■Galaxy Nexus GT-I9250 UK版 レビュー
 HandtecにオーダーしてあったGalaxy Nexusが届いたのでレビューを書いておきます。型番のGT-I9250は外箱のタグ等に記載はなかったのですが、パッケージ同梱のQuick Start Guideに型番記載があったのでそれを記載しています。基本的なハードウェア仕様はdocomo版SC-04Dとほぼ同じなので前記事を参照していただくとして、ここでは設定関連や動画再生について中心的にレビューをしていきます。

 到着したGalaxy NexusのAndroidバージョンは4.0.1、ボリューム制御の不具合があるまま出荷されたバージョンということになります。ベースバンドバージョンはI9250XXKK1、カーネルバージョン 3.0.1-ge2433f2 android-build@apa28 #1、ビルド番号 ITL41Dでした。リファレンスモデルということで当然のようにセットアップ段階から日本語が選択可能になっています。ただしフォントはCJKフォントでモトヤフォントは残念ながら導入されていませんでした。日本語入力プログラムは導入されていないので、マーケットからインストールする必要があります。とりあえずATOKを導入してみましたが、問題なく動作するようです。注意が必要なのはデフォルトで使うIMEを切り替えるためにテキストフィールドを長押しする方法が使えなくなっているようで、設定するために「設定>言語と入力>デフォルト」の項目を変更する必要があるということです。最初ちょっと戸惑ってしまいました。

 docomo版では延期されているテザリング機能も当然のように利用可能になっており、無線とネットワーク設定から選択することができます。Galaxy NexusではUSBやWi-Fiテザリングに加えてBluetoothテザリングも有効になっていてびっくりしましたが、何故かヘルプにはBluetoothテザリングの記述がなく少し不思議な感じです。リファレンス端末であることを証明するかのような開発者向けオプションは正式版でもそのまま残されており、USBデバッグ設定などはここでするようになっています。こちらの項目に開発端末IDという名称のものがありアルファベットのコードが表示されているのですが、用途はともかくデバイスを一意に特定可能なコードになっていそうなので扱いには注意した方がよさそうです。

 初搭載されたフェイスアンロックも試してみました。「設定>セキュリティ>画面のロック」から設定を行います。フェイスアンロックの設定をする際に注意が表示されるのですが、「フェイスアンロックは、パターン、PIN、パスワードよりも安全面で劣ります。」と適切に警告されていることには好感が持てます。フェイスアンロックが失敗した場合にパターンかPINで解除できるよう必ず設定させられるので、この辺りも適切だなぁと思いました。フェイスアンロックの認証動作は非常に早くカメラに顔が映ったなと思った瞬間に解除されています。試してはいませんが写真でも解除できてしまいそうなので、面白い機能ではありますがセキュリティとしての期待はあまり持たない方がいいかもしれません。

 SC-04Dのレビューで書いた通りメニューボタン相当の機能がアイコン化されアプリ内の配置が自由になったことで操作感が微妙になっている点ですが、やはりかなり影響があるなぁという実感です。持ち位置を直さないと左手持ちで指が届かない右上にメニューが出るアプリが、ブラウザ・ギャラリー・マーケット・Earth・カレンダー・トーク・プレイス・検索・電卓・電話など。画面下部に出るので支障がないアプリにメッセージ・Gmail・ナビ・マップ・音楽・ユーザー(旧連絡先)などとなっています。主要なアプリでもバラバラ、更にこれらのアプリでも画面上の配置が微妙に異なる(最上段だったり中段だったり、最下段だったりアクションバー内だったり)という具合で非常に統一性に欠けます。メニューボタンを統一的にアクションバーに入れなかったのは愚策としか思えません…。非常に残念です。

残念といえばひとつGoogleアカウント設定での注意があります。今回からGoogleアカウントの同期設定にGoogleフォトが追加されており、Galaxy Nexusで撮影した写真は放っておくと全てクラウド側に自動で同期されてしまうようです。GoogleフォトはおそらくPicasaのことになりますが、とりあえず設定して同期してみてもPicasaでは表示されず…。Google+の写真にも出てこないのでどこにどう同期されているのかよくわからないのですが、クラウド側に置いてしまって万が一ネット上で公開されてしまったりするとまずい写真がある場合には注意した方が良さそうです。風景とかならともかく友人知人が写っている場合にはやっぱり気になりますよね…。この辺り詳しいことがわかれば追記したいと思います。(どうもプリインストールアプリのGoogle+でログインをすると機能が有効に働くっぽい?)

 恒例の動画再生実験もやってみました。Galaxy NexusはMicroSDに対応していないので、動画や音楽ファイルの転送にはAndroid File Transferアプリを使用します。今回はMacOSX版をダウンロードして使いました。アプリはダウンロードしてアプリケーションフォルダにコピー、ダブルクリックで起動するだけです。USBケーブルでMac本体と接続されていればウインドウが開いて本体のフォルダ一覧が表示されるので、Moviesフォルダに動画ファイルをドラッグコピーすればOKです。同期等のコントロール機能があるわけではありませんが、転送も早くそれなりにお手軽という感じです。それなりに便利なのはiTunesのプレイリストから直接音楽のタイトルをドラッグアンドドロップして音楽ファイルを転送することができることで、使い勝手は悪くないかなと思いました。ただプレイリストは端末上で再構成しないといけないのでその点は少し残念です(プレイリストをドラッグすると含まれる曲がフラットにコピーされるだけ)。

 ということで動画のローカル再生は本体のストレージからとなります。DLNAサーバはMacOSX上のPlayback1.8.8で、再生アプリはローカルはギャラリーアプリ、DLNAはskiftaがローカルネットワーク上のDLNAサーバを見つけられない(Android4.0に未対応のせい?)ため代わりにAwoX mediaCTRLでの再生となります。mp4は全てWebOptimizedなファイルです。

ファイル:
  A) AVI DivX502 mp3 640×480.avi
  B) AVI H264 mp3 640×480.avi
  C) AVI Xvid Mp3 640×480.avi
  D) MKV 1280×720 x264 AAC.mkv
  E) MKV 1280×720 x264 AC3.mkv
  F) MP4 w BP3 480×270 H264 AAC.mp4
  G) MP4 w BP3.1 640×480 H264 AAC.mp4
  H) MP4 w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  I) MP4 w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
  J) MP4 w MP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  K) MP4 w HP3 640×480 H264 AAC.mp4
  L) MP4 w HP3.1 1280×720 AAC.mp4
  M) MP4 w HP4 1920×1080 H264 AAC.mp4
  N) WMV 24fps 640×480.wmv
  O) WMV 60fps 640×480.wmv
  P) MP4 60fps w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  Q) MP4 60fps w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
 ※mp4の略号 BP=Baseline Profile MP=Main Profile HP= High Profile 数字はLevel

ローカル再生
 B,E,N,O以外全て再生可能。N,Oはリストすらされず。Bは音声のみ可映像不可。Eは音声不可。
 Qは再生自体は可能だがコマ落ち激しく実用は不可。全画面再生可能

DLNA再生
 B,E,N,O以外全て再生可能。Bは音声のみ可映像不可。Eは音声不可。
 P,Qは再生自体は可能だがコマ落ち激しく実用は不可。メニューバーとアクションバーが残存する。

 結果としてはOMAP4430を搭載しているArchos 80 G9とほぼ同様という感じですが、wmv系が非対応になっているのが残念なところです。上位CPUなので1080p 60fps mp4も再生できるのではないかと期待したましたが、こちらも残念な結果に終わりました。音楽の再生ではVictorのHA-FXC71-Bで聴く限りSC-04Dと同様好印象です。MDR-7506で確認してみてもやや固く締まった感じのあるHTC Radarに比べて音がやや明るく広がり感があるこちらの方が一般的にも好まれるのではないかと感じました。設定アプリの音項目にはイコライザーなどがありませんでしたが、音楽アプリの再生曲を表示している画面のメニューアイコンから「サウンド効果」を選択することでイコライジングが可能になっていました。音楽アプリの再生曲の画面ではメニューアイコンは画面右上、曲一覧画面ではメニューアイコンが画面右下と位置がころころ変わるので、この辺もやはり気になってしまいました…。

 Galaxy Nexusのカメラは画素数は高くないですがレスポンスはいいと前レビューで書きましたが、実機もその通りで非常に快速にシャッターが切れます。今回は動画の撮影もしてみたのですが、1080pまでの動画がmp4ファイルとして記録されます。撮影した動画の情報をMP4BOXでチェックしてみたところ以下のようになっていました。Baselineの4.1、音声はAACの1chです。撮影した動画はAndroid File TransferアプリでMacにコピーし、QuickTimeで問題なく再生可能でした。ちなみにAndroid File Transferアプリで接続している最中にカメラ撮影したファイルは次に接続し直すまで、Android File Transferアプリのウインドウ内では表示されないようです。

[code]* Movie Info *
Timescale 1000 – Duration 00:00:14.720
Fragmented File no – 2 track(s)
File Brand isom – version 0
Created: GMT Fri Nov 23 15:10:23 1945

File has no MPEG4 IOD/OD

Track # 1 Info – TrackID 1 – TimeScale 90000 – Duration 00:00:14.468
Media Info: Language “Undetermined” – Type “vide:avc1” – 347 samples
Visual Track layout: x=0 y=0 width=1920 height=1080
MPEG-4 Config: Visual Stream – ObjectTypeIndication 0x21
AVC/H264 Video – Visual Size 1920 x 1080
AVC Info: 1 SPS – 1 PPS – Profile Baseline @ Level 4.1
NAL Unit length bits: 32
Self-synchronized

Track # 2 Info – TrackID 2 – TimeScale 48000 – Duration 00:00:14.720
Media Info: Language “Undetermined” – Type “soun:mp4a” – 690 samples
MPEG-4 Config: Audio Stream – ObjectTypeIndication 0x40
MPEG-4 Audio AAC LC – 1 Channel(s) – SampleRate 48000
Synchronized on stream 1[/code]

