■ASUS Eee Pad TF101 Transformer 簡易レビュー2
ちょっと間が空きましたがASUS Eee Pad TF101 Transformerのキーボードを装着した場合のレビューをしておこうと思います。Androidバージョンも3.1にアップデートされているのでその辺りも軽く触れておきます。TF101としてのメディアレビューでは個人的にはこちらのPCWatchのレビューが詳細でお勧めです。前回のレビューは以下になります。
ASUS Eee Pad TF101 Transformer 簡易レビュー1
http://blog.isnext.net/issy/archives/1224
■キーボードの感想
Android3.0タブレットのリファレンス端末であるXOOMでなくTF101を購入したのは、何よりこのドッキング形式のバッテリー内蔵キーボードが存在するからでした。Android端末はBlueTooth経由でキーボードが使えるのですが、Android専用キーのついた一体設計や拡張バッテリーとして利用できるよう設計され長時間稼働を可能にする工夫など、TF101には通常のキーボードの組み合わせでは得られない魅力がありました。画面タッチで長文書くのはどうしても慣れなくて個人的にはそれなりの長さの文章書くならキーボードは外せない要素なのです。キーボードの品質自体は各所でレビューされているようにネットブックと同程度で、特別に秀でたところはないかと思います。ノートPCと変わらない一体感というのがポイントで、ASUSのUL20Aを持っていますがそれを使っているのとあまり変わらない感覚で利用できるというのが、なかなか面白い感じです。個人的にはAndroid専用キーである「戻る・ホーム・メニュー・検索」の各ボタンの位置が好みの配置で、方向キーも十分使いやすくできているところを非常に気に入っています。長文を入力するのも(日本語変換をATOKにすれば)とても快適に利用できます。実際出張の際に実験してみましたが、UbuntuのノートPCを使う際よりも長時間稼働してくれ、文書作成効率のいいATOKのおかげで長文テキスト作成もより快適に利用することができました。昼間出かけて外で少しネット、夜2〜3時間テキスト作成に使うという感じで4日間無充電で使えていました。それでもバッテリー警告が出るところまで行かなかったのでちょっとびっくりしてしまいました。
以前タブレットで使う場合にはFSKARENは常用に堪えないと書きましたが、キーボード入力の場合には一転して評価は変わります。キー割当を含めて完全に動作するよう設計されているため、非常に快適に利用することができます。変換候補の表示も非常に高速で、キー入力に合わせて選択肢がリアルタイムに変わっていく様は気持ちいいくらいです。キーボードでATOKを利用することももちろん可能ですが、漢字キーやひらがなキーなどファンクション部分が機能しないため、必要に応じて画面タッチで操作せざるをえず快適さは大きくダウンしてしまいます。それでも日本語変換性能に限ればATOKの方が意図した候補が選出される確率が高く修正が少なくてすむため、長文を作成する場合には選択するメリットは十分あると感じました。
キーボードの物理接続部分は比較的しっかりしていると思いますし、通常の取付け操作であまり不安はありません。カッチリはまっているのかと気になることもないわけではありませんが、不具合というほどのことではないと感じます。Android3.0だった際には時々スリープ状態から戻った時にキーボードが認識されていない(取り外して再度接続するまで使えない)ことがありましたが、3.1になってからはまだそうした問題は起きていません。
キーボードを付けて約1.3kgというのは決して超軽量級というわけではありませんが、レスポンスや液晶品質の良さと稼働時間の長さ、そして価格を考えると非常にリーズナブルなマシンだと思います。アプリケーションが必要用途に足るのであれば、業務で利用しても素晴らしいコストパフォーマンスを発揮してくれると思います。
ちなみに実際にsshでキーボードを使って気になったことがあった関連記事もあるのでこちらもどうぞ。
Android3.0タブレットで公開鍵を使ってssh
http://blog.isnext.net/issy/archives/1234
■Android3.1の感想
