■docomo ARROWS X LTE F-05D ラウンジ版レビュー
今週末発売になるF-05Dの実機を見てきたのでレビューを書いておきたいと思います。前回SC-04Dを見に行ってきた時には展示が始まっていなかったのですが、現在は4台が有楽町のdocomoスマートフォンラウンジに展示中です。Optimus LTEやGalaxy SII LTEと少し離れて展示されており、展示カウンターの一番奥とちょっと気付きにくい配置になっていました。他のNEXTシリーズと離されている理由はわかりませんが、LTE機種の中では予約も一番人気ということなので特別扱いなのかもしれません。やはり機能てんこ盛りの全部入りというところが人気がある理由ですねと説明員さんが話されていました。その説明通り本当に機能いっぱいアプリいっぱい常時起動タスクいっぱいという感じで、それぞれ書き出していたらとんでもないことになりそうなので、気になったポイントに絞って書いていこうと思います。
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■ハードウェア
実機の第一印象はXperiaシリーズっぽい?という感覚でした。機体デザインの印象がこれまでの国産機種の中では比較的スマートで好印象だなと感じました。画面のデザインもマッチして少し垢抜けた感があります。薄いのは薄いのですが、華奢な感じはなく安心して持っていられる印象です。4.3インチ1280×720の液晶ディスプレイはとても精細感があり、発色も良く美しい表示だと思いました。タッチパネルの反応も非常に良く指の動きに期待通りに反応してくれます。ホーム画面を操作している限りもたつくようなことはありませんでした。他のOMAP4430を採用している機種に比べても全般的な反応はいい方ではないかと感じました。ただSC-04Dと比べると皮脂はやや目立ちやすく汚れた感じが割と出てしまうので、気になる方は保護フィルム等で工夫をした方がいいかもしれません。タッチ操作をしてすぐに気付くのが液晶表面温度が極めて高いことです。充電しながらの操作だからかと思い、充電ケーブルを抜いてしばらく使ってみたのですが思うほど温度は下がりません。背面カメラ近辺が熱くなるスマホはいくつかありますが、F-05Dは背面カメラ付近だけでなく当該部位の前面液晶表面がめちゃめちゃ熱くなります。少なくとも充電しながらの操作は液晶の寿命を著しく損なう可能性があると感じました。評価機だけの現象ならいいのですが、発売された実機も同様だと長期使用には液晶の耐久性の面において少し不安があるのではないかと感じます。
液晶下には物理ボタンが3つ、左からメニュー・ホーム・戻るボタンになっています。ボタン自体は可もなく不可もなくという感じですが、スクリーンとボタンの大きめの間にアイコンがあるため、タッチ式に慣れているとボタンを押す代わりについアイコンの絵図をタッチしてしまって操作がうまくできず、はっとすることがしばしばありました。他の物理ボタン類は少なめで、本体左側面に上から電源キー・ボリュームキー(どちらも極小)、本体下部には何もなし、右側面下にストラップホール、上面には左からヘッドホンジャック・MicroHDMI・MicroUSB・ワンセグアンテナとなっています。ヘッドホンジャックとHDMI/USB端子はカバー付きなのですが、防水使用のため若干きっちりはめにくい構造になっているので注意が必要です。充電はMicroUSBを使う方法と、本体背面下部にある充電端子を利用して専用クレードル経由で充電する方法があります。防水性能を維持するためにも専用クレードルが利用できるのは嬉しいところです。