■まとめ
 スクリーンの品質やハードウェア全体の品質は十分な仕上がりだと思いますが、やはりAndroid4.0(ICS)のUIの部分が非常に気になってしまいます。初期設定時にオーバーレイ表示するガイドやヘルプなど優れた改善もあるのですが、メニューアイコンの配置など日常的に重要な操作部分での微妙さがとても残念です。既存のアプリもインストールはできるのに実質的に機能しないものが結構あるなど、予想の範囲内とはいえdocomoからSC-04Dが正式発売された後のコンシューマーの反応はちょっと恐そうな気がします…。開発者向け端末としては非常に便利且つ実用的になっている面も多いと思うのですが、少なくとも初めてAndroid端末を使うという人にSC-04Dを売るためはAndroid4.0対応アプリが在る程度出そろうまで待った方がいいのではないかと思いました。そうでないとマーケットのレビューが悲惨なことになりそうです…。docomoの影響の少ない端末であるが故にSC-04Dに売れて欲しいとも思うのですが、いろいろな影響を考えるとやはりこの端末はAndroid4.0であることの意味を適切に理解できる方以外にはオススメできない端末となってしまいそうです…。

 ボリューム関連のバグのFixも遠からずOTAされるらしいので、いろいろ遊びながら気付いたことを追記していこうと思います。

■気付いたこと(随時追記中)
・3Gの掴みはiPhone3GSやHTC Radarに比べるとイマイチっぽい
・無線LANも同様(アンテナ受信感度が他機よりやや低く表示される)
・docomo SIMだとAPNが自動設定されるらしい(twitterで聞いた)
・softbank SIMは手打ちしないとAPN設定されない
・3G/Wi-Fiオンでもバッテリーの持ちはかなりよい
 (実使用状況にもよるかもしれないがHTC Radarと同程度な実感)
・一度だけマーケット操作中に画面フリーズ(電源長押しで終了)
・再起動したら10%以上一気にバッテリーが減少していた(謎
・外でも比較的画面が見やすい(NexusOneからは大きな進歩)
・画面をスクロールさせようとする時一瞬だが間があるように感じる
・CJKフォントでも画面の精細度が高いせいかフォントスタイルにはあまり違和感を感じない
・字形が異なる一部漢字はともかく、十分に見やすく使い慣れれば問題なさそう
・大画面化しているがAndroid2.x用アプリでもスケーリングに不自然さをあまり感じない
・やっぱりメニューボタン位置のおかげで左手持ち片手操作完結は無理orz
・本体スピーカの音質もなかなか締まったいい感じ
・デフォルトで入っている着信音やアラーム音はなんだか穏やかで優しい印象のものが多い
・通信データ量がアプリ毎で判るのはやはり便利
・通信データ量のマーカー設定が設定したい値が大きいほど微妙にやりにくい
・Android File Transferのファイル転送は約5Mbyte/秒(100Mbyteを20秒くらい)
・Android File Transferウインドウ内のファイルもコマンド+デリートキーで削除可能(確認有り)
・USBマスストレージモードはないみたい(メディアデバイスとカメラの2モードが設定可能)
・スクリーンの映り込みはあまり気にならない
・皮脂を目立たなくする加工はかなり優秀な気がする
・アンチグレアフィルムを貼るつもりだったが不要と思い始めた
・充電クレードルが欲しいかな
・標準音楽プレイヤーで画面スリープ時にいくつかのm4aで音飛び確認
・再生中に画面を点けると飛びが解消するので省電力制御の問題っぽい
・音飛びが発生する条件は歌詞が記録されていることらしい(発生曲に共通)
・歌詞がない曲は問題が発生しない模様
・APNが消える現象発生…原因特定できず…
・ワイシャツの胸ポケットより大きい携帯ってやっぱり微妙な気がする…
・熱はあまり気にならない、カメラ下がちょっとあったかいかなって感じ
・カメラの写りは微妙な感じ、思ったより暗所ノイズは多めorz
・WBもなんだか微妙なんだけどHTC Radarと比べたらいかんか…

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■docomo Galaxy Nexus SC-04D ラウンジ版レビュー
 Galaxy Nexusのレビューは実機が来てからと思っていたのですが、発売日が少し先になってしまったのでラウンジ版をレビューしておこうと思います。スマートフォンラウンジでは入口寄りに3台展示されており、さすがに注目を集めていて常に誰かしら順番待ちをしているというような具合でした。しかしながら、少し前にtweetしたのですが、個人的にはこの端末についてはあまり国内での販売が伸びないのではないかと思っています。コンシューマにとってハードウェア面でスペック的に訴求できる部分が少ない上に、最大のセールポイントであるAndroid4.0(ICS)も魅力的な部分はもちろんあるものの、使いやすい携帯電話を求める多くのユーザにはICSのUI自体が魅力的には映らないだろうと感じてしまったからです。そうした部分を中心にここではレビューを書いていこうと思います。

 こちらも合わせてどうぞ
 Galaxy Nexus GT-I9250 UK版 レビュー
 http://blog.isnext.net/issy/archives/1731

■ハードウェア
 Galaxy Nexusの第一印象は「画面大きくて本体でかい印象の割に薄くて軽いかな?」というやや中途半端な感覚でした。スクリーンは4.7インチ1280×720の有機EL(HD Super AMOLED)でPentail配列のものになっています。高解像度ではあるものの画素を少なくしたPentail配列ということで少し表示の精細感について心配していましたが、実機を見てその不安はなくなりました。輝度も高く発色も良く精細感がありにじみ等をほとんど感じさせない美しいディスプレイになっていると思います。Optimus LTEに比べればやや粗いということもできると思いますが、通常の利用でその差が気になるようなことはあまりないと思いました。スクリーン表面はややカーブした形状ということですが、正面から見て使う限り湾曲を意識するようなこともありません。タッチの反応も非常に良く、高速なCPU OMAP4460と相まって非常にスムーズな動作が実現されていると感じました。皮脂も他機に比べて目立ちにくい加工がしてあるように感じました。スクリーンが大きいので片手親指での操作で対応できる範囲が非常に限定的で、横方向にはあまり支障がないものの、画面縦方向の操作は指が届かず、操作するため持ち位置を直したりしないといけない場面がかなりありました。カーブしたスクリーンが少しは移動距離を補ってくれるのかと思ったのですがそういう感じはありません。後述しますがOSの問題と合わせて、この操作具合がGalaxy Nexusで結構致命的な問題になるのではないかと心配してしまいます。

 ICS前提の設計になったことで、スクリーン下部には見慣れたタッチ式物理式ボタン類はありません。Android3.x同様、戻る・ホーム・タスクボタンはスクリーン内のアクションバーに表示されるようになります。物理的なボタン類は最小となり、本体左側面にボリュームキー、右側面に電源キー、本体下部に左からヘッドホンジャック・マイク穴・MicroUSBととてもシンプルになっています。右側面にはクレードル用の充電端子もありますが小さくあまり目立ちません。電源とボリュームは薄い印象でクリック感もほどほどですが、安っぽい感じはありません。背面上部中央にはカメラとLEDフラッシュがあります。背面の広い範囲を凹凸のある樹脂カバーで覆っているのですが、これが個人的には持ちやすく好感触でした。ただあまり携帯電話にはないタイプの加工なので人によって好みが分かれそうな気がします。本体の重量バランスも悪くなく、滑りにくい背面カバーと合わせて非常に持ちやすいと感じました。

 カメラは500万画素と今どきのスマホとしては画素が少ない感じですが、レスポンスは非常によくシャッターラグをほとんど感じさせません。ほとんど押した瞬間に撮影が終わっている感覚です。Xperia Arcのカメラ速度も当時感動したことを覚えていますが、これはそれ以上の快速動作です。写真のクオリティは画面で見る限りとなりますが、ブレも少なくキレイに撮影できているように感じました。フロント120万画素のカメラもノイズが少なく非常にキレイな表示が得られます。残念なのはカメラの撮影オプションが非常にシンプルすぎて物足りない感じがすることです。撮影モードはオート含めて5つ、露出補正も±3、パノラマ撮影が可能になっている等のプラス要素もあるものの最近の機種に比べて見劣りする感は否めません。Galaxy NexusがICSのリファレンス機であることは周知なわけですから、ICSではカメラは重視していないとハッキリ出てしまっているようで残念に感じます。

 ワンセグやおさいふ・赤外線等の日本独自の機能は当然のように搭載されていません。Felicaの代わりにNFCが搭載されていますが、NFC搭載機間でデータ交換可能なAndroidビーム以外では国内で今のところ利用する術はなさそうです。

 起動時間は以下のような感じです。起動はまずまず速いと思いました。
 電源長押し→5秒→Googleロゴ→10秒→読込み動画→15秒→ロック画面(合計約30秒)

■ソフトウェア
 前述の通りICSということで、Androidバージョンは4.0.1です。カーネルバージョン 3.0.1-gc1a8b31 android-build@apa28 #1、ベースバンドバージョン SC04D0MKK2、ビルド番号 yakjusc-userdebug 4.0.1 ITL33D SC-04D.KK2 test-keysとなっており、Samsung系らしい番号が振られていることがわかります。標準の日本語入力はiWnn IME Ver.2.2.0.jp-Google-03 オムロンソフトウェア(株)となっていました。スクリーンが大きくなっている分、入力はしやすいように感じます。プリインストールアプリはdocomoから発売される端末としては非常に少なくOS標準のものを含めて32個しか入っていません。Optimus LTEの半分以下です。明らかにdocomoの追加アプリと思われるのはspモードメール・あんしんスキャン・エリアメールの3つだけです。リリース時にどうなるかは判りませんが、このままの数でリリースされるなら画期的と言えるかもしれません。

 プリインストールアプリとしてGoogle+があったりカレンダーのデザインがそこそこ良くなっていたり、メールやブラウザもデザインや使い勝手がやや違っていたりする部分はあるのですが、個人的に一番インパクトがあったのは、Android2.x系でメニューボタンに相当する機能が非常に判りにくく使いにくくなったことでした。ICSでは通常アプリがフロントで動作している場合には、アクションバーには戻る・ホーム・タスク一覧の3つのボタンしか表示されていません。これまでのメニューに相当する機能は縦に3つの■が並んだアイコンでアプリ内のどこかに配置されます。この配置に一定のルールがないようで、アプリによってこのアイコンの配置がバラバラになっています。画面の下の方にある場合には片手操作にあまり支障がないのですが、画面上部に配置されると持ち方を変えないと片手では操作できません。左手親指をメインで片手操作したい場合、画面右上にメニューアイコンがあると本体を持ち直さないと親指が届かないという具合です。慣れればなんとかならない訳ではありませんが、ICSの標準アプリでもこうした配置が不規則になっており、非常に使いにくいと感じてしまいました。例え両手持ち操作前提であってもUIの統一による分かりやすさは大切だと思うのですが、ICSの個々のアプリのUIのバラバラさ加減にはGoogleがユーザビリティを軽視している姿勢しか感じられませんでした。Androidに慣れているから感じる変更されたことへの不満ではなく、UI要素の位置やカラーがバラバラに使われていることへの不満であることは、少し注意して一度利用してみるとすぐに理解できると思われます。正直なところ初めてスマホとしてICSを使う人はこれを理解して快適に操作できるのだろうかと心配になりました。

