■SoftBank 001DL Streak レビュー
 もう明日発売ということで、遅くなってしまいましたが例によってヨドバシ秋葉原店で001DL Streakを触ってきたので、レビューを書いておこうと思います。展示機は1台、003SHに比べてあまり人気がないようで夕方の混雑時間だというのに誰も使っていなかったのですぐに試すことができました。

■ハードウェア
 5インチTFT液晶が最大のポイントになるのですが、もともとが両手横持ちを意識してデザインされている筐体のため、横持ちで使いやすいようスクリーンの左右に余裕のある持ち手部分があることで、スクリーンサイズの割には大きめな印象になっています。ただ厚みはあまりないので、重さはそれほどに感じません。両サイドがカーブしたデザインなので実際両手横持ちでしっくりくる感じです。電源ボタンやカメラシャッターボタン、音量ボタンが側面にあるのですが、どれも横持ちを前提とした位置になっているので、縦持ちの際には微妙な場所かなと思いました。もっとも縦持ちでも片手で操作するにはやや厳しいため、結局両手で操作することになればボタン位置はあまり気にならないかもしれません。

 液晶自体の品質は悪くないという程度。800×480で5インチだとドットが粗く感じるかと思いましたがそんなことはなく、十分にキレイに見えると思いました。若干輝度や鮮明度が他のものに比べるとやや低めの印象という感じ。屋外では少し見にくい場合があるかもしれませんが、室内での通常利用には問題ないと思います。スクリーンの右(横持ち時)にあるタッチスイッチは上から戻る・メニュー・ホームの順番に並んでいます。最初メニューのアイコンデザインがピンとこなくて、これなんの機能だろうと思ってしまいました。

 起動時間は以下のような感じです。
 電源オン→0秒→SoftBankロゴ→20秒→デルロゴ→11秒→ロック画面(約31秒)

 非常に高速に起動します。ロック画面までは本当に速いのですが、ロック解除後、ホーム画面の表示で少しもたつく印象がありました。デル独自のWidgetが表示が遅れる原因になっているように見えました。

■ソフトウェア
 OSバージョンはAndroid 2.2、カーネルバージョン 2.6.32.9-perf、ビルド番号 10688、ベースバンドバージョン GAUSB1A130512-US、OEMバージョン GAUSB1A130512。OEMバージョンが明示されているのは珍しいと思いました。ベースバンドにUSという文字がありモデルナンバーもDell Streakとなっていたので、展示機は日本向けの001DLではなかったのかもしれません。SoftBank 3Gには接続していたようですが、画面左上のキャリア表示はVodafonになっていました。もしこのまま発売されてしまうようなら、それはそれでびっくりです。

 展示機のOS部分は非常に素のAndroid2.2に近く余計なカスタマイズはほとんど入っていないように思いました。ホーム自体も2.2の標準のもののように見えます。ただデルのStage WidgetsというカスタムのWidgetが設定されており、このWidgetがホーム1面を丸々使う巨大サイズのためか、これを表示するのに時間がかかっているようでレスポンスの体感は今一つでした。正直あまり意味のないWidgetだと思うので、使わなくていいのではないかと思います。追加アプリとしては面白いなと思ったのが SIM Managerアプリが入っていたこと。本来Streakの2.2版では削除されているはずのアプリなので、この機体が前バージョンからアップデートされたものであることがわかります。まさかリリース版に残っていることはないと思いますが…。

■まとめ
 起動直後は全体的にカクカクすることもありましたが、2.2らしく基本的に非常にタッチレスポンスもよくサクサク機敏に動作してくれます。展示機はおそらく日本仕様ではないものと推測しますが、日本用にチューニングされたものは、更に快適になっているものと期待したいと思います。この端末の場合、大きさが評価の分かれるポイントだと思いますが、普段GalaxyTabを使っている感覚から見ると、5インチもいいじゃないかと好印象でした。GalaxyTabはスーツの内ポケットにも入るという話はありますが、それはケースなしの前提であって、ケースを付けると一回り大きく重くなってしまうのでさすがにポケットは厳しくなります。001DLならケースを付けてポケットに収められるなぁとちょっと魅力的に感じてしまいました。

