■HTC Radar UK版 レビュー
予約してあったHTC Radar UK版が届いたのでOMNIA7やIS12Tと比較などしながらレビューしてみたいと思います。HTC Radarは同時発売のTITANと同様にWindows Phone 7.5 Mangoを最初から搭載し、前面カメラ+テザリングをサポートして発売された世界初の機種ということになります。IS12TはMango搭載は世界初でしたが早いリリースに合わせるため新しい機能の一部が間に合わなかった(もしくはauが不採用にした)ため、残念ながら前面カメラ+テザリングは搭載されていません。今後登場予定の機種スペックを見る限りMango端末としてはHTC Radarは標準仕様ということになると推測されます。(テザリングはキャリアにより採用されない可能性がありますが)
■ハードウェア
注文したのはWhiteモデルだったのですが、到着したのはGraphite。Twitterなどを見ている限りどうやらHandtecに入荷したのは全てGraphiteになっているようです。製品の箱にはカラー表記がないのでWhiteは無しになったのでしょうか?(…他社ではWhiteが販売されているのでHandtecの事情のようですorz)そのGraphiteですが一目見た感じはNexusOneかと見まごう印象でした。すごく親近感を感じますw 背面までアルミボディになっているRadarの方が高級感はありますが、大きさや重さも比較的近いのでとても馴染みました。液晶パネルはWP7.5の仕様に沿って800×480の3.8インチと、最近のAndroidの高解像度化競争とは一線を置いてプラットフォームを堅持しています。OMNIA7の有機ELと違って輝度や発色は控えめなものの精細感があり(OMNIA7と比較して)とても美しく感じます。タッチの反応は上々。OMNIA7よりも俊敏でやはりIS12T同様にスクロールが早く快適に使える印象です。液晶下には左から戻る・スタート・検索のタッチ式ボタンが並んでおり、Androidのように機種毎に並びがバラバラということもなく、安心してボタンを操作することができます。
ボタン類も仕様に沿ってシンプルで、上面には左からヘッドホンジャック・電源ボタン、下面にはマイク穴のみ、右側面には上からボリュームキー・シャッターキー、左側面には下の方にMicroUSB端子があります。クレードルを使うことが想定されているため、クレードルと接続するMicroUSB端子のある側面には他の端子はありません。個人的には左側面にボリュームキーがある端末(iPhone,OMINIA7,NexusOne,001HT)に慣れていたので、ちょっと使いにくさを感じています。背面上部には500万画素背面照射型CMOSのカメラとLEDフラッシュ1灯があり、その横にスピーカがあります。スピーカが結構音が大きく比較的ハッキリしたいい音で聴こえるので少し驚きました。上下にあるアルミ以外のパーツ部分は樹脂製のマットでややしっとりした感じの手触りですべりにくくなっており、OMNIA7の数倍持ちやすいと思いました。IS12Tと比べるとやや重さを意識しますが、持ちやすいのであまり気にはなりません。
カメラはF2.2+背面照射型CMOSだけに室内でも非常に明るく撮影することができます。フラッシュオート設定での夜間室内でもフラッシュがあまり使われません。また28mm相当と画角が携帯カメラにしては広いので室内撮影でも広く撮れ便利だなと思いました。OMNIA7も画角は広い方で良かったのですが、Radarはそれよりも更に広く感じます。惜しいのは色が非常に薄いというか落ち着いているというか色ノリがイマイチなので、補正が必須かなと思われるところです。それを意識してか、Radarには標準でPhoto Enhancerという写真加工用ソフトがインストールされており、撮影した写真にエフェクトをかけられるようになっています。ただできることは限られるので、しっかり修正したい場合にはPC側で取り込んで作業する方がいいと思われました。撮影時のAF速度は快速です。シャッターボタン半押しで合わせて更に押し込んでシャッターを切るか、画面タッチでAFが動作しシャッターが切れます。シャッターを切る直前で一旦ボケたりするのでドキドキしますが、ちゃんと撮影されたものはピントがあっているので問題ありません。パノラマモードやバースト(連写)モードがなかなか面白いです。前面カメラの方はスペックが見つけられなかったのですが、普通の30万画素くらいの印象でややノイズも多い感じです。
起動時間は以下のような感じです。WP7端末らしく非常に快適ですね。
電源オン→3秒→白画面+HTCロゴ→15秒→Windows Phoneロゴ動画→6秒→メイン画面(合計約24秒)
■ソフトウェア