 設定関連でも、これまでの項目がフラットに並んでいたところにカテゴリ単位にまとめるようなUIが広く導入されているのですが、小さいフォントでカテゴリを表記しラインの太さを変えることでカテゴリ化を表すようになっていて、これが非常に中途半端で項目説明のフォントとサイズが同じで返って分かりにくくなっているところも散見されました。フォントフェースを変更したり色を変えるなどもう少し工夫のしどころはあるだろうに、そうした努力がされていないように見えます。「その他…」という意味不明の階層化がされた項目がそこだけ存在したり、Googleが何をしたいのか、どうユーザに理解して使って欲しいのか、ICSのUIの設計は全体を通して非常に不透明な感じがします。表面的なデザインやセオリーによってのみ再構成され、特にUIにおいては本質的な設計思想を欠いたアップデートになってしまったのではないかと残念に感じました。

 先に酷いと思った部分を書いてしまいましたが、良い部分ももちろんあります。開発者向けオプションの設定項目はリリース時に残るかわかりませんが、CPUの動作状況をリアルタイムに画面に表示できるなど便利な機能がたくさん用意されています。Wi-Fi Direct設定や端末の暗号化設定の際などに表示される注意書きは力が入っているようで非常にわかりやすく説明がされており好印象でした。VPNの接続オプションが6種類選べるなど細かくなっておりこれも嬉しいポイントです(OpenVPNが選べたらもっと良かった…)。データ使用という項目では、一定期間の通信量とそれをどのアプリが行ったのかが一目でわかる工夫がされていて素晴らしいと思いました。またアプリを個別に選択してバックグラウンドでの通信を制限する設定が可能になるなど、ユーザの安心感に直接繋がる機能が追加されており非常に嬉しいところです。

 動画再生に強いArchos 80 G9(OMAP4430)よりも上位のCPU OMAP4460を搭載しているということで、動画の再生試験も試してみたかったのですが、スマホラウンジでは試すことができない(そもそもMicroSDにも対応していないですしね)ので、音楽再生のヘッドホン出力確認だけしてきました。動画の再生試験は実機到着後に改めて記事にしたいと思います。ヘッドフォンジャックにいつものVictorのHA-FXC71-Bをつないで、Webブラウザで試聴用mp3を再生したところHA-FXC71-Bとかなり相性がいいようで、低音はしっかりキレと迫力ある鳴り方、ボーカルや高音も伸びやかでクリアな音で聴くことができました。最近はHTC Radarをずっと音楽プレイヤーとして使ってきたのですが、個人的にはそれを超える好印象な再生品質でした。派手さを抑えた堅実でしっかりした再生をするHTC端末に対して、Galaxy Nexusは少し空間を拡げて明るくした感じの音になっていてかなり好みでした。イコライザーなどの音質調整機能はなく標準でこの出力ということなので、おそらく実機が届いたらHTC Radarに変わってGalaxy Nexusが通勤時のメイン音楽プレイヤーになりそうです。(少し気になったのはラウンジの端末では充電用のUSBケーブルをつないだ状態だとヘッドホンジャックからの音声出力にノイズがのったことです。展示されていたのは開発機ですしUSBケーブルを外すとノイズが消えるのでおそらく実用上は問題ないのでしょうが、一応説明員さんに事象を伝えて確認とリリース版で影響のないよう必要な対応をして欲しい旨をお伝えしておきました。)

■まとめ
 個人的に仕事上海外の特定ソフトウェアベンダーと交渉する場合に日本国内端末の実装上の問題でないことを証明するためにリファレンス端末が必要なので確実にGalaxy Nexusは購入はするのですが、果たしてこの端末が国内で(好評を博して)売れるかどうかというと冒頭で書いたように大きく疑問です。最新のOSを最速で求める層と仕事上必要な層を除いて、積極的に購入すべき理由があるように感じません。ICSには正直不満点の方が多いと言わざるを得ないと思っています。iOS5やWindows Phone 7.5がUIで非常に優れた実装を進めて行っているのととても対照的に感じてしまいました。Androidの魅力はその自由度にあることは否定しませんが、Google自身が制御しうるリファレンスたる部分でまでUIが統一されないのは先行きに不安感を感じざるをえません…。ICSは便利な機能は追加されているものの、OSとしてAndroidを使いやすくしてはいない、そんな印象でした。これが単なる杞憂であるならそれに越したことはないのですが、せっかく日本でリファレンス端末が初めて購入できるようになったのですから、これが今後リファレンス端末が発売されなくなる悪しき前例となってしまわないことを、心から祈りたいと思います。

【追記】テザリングについて
 Galaxy Nexus自体はテザリング対応ということになっていますが、上記のレビュー機体において設定アプリ内のメニュー項目にテザリングは存在しませんでした。展示機ではテザリング設定アイコンがホーム画面を右にフリックした2番目の画面内に配置されていましたが、クリックして開いてみてもヘルプという項目があるだけで、そこではUSBテザリングとWi-Fiテザリングの説明が表示されるのみという状況で、テザリングに関する実質的な設定画面などを確認することができない状態でした。SIMフリー版でのメニュー配置がどうなるのかはわかりませんが、docomoの他機種がテザリングの際のみ通常のAPN設定と異なるテザリング用既定APNを利用する変則的な仕様になっていることを考えると、この辺りの実装をdocomo版Galaxy Nexusで独自に追加するようにしたため現在の展示機にその辺りの反映が遅れているという見方はできそうです。説明員の方もテザリングに関してなぜメニューにないのか詳しいことは開発途中のバージョンなのでわからないということでした。

【追記2】SC-04Dのテザリングがアップデート対応になった件について
 11/11に公開されたgizmodo.jpの記事の通りSC-04Dのテザリング機能はリリース当初は搭載されずアップデートで提供されることになったようです。11/7に公開されているBlog of Mobile!!さんの記事では無線とネットワーク設定にテザリングの項目が表示されていることから、docomo側の要求仕様に合わせた変更の結果発売に間に合わないという判断になったことが推測されます。docomoとSamsungの間でどのようなやり取りがあったかわかりませんが、11月の頭の時点で実現されていなかった仕様を11月発売予定の製品に入れ込もうとするのは流石にどうかと思ってしまいます。度重なる海外でのGalaxy Nexusの発売延期はこの件が影響したものではないかと疑いたくなってしまいますね…。

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■CommuniGate Pro v5.4.2のAndroid対応状況
 先日CommuniGate Proがv5.4.2となりExchange互換機能AirSyncの一部バグが修正されたということで問題のあったAndroid対応を検証したメモ。確かに修正は確認できたが非常に微妙な感じ。更なる改善を願うところ。

■動作確認した環境
1) Scientific Linux 5.7 x86(5.6から継続アップデート)
  Communigate Pro v5.4.2(v5.3系から継続アップデート)

2)Scientific Linux 5.7 x86(新規インストール)
  CommuniGate Pro v5.4.2(新規インストール)

どちらの環境でも結果は同じだったので、以下の検証結果はv5.4.2の問題と考える。

■検証結果
1)Nexus One (Android2.3.6公式ROM)
 メール・連絡先・カレンダー同期OK
 デバイス管理者登録:ダイアログのみ表示、実際登録されず
 リモートワイプ:実行できず

2)001HT(Android2.3.3公式ROM)
 メール・連絡先・カレンダー同期OK
 デバイス管理者登録:HTCのカスタマイズで項目自体が存在しない
 リモートワイプ:即時実行可能

3)GalaxyTab(GT-P1000)(Android2.3.3 XXJQ1 rooted)
 メール・連絡先・カレンダー同期OK
 デバイス管理者登録:ダイアログのみ表示、実際登録されず
 リモートワイプ:メールフォルダ操作で実行される…ように見えるが初期化されない

4)Archos 80 G9(Android3.2公式ROM)
 メール・連絡先・カレンダー同期OK
 デバイス管理者登録:ダイアログ表示、権限確認表示、メールとして登録
 リモートワイプ:メールフォルダ操作で実行される…ように見えるが初期化されない

5)ASUS TF101(Android3.2.1公式ROM)
 メール・連絡先・カレンダー同期OK
 デバイス管理者登録:ダイアログ表示、権限確認表示、メールとして登録
 リモートワイプ:メールフォルダ操作で実行される、完全に初期化

 ざっくりと見てAndroid2.3.xには非対応、Android3.2.xには対応しているように見える。リモートワイプなどシステム関連の権限を必要するため、Android2.2以降で新設されたデバイス管理者メニューに必要に応じた権限とそのパーミッション設定が必要となるが、Android2.3.x系では必要な権限の登録が行われない。HTC社の製品のみHTC Senseのカスタマイズでデバイス管理者を必要とせずワイプが可能になっているため、001HTでのみ正しくワイプが機能しているが、HTC社の製品の場合は前述の理由によりCommuniGate Pro v5.3.x系でもリモートワイプ可能だった。今回GalaxyTabでもワイプが動作したように見えた(再起動して情報をワイプしている状況が表示された)のだが、キャッシュ等が削除されただけでアカウントやアプリ含めたデータ類はそのままで、端末の初期化はされなかった。おそらくデバイス管理者に正しい設定がされていない影響と思われる。

