているものが耳にぴったりで圧迫感も強くなかったので、その状態でリスニングを始めることにしました。装着感は良好でコンパクトな本体は耳の一部に当たってしまうようなこともなく非常に快適な感じです。遮音性はそれほど高いとは思いませんでしたが十分かと思います。タッチノイズはやや多めかなと感じましたが、HA-FXC71とはそれほど大きく変わりません。iPhone4Sではリモコンも利用可能で、ボタン操作も細い割にクリック感もほどほどにあり使いやすい印象です。あまり操作に迷うことはありません。通常は音量を上下のボタンで、真ん中のボタンで再生停止ができるようになっています。

 さて、実際に聴いてみた音の最初の印象は「これはブーミー過ぎる」というものでした。iPhone4Sは標準でも他機種と比べ比較的低音が出る方のスマートフォンだと思うのですが、350viとの組み合わせでは静かな室内で試聴した時に、低音ばかりが強調され聴くに堪えないものでした。締まった迫力のある低音ならまだしも、比較的広がり感のあるやや軽い印象の低音で女性ボーカルですらやや太ましく感じるほどに低音がかぶってしまうので、ちょっとこれはひどいと感じるレベルでした。ベースやドラムの音こそ一番に聴きたいという方には最適なのかもしれませんが、音のバランスとしては低音に全体が飲み込まれてしまって高音やボーカルの中音域もすべてスポイルされてしまったように感じました。ただ、解像感は感じることができ複数のボーカルの重なり具合などがVictorのものよりも聴き分けられそうな印象がありました。

 そこでiPhone4Sのミュージック設定からイコライザをBass Reducerにして再度聴いてみたところ、ブーミーだった低音はすっかり鳴りを潜めほどよい感じの低音(ややもの足りないくらい)に収まりました。そしてボーカルもすっきりとし解像感が非常に上がってきて、かなりよいバランスで聴けるようになりました。女性ボーカルやイージーリスリング系ではこちらの設定の方が圧倒的によいと思われました。350viでは音場にあまり奥行き感は感じられないのですが、解像感があることでエフェクトのかかり具合などが比較的よくわかるのと、ボーカルやコーラスのひとりひとりの声や位置の違いはそれなりに感じるので、使っているヘッドホンによってはこうした部分ではっと気付くような発見があって楽しいかもしれないなと思いました。少なくともHA-FXC71よりははっきりと違いを感じられたので素性は良さそうです。

 350viの宣伝的長所を否定するようで申し訳ないのですが、iPhone4Sで350viを利用する場合には音楽をバランス良く聴こうとするならBass Reducerを設定するのがいいのではないかと思いました。他にもイコライザ設定はあるのですが、単純に低音を抑えることが一番ヘッドホンの全体的な良さを引き出せているように感じました。開封直後ということもあり、おそらくまたエージングで音は変化してくると思うので、他のスマートホンも含めた音の比較は後編でお送りしたいと思います。

, ,
とりあえず付けておく無駄ではなかったなまぁまぁ読めたちょっと役に立ったかなかなり良かったかも (1 投票, 平均値/最大値: 4.00 / 5)
Loading...