■au IS11SH / IS12SH 簡易レビュー
 fansfansのシャープ「AQUOS PHONE IS11SH」「AQUOS PHONE IS12SHタッチ&トライイベントに参加することができたので、両機種の簡易レビューを書いておこうと思います。イベントの定員は10名と狭い枠でしたが、それだけにSHARPの開発担当の方と直接お話する時間もとれ、とても面白い情報を知ることができ個人的に非常に有意義なイベントでした。両機種のファーストインプレッションはこちらの記事にありますのでぜひご参照ください。イベント参加後のレビューと比較していただくと変化がわかって面白いかもしれません。

 どちらの機種もCPUがかなり高速になっており、タッチ動作も良くホームの操作感も悪くありません。UIそのものは好みがあると思うので、ホームアプリなどは入れ替えた方が使いやすいケースはあるかもしれませんが、ほぼそのまま使っていけるかなと思いました。ここでは機種ごとの特徴的な部分のレビューと、両機種に共通でインパクトのあったものを紹介していこうと思います。

■IS11SH
 スライド式テンキーを特徴とする端末で、個人的にはHybrid W-ZERO3 (WS027SH)を彷彿とさせるので非常に興味深い端末です。一応メインターゲットしては女性を意識していてパンフレットもそうした装丁になっていました。WS027SHの実機を持ち込みIS11SHと実際に比較してみましたが、IS11SHの方が薄くやや幅広な感じでスライド時の使い勝手も含めてとても好感触でした。WS027SHとIS11SHは製造している事業所も異なり、WS027SHは奈良、IS11SHは広島で、現在のSHARPのスマートフォンの開発主力はガラケ部隊がそのまま移行した広島の事業部なのだそうです。残念ながらWillcom端末を手がけた部門はスマホ系の主力とは違う流れになっているようで、WillcomからSHARP製のAndroid端末が出てくることを期待していたのですが、少し難しいかもしれないなと思ってしまいました。

 IS11SHはスライドした場合でも戻るキーがハードキーで用意されていたり、タッチキーにも簡単に指が届くなど、使い勝手にかなり配慮されていることがわかります。ガラケには普通にある通話終話キーは存在しないのですが、これは10キーが主にメール入力用途で想定されているためで、Android携帯としてスライドしなくてもタッチ操作で通話できるのでハードキーはあえてつけなかったということでした。またイヤホンジャックもないのですが、こちらはスペース的な要因によるもので、イヤホンジャックの代わりにauからMicroUSB-イヤホンジャック変換のケーブル(IS06で付属していたようなもの)が別売りで提供されるようです。IS11SHには付属品としては付かないとのことでした。

 液晶がqHDでありながら3.7インチとスマホとしては小さめなサイズのため画面表示は非常に精細感があり、手持ちの720p動画を再生してみたところ素晴らしくキレイに見えて「おおっ!」とちょっと驚いてしまいました。大きめな画面で少し粗めに見えるより、小さめでも精細感のある画面の方が動画の満足度は高いのかもしれないなと思い直してしまいました。3D表示ももちろん可能ですが、3D表示の際に解像度が下がって見える問題はやはりこのサイズでも顕著で、個人的にはやはり2Dでしか利用しないだろうなと思いました。

 起動時間は以下のようになっています。CPUクロックの割に速い感じがありません。
 電源オン→2秒→Android auロゴ→37秒→AQUOS PHONEロゴ→24秒
 →au ICカード読み込み表示→3秒→ロック画面(合計約66秒)

 Androidのバージョンは2.3.3、カーネルバージョンは 2.6.35.7-perf nbproj@TG8Y0507 #1、ベースバンドバージョン 01.00.04、ビルド番号 01.00.04.R6160 release-keysとなっていました。日本語入力は iWnn IME – SH editionですがバージョンがわかりませんでした。日本語入力に追加で手書き入力が加わっていて、こちらは「MyScript手書き入力」となっておりバージョンが1.0RC3 shaとなっていました。