Androidのようなスタート画面アプリ自体のカスタマイズの権利がそもそもないので、スタート画面はテーマのみカスタマイズされていました。標準ではグリーンのタイル+飾り枠付きの写真アイコンの組み合わせでhtcというテーマ名になっています。さすがHTC細かいところで差別化してきています。Settingメニューに入ると独自項目がいくつか追加されていて、OMNIA7と比較すると増えた項目は Internet Sharing(テザリング)・easy of access(TTY/TDD設定)・attentive phone(音量調節系)・camera modes(カメラ設定へ誘導)・sound enhancer(SRS等イコライザー設定)・SIM applications(SIM入れてないので未確認)という感じです。個人的には音声系の調整項目が増えているのと、イコライザ機能がまさに欲しいと思っていたので嬉しかったです。
システムのバージョンは以下のようになっていました。
ソフトウェア:Windows Phone 7.5
OSバージョン:7.10.7720.68
ファームウェアリビジョン番号:1600.2200.10803.401
ハードウェアリビジョン番号:0002
無線ソフトウェアバージョン:16.23.02.09_2_16.24.00.23U
無線ハードウェアバージョン:2.102.0.D4
ブートローダーバージョン:1.8.160015.3(131745)
チップSOCバージョン:1.6.0.0
HTCが独自導入しているアプリケーションとしてはDLNA対応のConnected Media、3G接続設定を行うらしいConnection Setup、Flashlight、日本語ヘルプにつながるHelp+How-to、天気予報・ニュース・HTC専用アプリ等を表示するHTC Hub、映画のプロモを見られるHTC Watch、位置情報を記録するLocations、メモを書けるNotes、写真にエフェクトをかけるPhoto enhancerという感じです。端末起動直後の初期設定(ネットワーク未接続状態)の途中でHTCアプリのインストール工程が入るため、WP7.5のOSとは別に専用アプリのインストーラがメモリ内に用意されているようです。ちなみに設定でregion+LanguageをDisplay Language以外はjapaneseに設定可能で、ブラウザの日本語表示や日本語入力等は問題なく利用可能です。またこの設定状況でMarketplaceにおいて日本語アプリがちゃんと表示されていることを確認しています。残念なのは日本語のフォントはあまりキレイではありません。OMNIA7はMangoアップデートでフォントがキレイになったのですが、新しいフォントはRadarには含まれていないようです。【追記】日本のWindows Live IDで設定し直して1日経ってから再起動したら日本語フォントがキレイになっていました。最初OMNIA7で使っていた英国IDだったので設定が適切でなかったのかもしれません。IE表示で比較してみたところ現在はIS12Tと同等表示になっているので、Mango用にビルドされたアプリであれば設定次第で適切な日本語フォントで利用することができるようです。
ヘッドホンジャックの音質も確認しています。いつものVictorのHA-FXC71-Bを接続して聴いてみたところ、最初モコモコして低音ばかり強調されたひどい感じだったのですが、RadarではデフォルトでSRSエフェクトが有効になっており、設定→sound enhancerでMusicの設定をNo effectsに変更することで、ヘッドホン向けの音質で聴くことができました。001HT同様どうやらRadarもHA-FXC71-Bと相性はいいようで、しっかり芯のある低音と繊細でやや硬質さを感じさせる高音、センターで存在感を出すボーカルがとてもバランスがいい感じです。RadarではIS12TやOMNIA7に比べると低音がしっかり出ているのでより聴きやすい印象です。WP7系端末はIS12TやOMNIA7(Mango)とも共通して左右のセパレーションがしっかりしていて包まれるようなステレオ感がとてもよく出ているのと、ボーカルを含めた中〜高音がクリアで艶がある感じがしますね。この音に慣れるとiPhoneにはちょっと戻れないなと思います。MDR-7506などで聴くとボーカルのサ行がちょっと強く耳に痛い感じになることもありますが、HA-FXC71-Bでは全く気にならず、すごくバランスがいいのでかなりお気に入りです。実際のところイコライザー設定はありますがほとんど使わないで済みそうです。
例によってテストファイルを使って動画の再生試験をします。DLNAサーバはMacOSX上のPlayback1.8.1。DLNA再生はConnected Mediaでの再生となります。mp4は全てWebOptimizedなファイルです。