 少しキワモノ感があったサイズだったのですが、ひょっとすると40代以降くらいの小さいディスプレイは目が疲れると感じているビジネスマン用スマートフォンとしては、意外とヒットするかもしれません。GalaxyTabよりも機動性は高いと思うので、興味を持たれたらぜひホットモックを触って実感されることをオススメします。意外と面白いサイズだと思います。

【12/16追記】
 発売日直前ということでYAMADA新橋店にてホットモックを確認。モデル番号001DL,Androidバージョン2.2、ベースバンドバージョンGAUSB1A131312-US、カーネルバージョン2.6.32.9-pref、OEMバージョンGAUSB1A131312、ビルド番号12186となっていました。モデル番号もSB用に、ビルド番号もかなり更新された数字になっています。ベースバンドは相変わらずUSが付いていましたが、この時点で付いているということは国表記とは異なるのかもしれません。動作に特に大きな違いはみられませんでしたが、ホームのWidgetが重かった印象はずいぶんマシになっていました。SIM Managerもなくなっていたので、残っていたのはヨドバシ秋葉原店やITmediaのレビューで使われたホットモックのビルドの問題だったようです。

 GalaxyTabのキャンペーンによる実質的な値下げが発表されているので、割高感のある001DLがどれほど販売を伸ばせるのか微妙な感じはしますが、電話として著しく不自然でない掛け方ができ、スーツでもポケット等に入れて常に持ち歩き可能な最大サイズのAndroid端末になると思いますので、ビジネス関係でAndroid端末を検討されている30代以上の方にはとても魅力的な選択肢になるだろうと改めて感じました。画面が大きいのはやはりいいですね。SoftBankがもう少し魅力的な価格設定をしてくれたらと残念に思います。

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■Viberが送信する情報のメモ
 Viberが利用者のアドレス帳情報をサーバに送信して保管するということなので、具体的にどんな内容が送信されているのか、登録から全てパケットキャプチャして確認してみた。暗号化されていたらわからないなと思っていたが、昨日の記事で電話番号が平文で送信されていたのでひょっとしたらと予想した通り、Viberは登録時にほぼ全ての情報をhttpで平文のまま流通させていた。せっかく素晴らしいソフトなのに残念なことだと思う。

 ※こちらの記事はガジェット通信に転載いただきました。

 最新の記事
 Viber 2.1遂に連絡先平文送信を変更
 http://blog.isnext.net/issy/archives/1610

3/15 地震関連でViber検索の結果こちらにたどり着かれる方が多いようなので一部再編集しました。Viber関連は可能な限り以下のリンクを全てご確認いただき、使用するかどうか判断材料としていただければと思います。4/2 暗号化検証記事を追加しました。5/8 他記事を読まずにミスリードされる方がいるので必要と思われる注記を追記しました。

 ・Viber 暗号化対応を示唆 CEOが表明【12/31追記】
  Viber社の情報取扱いの詳細に言及しています
 ・Viber 5つの誓い
  Viber社が会社として守るべきと定めた誓約を紹介しています
 ・Viber v1.1の現状とv2.0のリリース予定
  Viberの問題点の現状と次期リリース版について言及しています
 ・Viber 2.0の暗号化対応は限定的
  Viber 2.0の暗号化対応について検証しました

■キャプチャで判明したこと
・登録で通信するサーバはwa.viber.com
・NYのミッドタウンセンターにあるNetVision社のIP
・Webサーバはngnix Webアプリはphp
・User-Agent: Viber/1.0.95906 CFNetwork/485.12.7 Darwin/10.4.0
・登録時にクライアントから送信される項目
 RegisterUserRequest
 PhoneNumber
 PushToken
 CountryIDDCode
 UDID
 DeviceType
 SystemVersion
 ViberVersion
・アクティベートがOKになるとアドレス帳が送信される
 送信はTCP4244宛て平文
 送信先はAmazon EC2上にあるサーバ
 送信内容は連絡先アプリ内の登録情報全員分
 送信項目は 「姓、名、携帯番号、着信音設定値」
 他の入力項目は送信されていないように見える

 ※当初送信項目を「性、名、携帯番号、着信音設定値」としていましたが、漢字の変換ミスです。iPhoneの連絡先の登録項目には標準では性(性別)という項目はありません。