■IS12SH
 こちらは3Dカメラを搭載した一般的なスマホタイプの端末です。IS11SHに比べると角が丸い感じでやや重く大きく感じます。qHDで4.2の液晶はもちろんキレイなのですが、IS11SHほどの精細感が感じられないためむしろ普通に感じてしまいました。3Dカメラが一番の特徴になると思うのですが、3D自体にあまり興味がなくハードウェア的には他に個人的に魅かれる点があまりなかったので、ほとんどIS11SHばかりをチェックしてしまっていました。そのためIS12SHのレビューはあまり書くことがありません…。

 こちらにはイヤホンジャックがあるため音質は確認してみました。使用したヘッドホンは今回もVictorのHA-FXC71-Bです。手持ちのMicroSDと差し替えて試聴してみたところ、IS12SHはHA-FXC71-Bと相性が比較的良いようで、非常に聞きやすい組み合わせでした。音場はやや狭めですがボーカル等中音域がはっきり大きめに出てきて気持ちよく聴けます。低音は質的にやや軽い部分と低くしっかり出る部分のバランスが微妙かなと思うところはありましたが、量的には十分でやはり聴きやすいと感じました。これまで比較したiPhone3GS/ Xperia arc/ ISW11HT/ 001HTのいずれと比べても一番一般的に好まれるのではないかと思う聴きやすさだと感じました。

 起動時間は以下のようになっています。IS11SHとほぼ同じ感じです。
 電源オン→1秒→Android auロゴ→36秒→AQUOS PHONEロゴ→25秒
 →au ICカード読み込み表示→4秒→ロック画面(合計約66秒)

 Androidのバージョンは2.3.3、カーネルバージョンは 2.6.35.7-perf nbproj@TZ6Z1103 #1、ベースバンドバージョン 01.00.02、ビルド番号 01.00.02.R6160 release-keysとなっていました。日本語入力はIS11SHと同じです。

■DLNA対応
 両機種に共通で最もインパクトのあった部分は、実はDLNA対応にあります。SHARP製のアクオスTVとの連携でカタログ等に「スマートファミリンク」と名付けられている機能です。これはアクオスシリーズのTVやBDレコーダーに録画された番組を端末側で見ることができるというものでした。そうです、両機種はAndroidスマートフォンで初めてDTCP-IPに対応したDLNA機能を搭載しているということになります。こちらのDTCP-IP対応についてはカタログ等には一切表記されていませんが実は対応しています。Android端末初のDTCP-IP対応はセールスポイントになると思うのになぜカタログに表記しないのか確認してみたところ、女性向けのマーケティングだったりわかりやすさを追求したりということで細かい機能名は入れなかったということでした。実際のところはアクオスシリーズとしか動作確認していないということだったので、DTCP-IP対応と記載することで他メーカーのTV等と非互換になった場合のリスクヘッジなのかなと感じました。DLNA周りは実装により微妙なところがいろいろあるので表示してリスクを負うよりは、むしろアクオスシリーズ連携の便利さを追求することを選ぶのはマーケティングとしては当然のところかとは思いました。

 使用する際にはファミリンク用の専用アプリを起動して利用することになるのですが、skifta等のDLNAアプリのように汎用のUIデザインではなく、明示的にアクオスとの接続を意図した画面デザインになっているので、アクオスTVがないと使えないんじゃないかと思ってしまうような感じになっています。実は中身はDLNAなので(おそらく)他のDLNAサーバにも接続できると思われます(実際その場では時間がなくて他のDLNAサーバとの接続テストまではできませんでした)。

 送受信するデータはmpeg2だということだったので、送受信時のデータ量が多くなってしまうはずのところどう対処しているのか確認してみました。TVから受信する場合はファミリンクのネゴシエーションの中で端末側のqHDの画面サイズを認識しそのサイズに合わせたデータを送信するようにしているので、データが少なく安定した送信ができるのだということでした。それでも無線LANを使うためやはり電波状況が悪いとうまく表示できない場合はあるとのことでした。端末内の動画をTVで表示する場合には、なんと端末側にトランスコーダーが搭載されていて、端末内でmpeg2にトランスコードしてTVに送り出しているそうです。高いスペックのCPUを搭載できたからできることだと話されていました。トランスコードして再生可能なフォーマットまでは確認できませんでした。