更新されたAndroidバージョンは3.1、カーネルバージョン 2.6.36.3-00007-gd357ac7 android@Maple #1、ビルド番号 HMJ37.JP_epad-8.4.4.12-20110715でした。FSKAREN Ver1.4.5HAS01001へ更新されています。相変わらずFSKARENは標準で利用チェックが入っており外すことはできません。Android3.1でUI的な部分ですごく変わったと実感するようなところはあまりないのですが、問題だったFlashの動画再生も確かに改善されており、ニコニコ動画でもコマ落ち感はずいぶんマシになりました(なくなってはいない)。またギャラリーの動画再生についても改善は確認できました。ということでローカル及びDLNA動画再生について変化を確認してみます。
例によってテストファイルを使って動画の再生試験をします。DLNAサーバはMacOSX上のPlayback1.7.8。再生アプリはローカル再生はギャラリーアプリから標準動画プレイヤー、DLNA再生はTF101標準で導入されているDLNAアプリ「MyNet」での再生となります。mp4は全てWebOptimizedなファイルです。
ファイル:
A) AVI DivX502 mp3 640×480.avi
B) AVI H264 mp3 640×480.avi
C) AVI Xvid Mp3 640×480.avi
D) MKV 1280×720 x264 AAC.mkv
E) MKV 1280×720 x264 AC3.mkv
F) MP4 w BP3 480×270 H264 AAC.mp4
G) MP4 w BP3.1 640×480 H264 AAC.mp4
H) MP4 w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
I) MP4 w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
J) MP4 w MP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
K) MP4 w HP3 640×480 H264 AAC.mp4
L) MP4 w HP3.1 1280×720 AAC.mp4
M) MP4 w HP4 1920×1080 H264 AAC.mp4
N) WMV 24fps 640×480.wmv
O) WMV 60fps 640×480.wmv
※mp4の略号 BP=Baseline Profile MP=Main Profile HP= High Profile 数字はLevel
MicroSDでのローカル再生
F,G,H,I,J,K,L,N,Oは再生可能。Mはコマ落ち激しい。
Dは再生不可だが、Eは映像のみ再生可能。aviは全て不可。
DLNA再生
F,G,H,I,J,K,L,N,Oは再生可能。Mは再生不可。
Dは再生不可だが、Eは映像のみ再生可能。aviは全て不可。
3.0であったボリューム関連の問題はなくなっていました。aviやmkvの再生ができないのは変わらず。特にmkvではMyNetがフリーズ状態になるケースがあり。wmvは再生できなかったものが再生できるように。しかも再生品質がとても高く見やすく感じました。mp4はほとんど再生できましたがフルHDでHPのものはコマ落ちあり。約4M/sのビットレートの問題?ともかく再生対象ファイルが増えたのは歓迎できます。aviやmkvはVPlayerなど当面は別アプリが必要ですね。
■まとめ
個人的にはキーボードを付けたTF101は、使う用途次第でネットブックやCULVノートを凌駕してしまう存在だと感じます。価格とスペックのバランスはとても素晴らしいと思いますし、これからの出張には欠かさずお供に連れていくことになるだろうと思っています。しばらくMacbook Airを購入しようか悩んだ時期がありましたが、とりあえずこれがあれば不要かなと思えるくらい。ネットが使えて長文テキストが効率良く書ければいいので、本当に十分という感じです。WiMAXルータのWM3500Rとセットでとても活躍してくれています。3GのSIMスロットが付いてくれればb-mobileのSIM入れて使うというのも魅力的だと思います。WindowsやMacでこのアプリが動かないと困るという限定的な目的がある方は難しいと思いますが、ブラウザやTwitterなどのネットアプリをメインで使っている方で、キーボードが必要でノートPCを選択している場合には積極的にTF101を検討してみてもいいのではないかと思います。
現時点でも国内発売されているAndroid3.xタブレット自体としてはXOOMがオススメなのは変わりませんが、上記のようなキーボードが重要な要素になる方にはTF101はとてもオススメできると思います。日本のアップデート提供はやや遅れ気味ですが、ASUS自体は非常に積極的にバージョンアップに取り組んでくれていますので、そういう観点からも安心して選択してもらえる製品ではないかと思います。