 2.3.xでは登録されないデバイス管理者が、何故かAndroid3.2.xでは権限表示された上で適切に登録されることが今回確認できた。TF101では即時ではないもののメールのフォルダを表示しようとした瞬間に端末が再起動され、データの消去が行われ初期化された上で新規登録画面が立ち上がってきた。Archos 80 G9ではやはりメールのフォルダを表示しようとした際に再起動に入るため端末の電源は落ちるがそのまま終了してしまう。電源長押しで起動させた後、何故かパスワード設定のみが反映された状態で起動し、リモートワイプで使用したアカウントのパスワードでログインすると、アプリやデータはそのまま利用可能な状態で残っていた。これはデバイス管理者の権限が反映されたことを示しているが、なぜワイプまでできず中途半端に終わっているのはよくわからない…。Archos製品は他社製品と少し実装が異なり、初期化オプションを複数提供するためシステムイメージをループバックマウントすることでシステム全体をセキュアに保つ仕組みが採用されていることに関係しているのかもしれない。

 ワイプの実行のためにメールフォルダの操作が必要になっているのは、ワイプ実行に必要なProvisionコマンドの発行のため。通常iOSやWindows Phone 7.5ではサーバ側でワイプ指定した時点で、接続を切られた端末側が再アクセスしてProvisionコマンドを要求に応じて返してくることでワイプが実行されるのだが、Android端末では何故かサーバ側でProvisionコマンドを要求しても返してこない。仕方がないので端末側でProvisionコマンドを発行させるために必要な操作として、InBox以外のメールフォルダを開いてみるという動作を行う。フォルダを開こうとするとサーバから拒否されるため、FolderSyncの再問合せをした際に、Provisionコマンドの応答を行うことになる。本来すぐに実行されるべきコマンドが一定操作をしないと行われないことは、おそらくCommuniGate Pro側の要求送信内容の問題だと思われるので、ここも改善してもらいところである。

■まとめ
 CommuniGate Pro v5.4.2でAirSyncのバグが一部修正されデバイス管理者登録部分の動作がやや改善されたことは確認できたものの、まだAndroid2.3系ではワイプなどセキュリティ系機能が実用にならず、3.2系でも機種によっては適切に動作しないことが確認できた。iOSやWindows Phone 7.5の端末では問題なく動作するだけに、シェアの大きいAndroid端末でうまく動作しないことは残念というしかない。デバイス管理者の登録やワイプ実行のためのProvisionコマンドの要求発行内容とタイミングについて更に改善をしてもらいたいと思う。とりあえずメールやカレンダーの同期といった主要な部分は動作しているので実使用上大きな問題はないケースも多いとは思われるが、セキュリティ系で必要な機能についてCommuniGate ProとAndroid端末を組み合わせて利用したい場合には、利用端末で適切に動作するかどうか事前に確認することを強くオススメする。

【追記】Galaxy Nexusが届いたので追記

6)Galaxy Nexus (Android4.0.1公式ROM)
 メール・連絡先・カレンダー同期OK
 デバイス管理者登録:ダイアログ表示無し、登録されず
 リモートワイプ:実行できず

 3.xで対応していた部分がバージョンアップでまた未対応になってしまった模様…。codenameでは正しく動作しワイプできたことから4.0の仕様変更自体の問題ではなさそう。CGS社にはレポートしてあるのだがいつになったら直してくれるのだろう…。

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■Archos 80 G9 タブレット レビュー
 XGA 8インチというAndroidタブレットとしてはレアなディスプレイと最新タブレットにも負けないデュアルコアCPU OMAP4430を搭載したArchos 80 G9が到着したのでレビューを書いておきます。4:3のXGAを敢えて選んだのはiPadで使っていてブラウジングや動画再生で実際に使いやすいアスペクト比だと感じていたから。価格も送料込みで約27000円とスペックに対してお得感があり試してみるにはちょうどいいと思いました。ipadやGalaxyTab等と比較しながら書いてみたいと思います。あまりメジャーな機種ではないと思うのでリンクを紹介しておきます。製品リンク製品スペック

 Android4.0へのアップデートレビューはこちら
 Archos 80 G9 ICSアップデート レビュー
 http://blog.isnext.net/issy/archives/2026

■ハードウェア
 箱から最初に取り出そうとして感じたのは「薄い!軽い!」という驚きでした。スペック上重さは465gなのでそれほど軽量機というわけではないのですが、7インチ系タブレットと比較して一回り大きく、iPadに比較して一回り小さい226 mm x 155 mm x 11.7 mmというサイズから受ける印象と比べるととても軽く感じました。外装はプラスチック樹脂ですが、ガンメタな色が重厚感を出していて安っぽい感じはあまりしません。剛性はあまり高い感じがしないし、落としたら即割れそうですが、表面が過度につるつるしているわけでもなく手にしっとり馴染む感覚で持つことができるので落としやすいということはありません。重量バランスは良好で縦持ちでも横持ちでもあまり手首に負担がかかるようなことはありません。個人的に縦持ちの方が若干持ちやすいかなと思いました。

 液晶自体の発色は大人しめで、ドット感はある程度感じますが輝度も比較的高くかなり見やすい方だと思います。照度センサーがついていないため輝度設定にAutoはなく自分で随時調整する必要があります。8インチの液晶は発表当初IPS液晶採用と表記されていた気がするのですが、今はスペック表でもその表示はないようです。広視野角とは書かれていて、確かに視野角はA01HW等のTN液晶に比べてかなり広く相当ナナメな角度から見てもキレイに表示されています。残念なのは視野角に方向性があり、本体横持ち(Archosロゴが画面下にくる正対の持ち方)の場合に左と上ナナメ方向から覗き込む場合にはTN液晶のように白がやや黄色に黒が灰色に変化するような感じで見にくくなり、右と下ナナメ方向からなら真横に近くまでなってもキレイなまま見えるというような具合です。特性さえ把握してしまえば、縦持ちの際にも持ち手角度次第で良好な表示で楽しめますので大きな問題はないと思います。タッチパネルの操作感はいい感じです。MultiTouch testerで4点まで同時認識できました。ただ他機と比べて少し指紋が目立ちやすいのとふき取りにくいような気がします。

 Android3.2標準搭載ということで画面周りにタッチ式ボタンなどはありません。液晶左にフロントカメラが付いているくらいです。背面にカメラはありません。Archos 80 G9は横置きが正位置で背面にスタンドが組み込まれて自立可能な設計になっていることから、本体下部と上部にはコネクタ類がなく左右に振分けされています。右側面にはボリューキーのみ、左側面に上から3G Modem Stick用スロット・電源・MicroUSB・MicroSD・ヘッドホンジャック・MicroHDMI・電源LEDという感じになっています。MicroUSBとMicroSDは重なるように配置されていますが、MicroSDがフタ付きスロットでなく露出タイプなのでそれほど使いにくい感じはありません。充電はMicroUSB経由で行いますが、iPad等と同様に2Aの出力が必要なようで急速充電のためには専用のアダプタでの充電をオススメします。スピーカーは背面にひとつですが、音量も十分で思ったより聞きやすく十分実用的だと思いました。ボタン類はクリック感がしっかりあり使いやすいと思います。

 起動時間は以下のような感じです。速度は遅くないのですがロゴ表示1つなので時間を長く感じますね。
 電源長押し→8秒→Archosロゴ動画→31秒→ロック画面(合計約39秒)

■ソフトウェア
 Androidバージョンは3.2です。ファームウェアバージョン 3.2.56 ボードバージョン A80S-V5、OMAPバージョン OMAP4430 ES2.2、ブートバージョン Unknown/5.05.000000-C0c01、ビルド番号 HTJ85Bとなっていました(起動直後にファームウェアアップデートが表示されたのでアップデート後の内容です)。通常のAndroid端末とかなり表記方法が異なっています。起動直後の初期設定では日本語が選択できず、英語で設定を進める必要がありますが、起動後にLanguage & Inputから日本語を選択することで日本語表示は問題なく可能です。日本語入力は標準でOMRON SoftwareのJapanese IME Ver1.3.5が導入されていますが、何故か設定して入力しようとしてもキーボードが表示されないため別途ATOKやSimejiが必要になります。またAndroidマーケットは導入されているのですが、新規購入がうまくいかず、設定したアカウントでこれまでに購入したことがあるアプリしかインストールすることができません。新規アプリをインストールしようとすると購入に失敗したというエラーが出てリトライを繰り返してしまいます。実際WebでマーケットにログインするとArchos端末が登録されていないので、何か動作がおかしいことが推測されます。この辺は設定手順などの問題かもしれないので要検証だなと思っています。

 Archos端末の特徴として設定に「Repair & formatting」という項目があり、センサー調整や多種のリセットオプションが提供されています。通常端末のリセットは端末全体の初期化しかしないのですが、Archosはメディアライブラリの再構成・Android設定のリセット・追加データのみリセット・完全な初期化・初期設定のやり直しなど細かな設定が可能になっており興味深いところです。また無線関連設定にはArchosオリジナルの3G Stickの設定項目が用意されており専用アプリと合わせて3Gの利用が可能になっています(3G Stick自体は別売りです)。同じく無線関連設定にはRemote Control settingという項目があり、これもArchos独自の Archos Remote Controlアプリを利用することで、他機からArchos端末をリモコン操作できるよう設定することができます。VNCみたいなものですね。スクリーンショット撮影機能も用意されていて、設定>アプリケーション>開発の項目に「Take a screenshot instead of suspending」という部分がありここにチェックを入れると電源ボタンを軽く押すことでスクリーンショットが撮影できます。シャッター音などが一切ないので不安になりますが、ちゃんと撮れておりギャラリーから撮影画像を確認できます。

 Archosのプリインストールアプリとして面白いのはSystem monitor, Video, 音楽の3つでしょうか。System monitorはタクス管理アプリで稼働中のアプリをリストしてシングルタッチで強制終了できます(確認画面がないので触れたら即終了させてしまいます…こわい…)。またAlarmsという項目がありそこではデバイスをスリープから起動させるタスクと時間が一覧で参照できるのでバッテリー消費の問題解決に役に立ってくれそうです。Videoと音楽はどちらもDLNAとSMBのネットワーク再生に対応しているアプリケーションです(DTCP-IPには非対応です)。標準でDLNAやSMBに対応しているのは珍しい(他ではHTCくらいかな?)と思いました。また予想通り動画再生能力も非常に優秀で以下のようになっています。DLNAサーバはMacOSX上のPlayback1.8.8。再生アプリはVideoアプリでの再生となります(ギャラリーアプリ経由の再生でも同じ結果でした)。mp4は全てWebOptimizedなファイルです。

