■CEATEC: DTCP-IP対応アプリ sMedio True Link+
 fansfansの「最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2011」特別招待日にご招待!」に当選したので招待日にプレスとして参加してきました。そこで国内では第3勢力となるであろうDTCP-IP対応のDLNAアプリ sMedio True Link+ を見てきたので簡単にご紹介します。

 CEATECでは1A05スペースでDLNA関連展示が行われており、DiXiM PlayerのDigiOn社やNetfront Living ConnectのACCESS社などがAndroid製品等を展示していましたが、その中にsMedio社という耳慣れない社名で東芝製Androidタブレット上でDLNAアプリが展示されていたので、気になって少しお話を伺ってみました。

 東芝製タブレットAT300/24Cで動作しているDLNAアプリ sMedio True Link+ はこれまでのどのDLNAアプリとも違ってメディアプレイヤーとして非常に美しいインターフェース(しかもAndroid3.x系のデザインと親和性が高い)でサーバ表示やサムネイル表示が行われており、Android3.0+で動作するDTCP-IP対応アプリとのことでした。ひとつのアプリでDLNAクライアント・サーバ・コントローラの3つの機能を包含しており、表示画面では1画面の真ん中にコンテンツリスト(サムネ付き)、右下に接続しているサーバアイコン・レンダラーアイコンが表示され、今どのサーバに接続しどんなコンテンツをどの機器で見ようとしているのか常に確認できるというなかなか興味深い仕様になっていました。デモ機ではローカル接続のDLNAサーバから動画や音楽をリストして再生するという仕組みになっていましたが、サムネイルの表示も快速で動作も安定しており、プレイヤーも標準動画プレイヤーに渡すのではなくそのままアプリ内で再生しているようでユーザインターフェースがうまく統一されており、非常に使いやすいアプリになっていると思いました。

 sMedio True Link+のアプリアイコンが東芝スペースで展示されていたAT700/AT3S0にプリインストールされていたMediaPlayerアイコンと同一だったので、おそらくAT700/AT3S0のDTCP-IP対応はsMedio True Link+によるOEM実装なのだと推測できます。これまで事実上ほぼSHARP製スマートファミリンクと、DigiOn製DiXiMPlayerしか選択肢のなかったDTCP-IP対応アプリに新たな選択肢が提供されるわけで、しかもユーザインターフェースが良いとなれば、これは期待せざるを得ません。sMedioスペースで説明員さんにAndroid向けの単体アプリの提供予定はないのかと確認してみたところ、sMedio社としてはOEM提供を前提としていてアプリ単体でマーケットに出す予定はないとのこと。理由を伺ってみたところ、DTCP-IPの鍵を発行するためのライセンス管理がアプリでやろうとすると大変(メーカーだとデバイス単位でいいが、単体アプリだと購入の都度ライセンス発行することになる可能性がある)なこと、DTCP-IP自体のライセンスは高価ではないが万が一鍵が漏えいした場合の損害賠償請求が高額になる可能性があり小さな会社ではとてもそのリスクを負えないことなど、なるほどと納得のいく説明をしていただくことができました。鍵の漏えいはコンテンツ保護にとって致命傷になりかねないので、リスク対応をできる規模の会社でないとDTCP-IP対応に踏み込めないというのは非常に説得力があるなと思います。これではフリーのDTCP-IP対応アプリなど出てくるはずがありません。また有償であってもリーズナブルな価格でリリースできる可能性は皆無ということになると思います。

 sMedio社としてはDTCP-IP非対応のDLNAアプリとしてであれば、機能を限定したLite版などをアプリとして提供することは検討しうるということだったので、そちらはぜひとお願いさせていただきました。これまでSkifta辺りがそれなりにインターフェースにデザインを加えたアプリだったわけですが、sMedio True Link+ がリリースされれば一気にDLNAアプリのインターフェースのレベルが上がると思われるので、ぜひともLite版のリリースを期待したいと思います。sMedio True Link+ はAndroid3.xタブレット対応アプリですが、ハンドセット向けのsMedio True Link+ for Mobile も既に開発はされており、たぶんNexusSと思われる端末上でデモも見られるようになっていました。こちらはまだ提供時期も未定ということで、こちらのLite版にもぜひ期待したいと思います。CEATECに行かれた際にはぜひアプリインターフェースを1A05ブースでご確認いただければと思います。

 DTCP-IPはその敷居の高さから、家庭内ですらコンテンツ運用を難しくしてしまっている実態があり少し残念だなと思います。ライセンス管理や万が一の損害賠償などクリアすべき壁が大きすぎて普及できないというのは、まさにジレンマという他ありません。Hulu等の外国のコンテンツサービスに負けないよう、本当に利用者が望むサービスの在り方をもう一度国内の関連事業者の方々には考えていただきたいなぁと改めて思いました。

【3/31追記】DTCP-IPの鍵漏えいの罰金額はソフトウェアの日々さんの記事経由で確認したところ、やはり最大で$800万(90円換算で7.2億円)ということでした。確かに大会社でないとそのリスクは負えないですね…。ハードとセットでメーカー組込みの場合は鍵がひとつでいいのかもですが、ソフトウェアの契約単位で発行となると売れた数だけ鍵漏えいのリスクがあることになり、それに踏み出す会社はなさそうな気がします。またiPad等アップル製品に採用されることを期待される方も多いと思いますが、ほぼ日本国内でしか使われてない規格のためにアップルがそんなリスクを負うことはないと思われるので絶望的な気がします…orz

【11/29】Twonky BeamのiOS対応版がリリースされたことでiOSでもDTCP-IP対応の動画再生環境が可能となりました。Twonky BeamはPacketVideo社の製品であり、PacketVideo社はドコモの100%子会社ですので(こちらを参照)、今回ドコモが推進しているAndroid端末だけでなく、iOS端末のリスクまで負ってくれたということになります。残念ながら再生できる条件はやや厳しい(アプリの説明に互換性が確認されている機種が表示されているので必ず参照のこと)ものの、こうした対応をしてもらえるのは本当にありがたいことだと思います。ドコモの英断に感謝です。

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とりあえず付けておく無駄ではなかったなまぁまぁ読めたちょっと役に立ったかなかなり良かったかも (2 投票, 平均値/最大値: 5.00 / 5)
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