本体背面上部中央にExmor R for mobile採用の1310万画素のメインカメラがあり、そのすぐ下にLEDフラッシュが用意されています。前面液晶の右上に130万画素の前面カメラも用意されています。カメラ操作の設定画面はかなり使いやすく、設定可能な項目も多く利便性は高いと思うのですが、レスポンス面については際立った印象はないという感じです。残念ながらXperia ArcやGalaxy Nexusと比べて、カメラのレスポンスはあまり早くは感じません。シャッターを押してAFに1秒くらいかかってシャッターが切れるという感じです。設定で在る程度改善される(最大サイズで撮影しないとか)でしょうし不便というほどではありませんが、動きの速いものを撮影するのには向かないと言う印象です。ワンセグの受信感度はアンテナを最大まで引き出さなくても表示できたなど比較的良好な印象でした。画像は液晶が高精細になってしまっている分やはり粗く見えてしまいます。一応動画の高画質化設定もあるのですが、あまり有効に効いていないように感じました。チャンネルの切替や縦横向きの切替の際にはやや時間がかかる印象でした。
起動時間は以下のような感じです。起動は最近の機種としては遅めで、ロゴ大杉な印象です。
電源長押し→8秒→docomoロゴ→22秒→Xiロゴ→3秒→docomo NEXT seriesロゴ→2秒→
防水警告画面→3秒→ARROWS動画ロゴ→7秒→ロック画面(合計約45秒)
■ソフトウェア
Androidバージョンは2.3.5、カーネルバージョン 2.6.35.7 build@rx600s4-05 #1、ベースバンドバージョン C_L1_024、ビルド番号 V12R22Gとなっていました。日本語入力システムはNX!input ver.3.0.0、ATOK ver1.1.1となっています。NX!inputは標準で中国語(簡体字)と韓国語にも対応しており、入力設定で設定が可能になっています。本体内蔵ストレージは4.10GB、初期の空き容量は3.71GBとなっていますのでかなり余裕がある印象です。ちょっと驚いたのはシステムメモリの表示で、合計容量が1.92GBとなっており空き容量が1.77GBとなっていました。たしかF-05Dの内蔵容量は8GBと言われていたので、2GB分が見えていないようです。どのようなパーテーション構成になっているのか非常に興味深いところです。また同じメニュー内にUSBマスストレージという項目があり、USBストレージがマウントできるようになっていることが明確にわかるようになっていました。ただし「複数挿入時は1台のみマウント」と書いてあるため、同時にマウントできるのは1台のみに制限されているようです。
F-05Dは国産端末らしく相当にカスタマイズが施されており、アプリもてんこ盛りで起動直後からすごい数のプロセスが立ち上がっています。展示機のホームはNX!UIがメインになっていましたが、ホーム画面からしてアプリ一覧などにソート機能追加して縦横スクロールでカテゴリ別にアプリ表示したりする工夫がしっかり入っており、69個もあるプリインストールアプリが(たぶん)わかりやすく整理されるようになっています。再起動直後は30のプロセスが実行中状態で表示され、842MのRAMのうち267M(約32%)を何もしないのに使ってしまっているという感じです。ちなみにNexus Oneの標準状態のAndroid2.3.6では起動直後の実行中プロセスはたったの5つで、元より多くないメモリ容量356Mに対して使用メモリは82M(23%)程度です。いろんな意味で贅沢にリソースを使っているというか、無駄遣いしているというか…テレビや目覚まし・TUTAYA TV・HDMI・PVWmdrmProxyなど常時起動しておく意味が薄いものがたくさん立ち上がっているので、もう少しなんとかした方がいいのではないかと思いました。
設定メニューにもいくつか項目が追加されており、マイプロフィール・初期設定・ドコモサービス・マルチメディア・自分からだ設定などが使えるようになっています。マイプロフィールでは誕生日や性別、身長体重まで登録するようになっており、健康管理サービスと連動するためとはいえ、昨今のAndroid端末を取り巻く情勢を考えるといろいろな意味で恐いなぁと思ってしまいました…。個人的に設定関連で追加された中で一番実用的且つ興味深いなと感じたのは、無線とネットワーク項目に追加されたFMトランスミッタ設定でした。F-05Dには音楽をFMで飛ばせるFMトランスミッタ機能が搭載されているので、カーオーディオでも気軽にケーブルレスでスマホ内の音楽再生が可能になっているのは嬉しいところだなと思いました。この機能は富士通の製品ページでは紹介されているのですが、docomoの製品ページには見当たらないので、ちょっともったいないなと思います。