ファイル:
  A) AVI DivX502 mp3 640×480.avi
  B) AVI H264 mp3 640×480.avi
  C) AVI Xvid Mp3 640×480.avi
  D) MKV 1280×720 x264 AAC.mkv
  E) MKV 1280×720 x264 AC3.mkv
  F) MP4 w BP3 480×270 H264 AAC.mp4
  G) MP4 w BP3.1 640×480 H264 AAC.mp4
  H) MP4 w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  I) MP4 w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
  J) MP4 w MP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  K) MP4 w HP3 640×480 H264 AAC.mp4
  L) MP4 w HP3.1 1280×720 AAC.mp4
  M) MP4 w HP4 1920×1080 H264 AAC.mp4
  N) WMV 24fps 640×480.wmv
  O) WMV 60fps 640×480.wmv
  P) MP4 60fps w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  Q) MP4 60fps w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
 ※mp4の略号 BP=Baseline Profile MP=Main Profile HP= High Profile 数字はLevel

MicroSDでのローカル再生
 B,E以外全て再生可能。Bはエラーで再生不可。EはAC3用のプラグインが必要とStoreへ誘導される。
 Qは再生自体は可能だがコマ落ち激しく実用は不可。

DLNA再生
 B,E以外全て再生可能。Bはエラーで再生不可。EはAC3用のプラグインが必要とStoreへ誘導される。
 P,Qは再生自体は可能だがコマ落ち激しく実用は不可。Pは転送速度次第では再生できるかも。

 他機で再生可能なBがエラーになる理由がよくわからないところです。Qについてはスペック自体に1080p 30fpsまで対応と書かれているので60fpsが再生できなくてもやむを得ないところです。ちなみにMicroSDには480p H263のflvファイルも入っていたのですが、こちらも再生できてしまってちょっと驚きました。驚きついでに1080p x264 AAC MKVファイルもDLNA経由で再生してみたらこれも難なく再生してしまいました。本当に動画再生タブレットとしてはかなり優秀なのではないかと思われます。音楽アプリの方もなんと標準でflacファイルの再生に対応しておりこちらもびっくりです。ヘッドフォンジャックにいつものVictorのHA-FXC71-Bつないで音質を確認してみたところ、若干低音が軽い印象を受けるもののまずまず聞きやすいバランスにまとめてあり、組み合わせるヘッドホン次第で悪くはないかもしれないなと思いました。

 ブラウザやmaps,Twiccaなどいくつかアプリの動作も確認してみましたが、4:3の画面は非常に見やすく8インチサイズでもフォントは拡大しないで十分認識可能です。ピンチズームの反応やフォント拡大時のスムージング処理も快適に動作していると思います。印象としては初代iPadと同じレベルくらいにはなってきていると思いました。日本語の表示では中華フォントの混じる微妙なゴシックになってしまうのですが、それなりに見やすく常用は十分できると思われます。可能ならフォントを変えたいところですが、調べてみたところまだ成功例はないようなので、もうしばらく待つ必要がありそうです。マップがかなりサクサク動作するのはやはり嬉しいですね。GPSの精度も高いようです。4:3の画面の情報量はやはりマップ利用時にも非常に有効だと感じました。

■まとめ
 マーケットがうまく動作しないなど微妙なところはありますが、コストパフォーマンスも高く非常に面白い端末だと思います。動画再生機としてはローカル再生にしてもDLNA再生にしてもGalaxyTab(GT-P1000)を超えて最良のマシンだと思いました。液晶面がキズ付きやすそうなので保護シートを貼ったりケースに入れたいところですが国内で販売されているはずもなく、これから対応するものを探そうと思います。個人的にはこれでGalaxyTabは完全にお蔵入りな感じです。これだけのコストパフォーマンスの製品が日本であまり話題にならないのはやはり残念ですね。EMOBILE辺りが導入すればかなり話題を攫っていけると思うのですが…。A01HWよりこちらの方が値段も安く数段いい感じな気がします…。

 個人的にはArchos 80 G9を非常に気に入ったので、iPad2と双璧で利用していく感じになりそうです。年末から来年にかけて容量とCPU性能をアップしたバリエーションが提供されるのでそちらも楽しみなところです。フォント関連も含めてぜひとも国内での展開を期待したいところです。

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■EMOBILE Sony Ericsson Mini S51SE レビュー
 fansfansの「Sony Ericsson mini タッチ&トライ ブロガーミーティング」に参加して、イーモバイルから明日発売されるS51SEをじっくり触ってくることができたのでレビューを書いておきます。とっても小さいのにflash/GPS等グロスマfull機能で使いやすく明るく音もいい、まるで「種島ぽぷら」のような端末です(WORKING!!大好きですw)。これまでの端末ラインアップを見てもイーモバイルには小っちゃいモノ好きの方がいるような気がして仕方ありませんw 性能は今となっては突出したものではないのですが、低価格コンパクト機にありがちなCPUや動画再生能力に関する妥協がほとんどありません。ちょっとだけ厚めのグラマラスなボディも持ちやすく気持ちいい感じです。このサイズに1年前のハイエンドレベルの性能を凝縮したソニエリの開発力は素晴らしいと思いました。ということで若干のバイアスがかかりつついつものようにレビューしていきます。

■ハードウェア
 日本最小・最軽量と謳うだけあって最初の印象は本当に小さいなという感じでした。その割に厚みが少しあってちょうど手の平の中にすっぽりと収まってしまう感じです。背面がマットな感じのカバーになっているのですべりにくく、しっかりとフィットしてくれます(同梱のピンクとブルーのカバーはマットでなくつるつるした表面になっています)。前面の液晶は3インチHVGAということでS31HT Ariaと同じく480×320と解像度がやや粗いため精細感はなくドットは少し目立ちます。液晶自体は発色も良く明るく視野角も広いので非常に好印象です。Xperiaシリーズ同様のカスタムされたホーム画面のカラーがよく映えます。タッチパネルの反応も非常にいい感じで、動作もコンパクト機らしくないサクサクした操作感を味わうことができます。画面が小さいとアイコン類も小さくなりがちですが、後述する「4 Corner UI」のおかげで常用する操作は非常に快適に行うことができます。

 液晶下には最近のソニエリデザイン同様左から戻る・ホーム・メニューの順でボタンが並び、ホームが物理ボタン、他はタッチ式になっています。本体のコンパクトさからかRayよりは操作がしやすいと感じました。本体上面には左から電源・通知用LED・セカンドマイク穴があり、右側面には上からボリュームキー・シャッターキー、下面に左からMicroUSB(フタ付き)・マイク・ストラップホール・ヘッドホンジャックとなっています。右側面のキー類はクリック感もあり非常に押しやすい印象でした。左側面には何もありません。MicroUSBのフタは気持ち開けにくい感じで充電のたびにここを開けるのはちょっと面倒かなと思ってしまいました。背面にはカメラとLEDフラッシュ・スピーカがあります。下の方にソニエリロゴが配置されているのですが、小さいのに何かすごくインパクトがあります。ストラップホールとヘッドホンジャックがほぼ同じ位置にあるのは、ネックストラップ型ヘッドホンと相性が良さそうです。

 カメラの動作がかなり速いのが印象的でAFもシャッターもほとんどラグなく撮影できる感じです。液晶が小さいので画像の評価はできませんが、これだけ動作が快適というのはコンパクト機としては非常に素晴らしいと思いました。ちなみに液晶が3D対応ではないのですが、カメラは3D撮影に対応しており、パノラマ3D撮影などが可能になっていました。撮影した画像を本体で見ようとすると「3Dで表示する場合、3Dをサポートする機器を使用してください。」と出てしまうのがご愛嬌、3Dブラビアなどが必要になるということのようです。シャッターキーはカメラ起動もできるのですが、WP7端末のようにロック画面から直接起動できるような機能はなく、ロック解除後の使用中の状態であればシャッターキーでカメラに移動できるという感じです。最近WP7系に慣れてきてたのでちょっとここは残念な感じがしました。

 起動時間は以下のような感じです。まずますの速度ですね。
 電源長押し→11秒→ソニエリロゴ→13秒→ソニエリロゴ動画→6秒→EMOBILEロゴ
 →9秒→ロック画面(合計約39秒)

■ソフトウェア
 Androidバージョンは2.3.4、カーネルバージョン 2.6.32.9-pref SEMCUer@SEMCHost #1、ベースバンドバージョン 8x55A-AAABQOAZM-203028D-58、ビルド番号 4.0.2.A.0.58となっていました。日本語入力プログラムはPOBox v4.3ということです。標準で中国語入力にも対応しています。設定から開く項目にはSony Ericsson項目があり、Sony Ericsson端末用Facebookの設定やPC Companionのインストール設定などが可能になっています。テザリング設定も当然可能です。ソニエリということで映像にはブラビアエンジンの設定があり、音の設定にもxLOUDの設定が追加されています。特徴的なアプリではDLNA対応のConnected devicesやLiveWareマネージャー・SE Storeが初期状態でインストールされています。イーモバイル端末としてモバゲーやGREEなど国産アプリも標準でいくつか導入されていました。

 S51SEではホームが大きくカスタマイズされていて、海外のXperiaシリーズのコンパクト機に標準導入されている「4 Corner UI」が採用されています。これは画面の四隅にアイコンエリアを設けて、片手親指操作だけでほぼ必要な動作がシンプルに実行できるようになっている非常に優れたUIです。実際使ってみると画面のサイズが小さいおかげで全画面エリアを親指だけでカバーでき、小さい画面に対してアイコンの大きさなどが適切に調整されていることで誤操作をほとんどすることなく非常に容易に目的のアイコンを実行することができます。Androidではホームのカスタマイズ例は多岐に渡って存在しデザイン重視の事例が特に多いのですが、これほど機能と操作性がベストマッチしているカスタム例は希有ではないかと思いました。とても素晴らしいと思います。また、電源キー長押しで出てくる再起動ダイアログで、スクリーンショットが撮れるようになっているのはなかなかいいなと思いました。

 日本語入力のPOBoxも小さい画面に合わせて高度なカスタマイズがされており、不要なキーを非表示にしたり、次に入力可能なキー以外を無効にするなど小さい画面を有効に使う工夫が随所にされています。キーの大きさ自体も利用度合や位置によって細かく変化させてあるなど、日本人的心配りが見てとれます。画面が小さいことでキー操作自体が難しいという方向けに音声入力も用意されており、キー入力画面から簡単に音声入力を行うことができるように工夫がされていました(音声の変換効率は試していません)。POBox自体評価の高いプログラムだと思いますが、S51SE用の最新バージョンは本当に本体に合わせた工夫が素晴らしいと思いました。