■所感
 3G接続を前提にしているとはいえ、せめてSSLは利用してもらいたいと思う。アドレス帳を項目は限定されているとは言え、全てネット上に平文で送信するのはどうかと思う。たしかにアプリの設定時にアドレス帳へのアクセスは許可しているが、通常それはアプリケーションがローカルでアクセスすることを想定し、情報がネット上にアップロードされることを許可しているつもりまではないと思われる。仕様上必須なのであれば「アドレス帳のデータをViberサーバにコピーするが構わないか?」という問いかけで許可を得るのが適切だと思う。Viberのサイト上のポリシーにはサーバ上にコピーする旨が明記されているが、アプリをダウンロードして設定するまでの間に、それに気付く機会がないのでは片手落ちだと思われる。Viber自体は非常に優れたアプリケーションだと思うので、告知内容の見直しや、登録時や架電時の通信内容の暗号化はぜひとも対応してもらいたい(※v2.0のリリースにより3月中に暗号化対応される予定)。

 Viberはユーザの意図しないところで、アドレス帳情報を外部送信していると見られても仕方ない状況だと感じる(※v1.1で通知内容が改善されたことで一応の対処はされている)。一般の人は個々の判断でViberをどのように利用するか判断すればいいと思うが、少なくともアドレス帳に入っている友人知人の情報(一部)が、TRUSTe等の比較的信頼のある個人情報保護体制認定プログラムを取得していると明示されていない外国企業に流れていることは自覚しておく必要がある。もしPマーク等の個人情報保護体制認定プログラムの適用事業者に勤務している場合には、業務上利用しているiPhoneにViberはインストールしてはいけない。アドレス帳に取引先や従業員情報が入っていた場合、法人としてViber社と適切な契約状況になければ情報漏えいに該当すると判断される可能性が否定できない。おそらくEU辺りからViber社はいろいろ突っ込みをもらうことになるのではないかと推測する。その改善後には安心して利用できるようになるかもしれないと思う。

Viber社
http://www.viber.com/
Viber社プライバシーポリシー
http://www.viber.com/privacypolicy.html

【12/23追記】
 Viberの情報の取扱いについて以下のblogが12/04に懸念を表明したところViber社のCEO Talmon Marco氏から12/10 16:02のコメントで回答があった。その一部に気になる発言があったのでメモしておく。

 Agmon Dot Com / Privacy 101 or Why You Should Not Use iPhone App Viber
 http://blog.agmon.com/2010/12/04/why-i-will-not-install-viber/

 アドレス帳を送信していることについては、アドレス帳でなく名前と電話番号のみだ(we actually do not send the entire address book, we only send names and phone numbers)と回答している。blogではアドレス帳の全ての詳細が送信されているとしている(They now know practically every detail of your phone book.)ことからこの反論は妥当と思う。正確には着信音設定も送信されているのだが、プライバシー項目に相当しないという観点から述べられていない可能性がある。電話番号と名前をセットで送信している理由としては、Push通知する時に電話番号だけではない方がいいと判断しているから(We send the names associated with the numbers because otherwise we won’t know what to write in the push notification and will have to send something like +12125551212 is calling you. Not good.)だそうだ。これはある程度理解できるが、だとすれば事前告知で適切に説明すべきと思う。

 個人情報が第3者に提供されることについては、パートナーと共有する可能性があること(Yes, we may share information with partners in order to provide the service.)を明確にしているが、例示としてSMS配送会社との共有を出しており(For example, we share your phone number with an SMS delivery company in order to send you a text message.)、規約を修正して明示する(I do believe that we can make this clause clearer. We will fix it.)としている。規約へのより適切な明示は歓迎すべきところではあるが、例示されたSMS配送会社への共有というのは、やや不安感を伴うものであり、Viber社がどのような信頼性評価をするのかわからないが、今後SMS配送会社経由でSMSスパムが送信されてくるかもしれない懸念を感じざるを得ない。第3者提供の可否について個別のオプトアウトを可能にしてもらいたいと思う。(※こちらの後日記事情報が共有される範囲はサービス提供上妥当な範囲であることが確認されています