ファイル:
A) AVI DivX502 mp3 640×480.avi
B) AVI H264 mp3 640×480.avi
C) AVI Xvid Mp3 640×480.avi
D) MKV 1280×720 x264 AAC.mkv
E) MKV 1280×720 x264 AC3.mkv
F) MP4 w BP3 480×270 H264 AAC.mp4
G) MP4 w BP3.1 640×480 H264 AAC.mp4
H) MP4 w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
I) MP4 w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
J) MP4 w MP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
K) MP4 w HP3 640×480 H264 AAC.mp4
L) MP4 w HP3.1 1280×720 AAC.mp4
M) MP4 w HP4 1920×1080 H264 AAC.mp4
N) WMV 24fps 640×480.wmv
O) WMV 60fps 640×480.wmv
※mp4の略号 BP=Baseline Profile MP=Main Profile HP= High Profile 数字はLevel
DLNA再生
F,G,H,J,K,L,N,Oは再生可能。720pまでのmp4はほぼ再生可能。
1080pのI,Mは再生不可。wmvはどちらもOK。mkvとaviはサムネは表示するも再生不可。
720pまでのmp4であればHPでもコマ落ち感なく再生できたのでDLNAプレイヤーとしては十分使えそうなのですが、残念なことに4:3/16:9どちらのコンテンツも横画面固定且つ縦幅に合わせたフル画面(等比拡大?)再生になってしまい、表示の切替などが全くできないのでちょっと微妙な感じです。4:3なら上下が16:9なら左右が必ず一部欠けることになるので気になるかたはいるかもしれません。Windows Phone 7 Connectorでは720p BPのmp4までであれば無変換で転送でき、Zune Softwareで再生する分には画面の表示切替も行うことができたので、気になる方は転送を利用されることをオススメします。ちなみに動画の音声にもデフォルトでSRSエフェクトがかかっているので、ヘッドホンで視聴する場合には設定でオフにすることをオススメします。
■まとめ
さすがのHTC端末という感じでしょうか。やはり高級感安定感完成度が素晴らしいと思いました。ディスプレイ輝度に関してだけはOMNIA7の明瞭且つキレイな有機EL発光に魅力はありますが、Radarの液晶の精細感がその分を補ってくれるかなと思います。使ってみて非常に満足度の高い端末で、十分にメイン端末として使うだけのクオリティがあると感じます。個人的にはかなりお気に入りです。音楽再生の音質がとても気に入ったので当面通勤時の音楽プレイヤーとして利用することになりそうです。今回クレードルは購入しなかったのですが、USBの位置的に充電しながら使うのは微妙なので、何気にクレードルがあった方が便利そうだなと感じました。WP7系端末はまだauのIS12Tしか国内では話題がありませんが、Mangoになってかなり全般的なクオリティが上がって使いやすくなっていると思うので、日本のキャリアでももっと扱ってもらえるといいのになぁと素直に思います。マーケティングや販売教育など課題は大きいかなと思いますが…。とりあえずWP7には興味あるけどIS12Tはいろいろちょっと…という方はディスプレイ言語のみ英語になったままで良ければHTC Radarは価格も安いですし、開発機等として試してみるにはちょうどいい端末になるかもしれません。
【追記】Connection Setupは挿入されたSIMに合わせて自動でネットワーク登録を行ってくれるアプリケーションの模様。通話設定は自動でOK。APN設定を行ってくれるわけではないので、データ通信のためのAPN設定は別途「Settings→mobile network→add apn」で設定が必要。APN登録はAPN名、ユーザ名、パスワードのみでほぼOK。Androidのように細かい設定はできない。一応黒SIMとU300で動作までは確認。
【追記2】日本のliveアカウントだと日本語関連がフォント含めて適切に利用できるのはいいが、一部アプリがダウンロードできないなど不便も多い模様…本家Twitterアプリがダウンロードできないとかどういうこと…orz