アプリという観点からカメラ機能をもう一度書いておこうと思うくらい、カメラ設定には多彩な設定が可能になっています。カメラは専用のシャッターキーがないので画面内の撮影アイコンをタッチして撮影します。撮影アイコンの近くには一般的なズーム・タイマー・撮影サイズ・フラッシュ・WB・設定のアイコンが並びます。そして画面反対側にひき出しして使う詳細な設定画面が別に用意されており、撮影モード・笑顔シャッター・シーン別撮影・エフェクト撮影等の追加機能が様々設定できるようになっています。特にエフェクトではHDRやクロマキー・魚眼・トイカメラなど遊べる機能が充実しており非常に面白そうです。標準撮影でも比較的広角なレンズになっているようでかなりいい感じだなと思いましたが、エフェクトを駆使するとそこそこのデジカメにも負けない写真がいろいろ楽しめそうです。
ブラウザの動作はLTEの高速なデータ通信もあってかかなり軽快で、スクロールやピンチズームの反応も十分いいと思いました。ただ大きなFlashのあるページではズーム等の再描画時に一瞬ブラックアウトしたり、意図しない位置に飛ばされたり、最悪ブラウザが落ちることがあったので注意が必要そうです。ブラウザでのフォントは標準でUD新丸ゴが使われているようで、DroidSansが使われる場所ではCJKフォントっぽいゴシックになりますが、ちゃんと日本の字体になっているので安心です。Androidブラウザではあるページで拡大表示にして、次のリンクをクリックするとまた最初の表示倍率に戻されてしまうのが一般的ですが、F-05Dではページを拡大縮小する際に画面左下に表示される「虫メガネ+鍵」のアイコンをクリックすることで、リンクを遷移しても拡縮率を変えずにページを表示できる機能が追加されていました。F-05Dの追加機能なのかF/T系端末にはある機能なのかわかりませんが、今回初めて気がつきました。これはかなり実用的で便利だなと思います。
■まとめ
これまでのF/T系端末の実績からいろんな意味で心配な端末だったのですが、少なくとも今回試した限りでは機能てんこ盛りの割にはアプリはスムーズに動作しておりある程度は安定して利用できそうな印象でした。どちらかと言えば本体が異常に熱くなることや多いとは言えないバッテリー容量などハード的な面での心配が残るという感じです。無駄なプロセスを停止し、消費電力を抑えてメモリを空けておくための工夫がうまくできれば、割といい評価になる端末ではないかと思いました。条件が出た頃合いでL-01Dを購入するつもりでしたが、正直機能的な面でF-05Dにもちょっと興味が出てきてしまいました。ラウンジでは試せない実稼働可能時間や長時間稼働後の安定性、OMAP4430を搭載しているので動画再生などの状況が見えてくれば(まだF/T系端末には気を許せる状況ではないと思いますが)ちょっと考えてもいいかなと思ってみたり…。
Android端末開発ではずっと世界に後れを取ってきた国内メーカーですが、この秋冬モデルで一気にハードスペック的には世界レベルに追いついた気がします。ただまだソフトウェアの親和性や安定動作にはいろいろ課題を抱えていると思われるので、ソフトウェア面での改善(シンプル化&安定化)を強く期待したいと思っています。Galaxy Nexusのように可能な限りキャリア依存アプリを排除してシンプルに安定して利用できるような端末も並行して開発してもらえると、世界のマーケットも同時に狙うことができていいのではないかと思うのですが…国内のケータイ開発の状況を考えるとまだ難しいのですかね…。
ともあれ、ラウンジの方の話では冒頭で書いたようにLTEでは一番人気で予約がいっぱい入っているそうなので、来週にはいろいろな実機レポートがネットで見られるようになると思われます。本当に機能やデザイン面では魅力がある端末なので、ぜひとも安定動作して欲しいと心から願いつつ、発売の様子を見てわくわくしたいと思います。
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