 通話記録を残していること(their privacy agreement states that they collect and log all your phone calls)については、特別な言及はなかった。ViberではP2Pでの通信が前提なのでiPhoneで3G回線同士で通話する限り通話内容をViberサーバに残すことはできない。サーバに残るのはプライバシーポリシーにはViber ID, phone number, 端末識別コードUDIDとなっている(hese logs contain your internal Viber identification which is a combination of your account identification (i.e., your phone number) and Apple Unique Device Identification (“UDID”) or Android Device ID.)ので、通信事業者?としては妥当なものだと思われる。ただ保存目的や保存期間の明示がないのは残念だと思う。(※こちらの後日記事で保存期間等についても明示されています)

 コメントの最後に、ポジティブなレビューと同じくらい製品とポリシーの改善に役立つから批評について歓迎する(Anyway, we welcome the critiques – they help us improve our product and our policies as much as we are happy about the positive reviews we get.)と書いてある。CEOが直接個人blogにコメント返信するなど、今ではあまり驚くことでもないかもしれないが、真摯に回答がされることはやはり素晴らしいと思う。

 一方、自分で記事を書いてやはり暗号化されてないことが非常に気になったので、12/18にViber社のサポートに暗号化のリクエストを出してみたのだが、受付された旨の表示にはなっているものの12/23現在全く進捗がない。12/17に投稿されている別人からの暗号化通話のリクエストにも何も進展がないように見える。(なぜ自分のリクエスト投稿は公開されていないのか不明、カテゴリが違うのか?)年末が近くもしかしたら既にクリスマス休暇で稼働していない可能性もあるが、CEOの対応はなかなか興味深いのに、通常あるべきサポートのレスポンスが残念に見えてしまう。リクエストへのレスポンスがあったら、またこちらに追記していこうと思う。(※その後Viber社のCEOとコンタクトする機会があり、直接要望を行い対応してもらうことができた。サポートも解決済みステータスに移行した。)

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■Viberを使ってみたメモ
 iPhone用のVoIPアプリViberを使ってみたメモ。どういう動きをしているのか大変興味深いので、いろいろ試してみた。気になるところがあったので、最後に少し書いておく。

 【12/9追記】更に調査したので、こちらもどうぞ。
 Viberが送信する情報のメモ
 http://blog.isnext.net/issy/archives/571

■試験環境
 ユーザA
  iPhone 3GS SoftBank回線から接続
 ユーザB
  iPhone 3GS WiFi接続 SIM抜き
  iPad WiFi接続 3G無し
 ネットワーク
  WiFiは、BフレッツでAsahi-netに接続している宅内LANに
  Ethernetで接続しているiMacのAirMacインターネット共有。
  iMac上でCocoaPacketAnalyzerでAirMac I/Fをdump調査。

■通話試験でわかったこと
・ViberはSMSでパスコードさえ受け取ればWiFiオンリーでも利用可能
・同じ電話番号は常にひとつのデバイスでしか利用できない
 ひとつ登録した後で、別のデバイスで同じ番号を登録すると先の登録は無効に
・しばしばコールを受け取れず不在着信だけ残ることがある
・コールをフックした後音声が出ないまま切れることもしばしば発生する
・まともに着信しても音声が出るまでに数秒間がある
・最初はバッファ時間を調整しているのか遅延が0.5〜1秒ほどある
・通話している内に遅延が短くなって0.1〜0.2秒程度になっていく
・通話品質は3Gのアンテナの弱いところでも3G通話程度
・アンテナが良好な場合はPHSより少し下くらい?良い音に感じる
・iPhoneはもちろん、iPadでも利用できた

■dumpしてわかったこと
・ユーザ登録情報を管理しているサーバはAmazon EC2上にあるらしい
・日本のViber用サーバが「使えるネット」のVPS上にあるらしい
・認証関連はTCP 4244でEC2サーバに接続
・ダイアル発信時にはUDP 5243でViber用VPSサーバに接続
・3G接続側はVPSサーバに音声データ接続するらしい
 3G接続側のデータはVPSサーバ経由でWiFi側に到達している
・WiFi接続側は3G接続側のIPに直接データを送っている
・そのため通話初期の短時間を除いて上りと下りの経路が違う状態となる
・認証サーバとの通信途中で通話先の電話番号が平文で送受信されている