■メール関連
 両機種に共通でインパクトがあった部分でもうひとつ、メール関連の機能拡張があります。「速デコ」という機能はメール作成時に本文をスクリーニングして本文の内容に合ったデコレーション(背景や絵文字を挿入)を自動で行ってくれるというものです。余計なお世話という気もしなくはないのですが、技術的に面白いのとスマートフォンの機能としてはなかなか思い切った感じだったので印象に残りました。また「自動再送信/送信予約」という携帯だからこそ欲しい機能も追加されています。自動再送信はメール送信時に電波が悪くて遅れなかったりした場合、後で自動で再送してくれる機能。送信予約は日時指定してメールを送信できる機能です。スマホにあったらいいなぁと思ったことがあったので、これはちょっとうらやましくなりました。

■OSアップデート
 今回他キャリアも含めて非常にギミックに凝った端末を多数展開されているので、今後のAndroid OSアップデートに追従できるのか、開発担当の方に直接伺ってみました。すると「2011春夏モデル以降であれば、OSのアップデートを意識して設計しているので原則的には大丈夫なように作っている。ただOSアップデートはSHARP単体では決められずキャリア等が関わってくるので、アップデートを必ず実現しますとは言えない。」ということでした。IS03は微妙なところ、IS05以降は大丈夫そうという感じのようです。海外を含めて複数キャリアに端末を提供しているのだから、GoogleのOSアップデート保証ガイドラインにSHARPとして単独でも参加してはどうかと聞いてみたところ、「開発の立場としては参加したいと思っている」ということでした。Android端末は既にPCと同じくらいのセキュリティリスクを負っているため、アップデートが担保されることは非常に大きな意味を持つので、ぜひガイドライン参加を実現し、積極的なアップデート実現のためのキャリアへの働きかけをしてもらいたいと思いました。

■まとめ
 正直なところIS11SHは実際見て使って、自分でも欲しいなと思うようになりました。パンフレットが女性向けなデザインオンリーになっているのがちょっと残念に感じるくらいです。主に経済的な理由で購入はできませんが、オススメできる端末だと思います。docomoのパレットUIみたいなものを加えたらもっとガラケぽい販促もでき、女性向けに売れるのではないかと感じました。IS12SHについては3Dに興味がないと、ハード的には突出したものがなく電池容量も決して多くない(むしろ少ない)ため、あまり選択されない端末になってしまうかもしれません…。(ちなみにSHARP製の端末はなぜ電池容量が少ないのか質問してみたところ、自社で電池を作っていないため設計の自由度が低い&コストが高くなるからというちょっと悲しい答えが返ってきました…orz)

 イベントでは入場時にIS11SHとIS12SHをそれぞれ1台ずつ手渡され、自由に利用できるようになっていました。本体のみだったため、パッケージや付属品についてはそこでは説明はありませんでした。MicroSDは試験用の2Gのものが始めから挿入されていましたが、参加者向けに8Gメモリが別途提供されており、実機で写真を撮影し持ち帰る場合にはそちらと差し替えて使うようにと説明されていました。イベント前半はSHARPの開発担当の方の説明があり、ケータイWatchの編集長さんの話を挟んで、アクオス連携のデモ、その後自由な質疑応答などと続きました。都合約二時間、全体的に人数も少なかったことで非常に和やかに進んでいたと思います。実機を触りながら話を聞いたり質問できたので、非常にわかりやすかったと思いました。今後もこうしたイベントがあればぜひ参加したいと思います。秋冬モデルにも更に新たな端末が提供されてくるようなので、SHARPのAndroid端末への取り組みには興味を持ってこれからもウォッチしていこうと思いました。

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とりあえず付けておく無駄ではなかったなまぁまぁ読めたちょっと役に立ったかなかなり良かったかも (まだ評価されていません)
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