 DLNA対応のConnected devicesはS51SEをサーバとして利用するもので、ブラビアを始めとするDLNA対応TVに端末内のコンテンツを表示できるようにするのがメインの機能のようです。他DLNAサーバのコンテンツを端末側で再生することができるかはわかりませんでした。

 画面は小さいのですが、一応MicroSDにテストファイルを入れて動画再生テストもしてみました。MicroSDからの再生結果は以下の通りでした。再生アプリはギャラリーアプリから標準動画プレイヤーです。mp4は全てWebOptimizedなファイルです。

ファイル:
  A) AVI DivX502 mp3 640×480.avi
  B) AVI H264 mp3 640×480.avi
  C) AVI Xvid Mp3 640×480.avi
  D) MKV 1280×720 x264 AAC.mkv
  E) MKV 1280×720 x264 AC3.mkv
  F) MP4 w BP3 480×270 H264 AAC.mp4
  G) MP4 w BP3.1 640×480 H264 AAC.mp4
  H) MP4 w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  I) MP4 w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
  J) MP4 w MP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  K) MP4 w HP3 640×480 H264 AAC.mp4
  L) MP4 w HP3.1 1280×720 AAC.mp4
  M) MP4 w HP4 1920×1080 H264 AAC.mp4
  N) WMV 24fps 640×480.wmv
  O) WMV 60fps 640×480.wmv
  P) MP4 60fps w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  Q) MP4 60fps w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
 ※mp4の略号 BP=Baseline Profile MP=Main Profile HP= High Profile 数字はLevel

MicroSDでのローカル再生
 F,G,H,J,K,Lは再生可能。Pは音声のみ再生可能。
 mp4以外はリストすらされず。mp4でも1080pファイルはサムネ表示も再生も不可。

 画面が小さいのに720pまでのmp4動画はしっかり再生可能でした。この辺りの妥協のなさは素晴らしいですね。画面が小さいのと粗めなのでキレイとは行きませんが、十分視聴には堪えると思います。ちなみに音声の方もいつものVictorのHA-FXC71-Bで確認してみましたが、Xperiaシリーズの中で一番相性がいいようで、xLOUD=オフ・イコライザ=フラットの設定で非常に明るく聞きやすいバランスのいい音で音楽を聴かせてくれました。イコライザはほとんど使わなくていい感じです。音像が締まった感じでなく広がりのある印象なので好みはあるかもしれませんが、音楽プレイヤーとしてもかなりオススメできると思いました。xLOUDの設定は本体スピーカではオンにするととても聞きやすく効果があるのですが、ヘッドホンではあまり効果が感じられませんでした。

■まとめ
 小さいコンパクト機が欲しいが性能にあまり妥協したくないという方にはバッチリな端末だと思います。100gを切る重さはネックストラップにもマッチすると思いますし、日常首から下げていてもあまり疲れない現状唯一のスマートフォンなのではないかと思います。イベントの中でソニエリの開発担当者の方々が工夫を語ってくださったのですが、その全てが非常に高度に凝縮されてうまく実装に反映されている素晴らしい端末だと思いました。ただ個人的には割と動画重視だったりするのでこの端末自体はすごいと思うのですが、画面の小ささ粗さ故に残念ながら購買意欲はあまりかき立てられませんでした。バッテリーも1200mAとやや小さめ(実質テザリング時間聞くの忘れた…)なので、大容量バッテリーが出るといいなとは思いました。多少厚さが増しても持ちやすさにあまり影響がなさそうですし、背面カバーも全取っ換え可能で大容量バッテリーが発売されやすいタイプだと思うので、テザリング重視の場合そこはぜひ期待したいところですね。

 イーモバイルとしては女性向け若者層向けの商品展開ということのようですので、ぜひスマートフォン界の「種島ぽぷら」というキャッチフレーズで販売してくれることを要望したいと思いますw

【追記】「全部入り」表記はガラスマと誤解されかねないので修正。テザリング時間は240分だそうです。

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■ASUS Eee Pad TF101 Transformer 簡易レビュー3
 ASUS Eee Pad TF101 TransformerがAndroid 3.2.1になったので変更点などを少しレビューしておこうと思います。もう少しすると後継機Transformer Primeも出るということのようですが、TF101にもAndroid 4.0が提供されると報道されましたので、新機種が出ても悔しくないもん!という感じですw それにしてもASUSは意外なほどにアップデートに努力してくれていて、本当に嬉しい限りです。買って良かった!

■Android 3.2.1の変更点
 公式な変更点のアナウンスはこちらにありますので参照してください。ここではその使い勝手について書いていきます。まず一番驚いたのはマウスカーソルがデフォルトで矢印ポインタから、ジェスチャーモードのサークルポインタに変更されたことです。これに伴ってキーボード接続時のタッチパッド操作の方向感が、画面タッチ時と違和感なく使えるようになり操作感が非常に向上しました。個人的にこれは非常に嬉しかったです。ピンチ操作や2本指スクロールなども、画面にサークルや軌跡が表示され今どこに何をしようとしているのか非常に判りやすくなりました。ノートPCの延長で使いたい人には違和感があるかもしれませんが、タブレットの延長でキーボードを使う感覚の人には非常に嬉しい変更です。

 またタブレット対応していないアプリケーションのための画面拡大表示機能も追加されています。アプリケーションによって自動判定で、アクションバーにアイコンが表示され任意で画面を切り替えることが可能です。全画面表示(Stretch to fill screen)と拡大表示(Zoom to fill screen)の2つの表示が選べるようになっています。ただアプリケーション側がこれに対応できていないこともあるようで、FireFoxではこの機能が働くのですが、Zoom選択した瞬間画面がブラックアウトして、Stretchを選択して元に戻しても適切な画面に戻すことができなくなりますので注意が必要です。アプリを強制終了するか端末を再起動しないと戻せません。また拡大表示した画面はフォントがボケボケに感じられるので、決して見やすいとは言えずあまり実用的な印象はありません。画面サイズの都合で使えないアプリが使えるかもしれないという程度だと思った方がよさそうです。Polaris Officeもバージョンアップされ表示互換性が増したということですが、この辺りは使ってないのでよくわかりません。

 更新されたAndroidバージョンは3.2.1、カーネルバージョン 2.6.36.3 android@Mercury #1、ビルド番号 HTK75.JP_epad-8.6.5.13-20110925でした。MobileドックバージョンもEP101-0231になっています。FSKARENもVer1.4.5HAS01002と最後の数字が僅かに上がっています。システム全体の動作は僅かにレスポンスが向上した感じがしますし、なんとなく液晶表示自体がキレイになっているような感じがします(フォントのレンダリング精度?)。

 一応例によってテストファイルを使って動画の再生試験をしてみました。DLNAサーバはMacOSX上のPlayback1.8.8。再生アプリはローカル再生はギャラリーアプリから標準動画プレイヤー、DLNA再生はTF101標準で導入されているDLNAアプリ「MyNet v8.1.1」での再生となります。mp4は全てWebOptimizedなファイルです。

ファイル:
  A) AVI DivX502 mp3 640×480.avi
  B) AVI H264 mp3 640×480.avi
  C) AVI Xvid Mp3 640×480.avi
  D) MKV 1280×720 x264 AAC.mkv
  E) MKV 1280×720 x264 AC3.mkv
  F) MP4 w BP3 480×270 H264 AAC.mp4
  G) MP4 w BP3.1 640×480 H264 AAC.mp4
  H) MP4 w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  I) MP4 w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
  J) MP4 w MP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  K) MP4 w HP3 640×480 H264 AAC.mp4
  L) MP4 w HP3.1 1280×720 AAC.mp4
  M) MP4 w HP4 1920×1080 H264 AAC.mp4
  N) WMV 24fps 640×480.wmv
  O) WMV 60fps 640×480.wmv
  P) MP4 60fps w BP3.1 1280×720 H264 AAC.mp4
  Q) MP4 60fps w BP3.1 1920×1080 H264 AAC.mp4
 ※mp4の略号 BP=Baseline Profile MP=Main Profile HP= High Profile 数字はLevel

MicroSDでのローカル再生
 D,E,F,G,H,I,J,K,L,N,O,P,Qは再生可能。
 Qはコマ落ち激しいがMicroSD次第で改善可能かも。(←OMAP4460でもNGなので無理そう)
 Mは再生不可。D,Eが再生可能になっているがEは音声出ず。aviは全て不可。

DLNA再生
 D,E,F,G,H,I,J,K,L,N,O,Pは再生可能。Pはバッファリングが頻繁で実用にならず。
 M,Qは再生不可。D,Eが再生可能になっているがEは音声出ず。aviは全て不可。

 今回MKVが再生可能になっていることが確認されました。AC3の音声は再生できませんが、AACなら問題ないようです。また追加でmp4 60fpsの動画も確認してみました。720pならローカル再生可能、1080pも再生自体は可能そうなのですが、残念ながら転送データ量の問題で60fpsの再生には限界があるようです。おそらくMicroSDやネットワーク接続の速度が速ければ1080p 60fpsでも再生は可能になりそうです。 OMAP4460でも1080p 60fpsは適切に再生できないので、高速なMicroSDでもTegra2ではちょっと無理そうな感じです(高速なMicroSDを持っていないので確認できていませんが…)。

■まとめ
 ASUSが着実にアップデートを提供してくれるので、TF101を使っていて本当に良かったと思います。用途が主に出張時に限られるのであまり頻繁に使っているわけではないのですが、もうちょっとメインに近く使ってみてもいいかなと思うようになってきました。次期Transformer Primeも非常に期待できそうでわくわくします。TF101より更に軽く軽量になっている上に4コア Tegra 3にはちょっと魅力がありますね。さすがに1080p HPも再生できるようになっているでしょうし早く見てみたいと思います。キーボードの品質次第では買い替えてしまうかも…。ASUSがAndroidタブレットを出すと聞いた時にはアップデートの心配をしたのですが、こうして非常に積極的に更新してくれるので、安心感信頼感が非常に高くなってきました。そういう観点でASUS製品はお勧めできそうです。TF101に満足していたので、SL101はまだ実機を見てもいないのですが、こちらもその内見てこようかと思います。