■通話中の通信状態

上り
 ユーザA(3G)→ VPSサーバ:UDP5243→ユーザB:UDP51618(WiFi)
下り
 ユーザA(3G):UDP49242←ユーザB:UDP51618(WiFi)

■まとめ
 EC2やVPSを活用したサービスであることがよくわかる。Viber用サーバの置き場所がこのようなクラウドサービスだとすると、その環境のネットワークやVPS利用者等のセキュリティ管理が若干心配。通信内容から電話番号が平文で拾えるということは、クラウドサービス内の環境が安全でなければ、Viberで利用可能な電話番号を比較的容易に収集できてしまうのではないかと心配になる。数回試した限りでは現状認証関連はEC2上のサーバにしかアクセスしていないので、EC2の環境次第ということか…。うーむ。
 ダイアル時の認証自体は最初の12シーケンスだけなので、ぜひとも暗号化をしてもらいたいと思う…。少なくとも利用者側でできる自衛手段としては、オープンなWiFiにつないでViberで電話をかけない方がいいということか。

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■iPhoneとSIP/VoIP 2010/12版
 iPhone用にSkypeを脅かす存在になりそうなViberというVoIPアプリが登場し、実際使ってみてその音質の良さに少し驚いた。遅延は少し感じるものの3Gでの通話品質の高さと、iPhoneのコンタクトとの親和性の高さ(コンタクトの登録者がViberユーザならアイコンが表示されViberで通話する)はとても素晴らしいと思う。アプリをインストールしてSMS経由でパスコードを受取り認証を行うだけの簡単な手続きもよい。機能的には現時点で音声のみ、iPhoneユーザのみが対象(Andorid版は来年1Q予定)とは言え、今後の発展がとても楽しみなアプリである。

 SkypeはauがAndroid端末の標準機能として組み込み、3G通話との融合でパケットの不安定さを排除し通話の安定性や品質の向上を図る一方で、期間限定とはいえ日本国内で他社のAndroid端末がSkypeを簡単にインストールできなくする制限をかけるなど、キャリアの戦略を左右するところまで成長している。iPhoneではこの規制の影響を受けることなくSkypeを利用可能なので大きな問題はないのだが、プラットホームに依存しなくてすむはずのSkypeがこうした排他的戦略を受容することはやや残念に感じる。auの3G通話融合はバックボーンのIP化やSkype Connectなど多くの技術的背景に支えられたものだと推測するが、戦略的に判断が難しいことは承知の上で、ぜひ他キャリアも実施してもらいたいと思う。

 ということで、前置きがちょっと長くなったがAndroidのSIP記事同様、iPhoneをひかり電話の子機として接続する試験をしてみる。以前試した時よりも選択肢が非常に増えており、実際試し切れないので手元にあるもの&日本語対応のものを中心に試験してみた。環境は以下の記事と同様なので参照してほしい。

 AndroidとSIP/VoIP 2010/12版
 http://blog.isnext.net/issy/archives/556

 iPhoneでの電話経路は WiFi接続でiPhone 3GS →CommuniGate Pro →RV-230SE →ひかり電話網 →WillcomPHS電話。iOSのバージョンは最新の4.2.1となっている。

 ・Acrobit SoftPhone 4.5 ◎ 通話可能 遅延ほぼなし
 ・Linphone 1.0.3 ◎ 通話可能 遅延ほぼなし
 ・AGEphone 1.1 ◎ 通話可能 遅延ほぼなし SIPポート5060に変更
 ・iSip 4.7.1 ○ 通話可能 遅延ほぼなし CodecをG711(uLaw)指定必須
 ・Media5Phone Pro 2.6.1.0 ○ 通話可能 遅延ほぼなし G711 uLaw以外無効に設定
 ・Whistle Phone 1.23 ○ 通話可能 遅延少し
 ・Nimbuzz 2.0.2 × コールするものの音声通話できず
 ・fring 3.3.1.9 × コールするものの音声通話できず

 今回はほぼ全てのアプリでコールが可能で、2つを除いては通話も問題なくできた。上記のうち有償ソフトはAcrobit SoftPhone, iSip, Media5Phoneの3つ。後者2つはCodecを明示的にG711uLawに限定しないと通話できなかったことから、子機運用のみでは利用可能だが外部持ち出し時に3G接続では通話品質に難が出る可能性がある。LinphoneとAGEphoneは無償かつ安定感もあるのでオススメできる。