【追記】1080p 60fps mp4動画についてOMAP4460でも適切に再生できないようなので、Tegra2で期待させるような記述部分を修正

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■docomo GalaxyTab 7.0 Plus SC-02D ラウンジ版簡易レビュー
 docomoから発表になった新製品がスマートフォンラウンジで展示開始されているということでL-01Dに続き早速見に行ってきたレビューを簡単に書いておきます。展示機はL-01DやSC-03Dよりも多く3台は出ていたようです。タブレット端末の展示テーブルで試すことができるようになっていたのですが、テーブル反対側に展示されたGalaxyTab 10.1 LTEよりも注目はされているようでした。

 手に取った第一印象は軽くて薄くて持ちやすい!という衝撃でした。初代GalaxyTabを常用している身としては「やられた!」という感想が一番に出てきました。初代の時はもうちょっと薄かったらいいのにと思ったのですが、その希望通りの製品になっているという感じです。軽くなったおかげで縦持ちでも横持ちでも手にかかる負担はほとんど感じない上に、側面が薄くラウンドデザインに変わったことで片手で裏面からがっしりと鷲掴みも可能で、非常に持ちやすく好印象です。SC-01Cと比較して薄さで2mm薄いだけ、幅に至っては2mm広がっているにも関わらず、7インチのタブレットとして非常に理想的な持ちやすさだと思いました。本体形状はそういう感じでいいなと思ったのですが、液晶画面の解像度は1024×600で変わらずドット感が目立ってしまい惜しいのと、TFT液晶で輝度や発色は悪くないのですがなぜか残像感がかなりありちょっと残念な印象でした。残像感はカスタムホーム画面で画面をスライドさせた時に出るエフェクトとしての残像が、他の画面を見る時にも印象として残っているだけでハードの技術的な問題ではないかもしれませんが、一度気になるとどの画面でもわずかに感じ非常に気になってしまいました。タッチパネル自体の反応は非常にいい感じで問題はないと思います。

 本体の上面にはヘッドホンジャックのみ、右側面には上から電源・ボリュームキー・赤外線ポート、左側面には上からSIMスロット、MicroSDスロットがカバー付きであります。下面には両端にスピーカー、中央部に独自ドックコネクタが用意されています。初代と違って左右側面にインターフェースが振り分けられてしまっているので手帳型(バインダー風)のカバーケースだと使いにくそうな気がします。赤外線ポートはSamsung製家電製品のリモコンに使えるという用途で、アドレス交換等はできない仕様とのこと。国内ではほぼ無用の長物なのでリリースにはなくなっているかもしれないとのことでした。ドックコネクタのケーブルはSC-01Cと同じで、初代のものがそのまま利用できるそうです。Android3.2を搭載しているので液晶下にはタッチ式ボタンはなく、画面内に戻るボタン等が配置されることになります。設定で表示されるAndroidバージョンは3.2、カーネルバージョン 2.6.36-SC02DOMKJ4-CL566107 se.infra@SEP-69 #3、ベースバンドバージョン SC02DOMKJ3、ビルド番号 SC-02D-eng 3.2 HTJ85B 2DOMKJ4 test-keys SC02DOMKJ4となっていました。明確に開発途中のバージョンと判るようにだと思いますが、GalaxyTab 10.1 LTEの初期のものと同様に、画面を遷移する都度ランダムに画面に赤枠が表示されるようになっており、使っていてこちらも非常に気になりました。

 ホーム画面などはGalaxyTab 10.1 LTEなどSamsung製タブレットで共通な印象で、スクリーンショットボタンがあったり、通知領域のデザインもうまくまとまっているように思います。ただ設定などを開くと縦持ち画面のままでは、左に並ぶ項目の名称がほとんど表示上切れて非常に中途半端な印象になってしまっていました。縦持ちを標準としてハードが設計されているわけなので、縦の7インチ画面で適切に表示できる工夫は必要ではないかと思いました。この辺りは正式リリースまでにぜひ改善してほしいところです。展示スペースが厳しく数機種づつしか置けないなら、もうちょっと完成度を上げてからの展示にすればいいのにとちょっと感じてしまいました。

 起動時間は以下のような感じです。LTE端末より気持ち早いという感じです。
 電源オン→6秒→docomoロゴ→8秒→GalaxyTab 7.0 Plusロゴ動画→20秒→ロック画面(合計約34秒)

 SC-02Dの魅力はやはりその形状になりそうです。軽さ薄さに加えてラウンドデザインの持ちやすさに大きなインパクトを受けました。形状変更にも関わらずバッテリーも4000mAで初代と同じまま。確認はしませんでしたがケータイWatchの記事によると、タブレットユース専用のAndroid3.xなのに音声通話ができるように独自拡張がされているそうで、初代SC-01C同様に利用することが可能になっているようです。まだ開発途中ということで液晶残像感と7インチ向けのレイアウト修正がされれば、かなり魅力的な端末になるのではないかと思いました。SC-02Dではdメニューアプリは存在するものの、dマーケットアプリはなく、問題のメディアプレイヤーもアイコンが存在しない(動画アプリは存在するがアイコンが異なる)ことからIMEI送出問題の対象なのかどうかちょっと気になります。もし対象外なのであれば、安心してオススメと書けるのですが…。個人的には非常にインパクトを受けたので、MediaPadと非常に悩むところとなりました。もう少しファームウェアのバージョンが進んだところで再検討したいという感じです。引き続きチェックしたいと思います。

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■docomo Galaxy S II LTE SC-03D ラウンジ版簡易レビュー
 docomoから発表になった新製品がスマートフォンラウンジで展示開始されているということでL-01Dに続き早速見に行ってきたレビューを簡単に書いておきます。展示機はL-01D同様にこちらも2台のみ。今回発表された機種が多かったのでスマホラウンジ側でも展示スペースの確保が大変になりそうとのことでした。比較的評価も高く販売も好調な機種Galaxy S II SC-02CのLTE対応後継機ということでもう少し積極的な展示があるかと思ったのですが、そうでもないところに多機種展開しすぎでプッシュしたくしてもしきれない展示スペースの都合が見てとれます。

 SC-03DのポイントはLTE対応もさることながら、4.5インチに大きくなったSuper AMOLED Plus有機ELとNFCだと思います。輝度が高く非常に発色の強い画面はとてもSamsungらしい印象ですが、画面が大きくなったことでL-01Dを見た後では非常に粗くドット感が目立った感じがして、少し残念な印象になってしまいました。NexusOneやOMNIA7の有機ELと比較すれば同ピクセルで画素密度自体が上がっているためキレイにはなっているのでしょうが、如何せん画面サイズが大きくなったことで、同程度の印象…というよりはむしろ粗い感じがより強く感じてしまう結果になった気がします。ただ比較して気付くという程度で、通常利用する分には十分キレイな画面ですので、あまり気にならないのではないかとは思います。NFCについてはFelicaのように特に外観で判断できるマークのようなものはなく、導入されているアプリでも「タグ情報」というアプリが入っているくらいで、どのように利用可能なのか全くわかりませんでした。一応mixiがNFC対応端末向けに「mixi チェック」や「mixi チェックイン」というNFC対応POP広告連動のサービスをやっているらしいので、こうしたものが使えるようになるのではないかと思われます。

 ハード的には薄くて軽い印象はそれほど変わらず、ボタン類も非常にシンプルで上面にヘッドホンジャック、下面にMicroUSB、右側面に電源、左側面にボリュームキーと必要最低限という感じです。ワンセグはないのでアンテナもついていません。液晶下には左からメニュー・ホーム・戻るボタンが並んでおり、ホームは物理ボタン、両側の2つはタッチ式になっています。SC-03Dを使って最も気になったことが、このボタンが押しにくいことでした。スクリーンが大きくなって本体幅が広くなったことで片手持ち親指での持ち手反対側のボタン操作が非常にやりづらく感じました。特に左手持ちの時親指で本体右側にある戻るボタンを操作するのがとてもやりにくかったのです。右手持ちにすれば戻るボタンの操作に支障はありませんが、今度はメニューボタンが押しにくくなります。SC-02Cと比較しても3mmしか広がっていないはずなのにその3mmが致命的に使いづらく、何度か試行錯誤したものの安定したポジションが作れず、個人的にはこの端末の常用は難しいと感じました。欧米であればおそらく問題にならないでしょうが、スペック買いする場合を除いて日本ではひょっとするとこれが致命的になってあまり販売を伸ばせないのではないかと心配になりました。

 起動時間は以下のような感じです。Optimus LTEと同じくらいですね。
 電源オン→3秒→docomoロゴ→12秒→Galaxy SII LTEロゴ動画→22秒→ロック画面(合計約37秒)

 Androidのバージョンは2.3.6、カーネルバージョン 2.6.35.11-SC03DOMKJ4-CL663272、ベースバンドバージョン SC03DOMKJ4、ビルド番号 GINGERBREAD.OMKJ4となっていました。設定にはドコモサービス・モーション・ドック設定が追加されていて、ドコモサービス項目でドコモアプリパスワードが設定された状態になっているようで、ドコモアプリを起動しようとすると4ケタのパスワードを聞かれました。関連性がよくわからないのですが、ドコモサービス項目にはオープンソースライセンスという項目があり、ライセンスが表示されるようにもなっていました。ドック設定ではオーディオ出力設定が可能になっており、外部スピーカー設定が可能なことから、まだ詳細は見つけられなかったのですが専用ドックが発売される(国内で出るかわかりませんが)のではないかと推測されます。現状ではおそらくHDMI変換ケーブルSC01のための出力設定として機能するものと思われます。

 ちょっと驚いたのはシステムソフトウェアのアップデートチェックのためにSamsungアカウントの登録が必須になったようです。GalaxyTab 7.0 Plusでもそのような仕組みはなかったので、現在のところSC-03Dだけだと思うのですが、チェックのためのメニューをクリックした時点でアカウント登録のためのサインアップ画面に誘導されてしまいます。これはなんというか…微妙な印象ですね。