 AGEphoneは国産ということもあり、2つのSIPアカウントのうちひとつをIP電話Cなど050番号のIP電話に設定可能と思われる(WM版のAGEphoneは可能だった&NiftyフォンCへの接続事例がストアコメントにある)ので、使い勝手の面で一番良い選択肢になるかもしれない。国内のIP電話サービスにはなかなかレジスト可能なIP電話ソフトがないため、AGEphoneがiPhoneに移植されたことは、無償であることと合わせて非常に嬉しいことだと思う。

 今回はひかり電話経由の発信のみ確認したが、iPhoneの場合着信も要確認と思われるので、日を改めて確認をしようと思う。Viberの登場でVoIPがまた注目されそうなので、久しぶりにSIPの検証をやりたくなった。今後も面白そうなものがあれば試していきたい。今回SIPアプリを探す過程で国内でもAgeetがAndroid/iPhone用にBlueSIPというアプリを開発したという記事を知ったのだが、現時点ではリリースされていないらしくAndroidマーケットでもiTunes Storeでも見つけられなかった。CommuniGate Proなど比較的簡単に無償導入できるSIPサーバがあり、昔に比べるとネットワークの帯域や安定性も向上している状況なので、ぜひ国内でももっとSIPが見直されることを期待したい。

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■AndroidとSIP/VoIP 2010/12版
 iPhoneにViberが登場しVoIP周りがまた面白くなってきそうなので、Android版のViber登場を待つ前にSIP記事の更新をしておこうと思い立った。前回の記事は2010年6月ごろなので約半年ぶりの更新になる。

 AndroidとSIP/VoIP
 http://blog.isnext.net/issy/archives/292

 Android用のSIPクライアントの数もそれなりになってきており、古くからのアプリもいろいろと更新がされているようなので、前回の記事同様ひかり電話の子機として自宅環境での実験をしてみる。自宅環境は前回の記事と同じく以下の通り。違っているとするとCommuniGate Proのバージョンが最新の5.3.10になり、SIPゲートウェイ登録から個人アカウントのRSIP登録に修正されている点くらい。

現在自宅はNTTのひかり電話になっていて、CommuniGate ProのSIPサーバ機能とRSIP(リモートSIP)機能を利用してCommuniGate Proサーバ自体をひかり電話の子機としてRV-230SEにレジスト、iPhoneやデスクトップマシンからCommuniGate Proサーバに自アカウントでSIPレジストして電話を発着信できるようにしています。

 発信試験経路も前回と同じ。違っているのはNexusOneのOSが2.2.1になっているというところか。ひかり電話のファームも変更がないので、変わらずサポートしているCodecはG.711 μ-Law (PCMU)のみということに。SIPクライアントのCodecがこれをサポートしていないと電話はできない。

電話経路は WiFi接続でNexus One →CommuniGate Pro →RV-230SE →ひかり電話網 →WillcomPHS電話

という上記条件で発信して通話を試みた結果は以下。

・LinPhone 1.0.16 ○ 通話可能 遅延少ない
・CSipSimple 0.00-15 ○ 通話可能 遅延少ない
・3CXPhone 1.2.3 ○ 通話可能 遅延少ない
・Sipdroid 2.0.1bata × 通話できず PCMU対応だがエラーになる
・fring 2.2.0.7 × コールはできるが音声聴こえず
・Nimbuzz 2.0.1 × Android版はSIP未対応らしい
・aSIP アプリ見つからず
・SipAgent アプリ見つからず

 LinPhoneは相変わらず安定して接続も通話もOK。CSipSimpleが現在のバージョンでは通話可能に。安定しているしUI的にも使いやすい。3CXPhone今回初試験だったが無事通話可能。SipdroidはPCMU対応のはずだが、コーデックの設定をPCMUのみにしても通話どころかコールすらできず。fringは前回通話できたが今回コールはしても着信側が電話に出ても呼び出し続け通話することができなかった。後の3つは試験できず。

 現時点でダイアル発信とsipアドレス発信がUI的に簡単に切替できてわかりやすいCSipSimpleはオススメできるかもしれない。長時間の通話テストや3Gでのテストはやっていないので、その辺も今後試してみたいと思う。

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