 Xiやdサービス関連についてはOptimus LTEの記事に書いたのでこちらを参照してください。個人的にはSC-03Dは画面がイマイチ&戻るボタン操作がしにくいという点でないな…という印象でした。Arrows X LTEとMEDIAS LTEの出来次第ではありますが、ひょっとするとこの機種が今回発売のLTE対象機種の中で一番販売に苦労するかもしれないなと思いました。戻るボタンの操作感はかなり重要だと思うので、左手持ちで常用される方は特に注意して確認される方がよいと思います。

 dサービスの微妙さも含めて、多機種多サービス展開をすることに気を取られすぎて、ひとつひとつの品質管理や全体マネージメントがおざなりになって来ているのではないかと、docomoの今後の展開がやや心配になってしまいます。しばらくの間注意して動向をチェックする必要がありそうです。

  

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■docomo Optimus LTE L-01D ラウンジ版レビュー
 docomoから発表になった新製品がスマートフォンラウンジで展示開始されているということで早速見に行ってきました。展示されていたのはLTE対応機種ではOptimus LTE L-01DとGalaxy S II LTE SC-03Dだけで、残りのArrow X LTE F-05DとMEDIAS LTE N-04Dは調整中だが今月中くらいの展示開始になるのではないかとのことでした。注目のGalaxy Nexusもまだ展示時期未定とのこと。展示台数もまだ少なくL-01DもSC-03Dも2台ずつ、少し残念でしたが個人的にはL-01DがLTE対応機種では一番注目していたのでじっくりとチェックしてきました。

■ハードウェア
 最も注目されるのは 1280×720 1677万色表示の4.5インチTrue HD IPSディスプレイですが、非常に美しい液晶でした。輝度もハデさがなく一見地味に見える発色ですが、その精細感と自然な印象は非常に好印象でした。ドット感はほとんど感じませんし、アイコンや字が非常に落ち着いた感じで見やすく疲れにくいと思います。フォントが標準で丸ゴシック系になっているのですが、この精細度なら明朝系でもキレイに違和感少なく表示できそうな気がしました。液晶画面下にはタッチ式ボタンが左からメニュー・ホーム・戻ると並んでいますが、非常に使いやすくなっています。4.5インチと大きいサイズの割に横幅がそれほど広がっていないのと、本体下部をホールドした時に指が届きやすいようにボタン類の位置が調整されているようで、ボリュームキーなども含めてほとんど違和感なく操作できるようになっていました。SC-03Dは画面が大きく幅が広くなった分ボタン類の操作が非常にやりずらく感じたので、個人的にはL-01Dではここが一番感心したところでした。タッチパネルの反応も良くぎこちなさはなく、非常に安定感を感じます。

 本体のボタン類は最小で本体上部に左からヘッドホンジャック・MicroUSB・電源ボタン・ワンセグアンテナ、左側面にはボリュームキー、右側面には何もなし、下部にはマイク穴のみととてもシンプルになっています。横置きでクレードルを使う想定なので右側面には何もないということになるのですが、ラウンジではクレードル自体は展示されておらず、どんな感じなのか確認することはできませんでした。カメラは背面上部中央にレイアウトされ、背面の真ん中やや下辺りにFelicaマークが表示されています。本体背面は全面を覆う感じのカバーになっており、樹脂製なのですがマットで滑るような感じはなく非常に持ちやすいデザインになっています。このタイプは大容量バッテリーが提供されやすい形状だと思うので、ちょっと期待したいところです。全体的に地味な印象になっているのですが、ホームボタンやカメラ周辺に金属的装飾がされていることで少し高級感を感じることができます。好みは分かれるところかと思いますが、個人的には好印象でした。

 カメラは810万画素で最大撮影サイズが3264×2448となっていました。カメラ周りの操作画面は若干野暮ったい印象で、設定できるオプションも豊富というほどではありません。連写やパノラマ・タイマーなどの機能的には揃っています。しかしながら、ISOの設定が100/200/400/AUTOしかないなど全般的にオプションの選択肢にやや物足りない印象があります。撮影自体は快速でフォーカスも早いと思いますし、画像も本体で見る限りキレイだと思いましたが、様々なシチュエーションで撮影することを考えると最近は裏面照射型CMOS搭載の機種が増えてきている状況ですし、カメラの基本性能部分に若干の物足りなさを感じるかもしれません。

 起動時間は以下のような感じです。
 電源オン→7秒→LGロゴ→8秒→docomoロゴ→3秒→Optimus LTEロゴ動画→20秒→ロック画面(合計約38秒)

 起動は決して遅くはないのですが、最近のWP7.5系やS42HWのようなAndroidでも快速起動する機種と比較するとやはりちょっと待つ感じはしてしまいますね。Optimus LTEのロゴ動画がスピード感あるものになっている分、それが何度も繰り返し再生される様子を見るのは微妙な感じです。

■ソフトウェア
 Androidバージョンは2.3.5、カーネルバージョン 2.6.35.11、ベースバンドバージョン L01D-MDM9200B-V08a-OCT-4-2011-XX 1 [Oct 4 2011 13:34:20]、ソフトウェアバージョン V08a-OCT-4-2011、ビルド番号 GRJ22となっていました。日本語入力プラグラムは iWnn IMEで Ver.2.1.4.jp-type2-ABC-dcm-01-LG-22となっています。ホーム画面やアプリ一覧画面はLGカスタマイズが施されており、こちらも比較的シンプルな印象のものになっています。ドコモ機種はプリインストールアプリが非常に多い印象なのですが、今シーズンの機種も同様で最初から70を越すものすごい数のアプリが導入されています。早くICSを導入してフォルダ整理するようにしてほしいものです。

 設定画面ではドコモサービス・ジェスチャー・外部接続というメニュー項目が追加されていました。無線とネットワーク項目にはWi-Fi Direct設定という項目が追加されており、SC-02Cから導入されている機能ですが、Wi-Fiデバイス間で直接のやり取りが可能になっています。外部接続項目にはLGの特色であるOn-Screen Phoneという項目があり、対応ソフトをダウンロードすることでWindows端末上でAndroid端末の画面操作が可能することができます。まだL-01D用のダウンロードページは用意されていないようですが、近いうちにこちらからダウンロードできるようになると思われます。

 今シーズンのdocomo機種からdブランドでコンテンツサービスが開始されますが、その中で物議を醸しているものにプリインストールされるメディアプレイヤーで、特定条件下(PlayReadyライセンス取得下とされている)で端末のIMEIをHTTPヘッダに入れて送信するというものがあります。残念ながら送出条件にはhttps等暗号化接続下に限定されることを明示するものが確認できず、IMEIが通信上で保護された状態であるかは不明と言わざるをえません。通信自体が保護されていたとしても、仮に取得事業者経由でIMEIが漏えいした場合、IMEIに依存した認証でサービス提供をする仕組みを利用する場合において技術的に成りすましされる可能性があり、当該サービスに個人情報を登録編集する機能が存在した場合個人情報が漏えいする可能性があります。アカウントは通常変更可能ですが、IMEIは買い替えしない限り変更はできません(ハックすることは不可能ではありませんが)し、IMEIが消せない以上転売することもできません(転売すればリスクが発生する)。非常にリスクが高い仕組みと言えます。これまでにもかんたんログイン等で同様の問題がわかりやすく指摘されていたのに、スマートフォンにまでこうしたリスクを敢えて持ち込むのは理解に苦しみます。

 PlayReadyはMicroSoftが開発した著作権保護技術DRMで現在SilverLightで利用されています。すなわち機種固有のデバイスIDを必須とする必然性はなく(通常PCにはそうしたものが存在しませんし)DRMのためにdocomoがIMEIを送出しなければならない理由はないということになります(何らかの識別符号で代替が可能と考えられる)。リスクの方が大きいと思われる現状の仕組みを考えると、docomoのメディアプレイヤーは使用しないことをオススメせざるを得ません。アンインストールできればいいのですがさすがにスマホラウンジで試すわけにもいかず、厳密な意味で起動禁止するため、無償で利用できる特定アプリ起動禁止設定を可能にするアプリを探してみたのですが、適切なものがないようで、企業向けのMDMツールか、有償のi-フィルターなどを利用する必要があるようです。L-01Dに限らず今シーズン以降のdocomoのAndroid機種を選択する場合には、こうしたリスクについて十分に注意をする必要があるということになります。ハードウェアの仕上がりが良いと思われるだけに非常に残念なことです。

■Xiサービス
 今回初めてXiの通話可能機種がリリースされたことで、料金面にも新しいコースが設定されています。詳細はケータイWatchのこちらの記事を確認いただくとして、今回のL-01Dには通常サイズのXiSIMが搭載されているのですが、これを既存のFOMA対応機種に挿してもサポート対象外ではあるが問題なく動作するとのことでした。APNはSPモードになるということで、FOMA機種でテザリングしてもXiのプランの上限が適用されるとのことでした。Xi対象機種のIMEI制限はないということになります。さすがに海外のSIMフリー機で使えますかとは聞けませんでしたが、利用できればかなり魅力的なプランになると思われるので試してみたい気はします。ちなみにLTE対応エリアは首都圏でもかなり狭いのですが、L-01D等のLTE対応機種ではLTEと3Gはスムーズに切替されるので通常の利用において切替を意識する必要は全くないということでした。実際の切替時に待ち時間が発生するのかどうか(auでWiMAXと3Gの切替ではそれなりにかかる)など詳しい部分は、少なくとも設定項目で明示的にLTEをオフにするような仕組みはないため、実際に移動して使ってみないとわからなそうです。

■まとめ
 個人的には価格次第の部分はありますが、購入決定かなと思っています。特にディスプレイ部は期待通りで非常にわくわくします。今後発売予定のLTE対応4機種の中では最も地味な印象ですが、実際に使ってみたサイズ感と安定感は非常に好感触でした。作りがシンプルなのも好みで、重さもほとんど気になりませんでした。バッテリーも1800mAと比較的大きいので、テザリングの動作時間と合わせて期待したいところです。動画の再生テストも可能なら事前にしておきたいところですが、スマホラウンジでは試させてもらえないのが残念なところです。動画再生時のメディアプレイヤーの実際のところの動作も気になるので、キャプチャしつつその辺りも確認できればと思っています。多すぎるdocomoのプリインストールアプリをうまく取り除ければいいのですが、その辺の試行錯誤も購入したら記事にしたいと思います。現状では正直なところdocomoの新機種はソフトウェアサービスのリスク部分で手放しにはオススメできないと思っているのですが、L-01Dのハードウェアとしては非常に好みで期待できるので、早くソフトウェア部分の懸念を解消できたらいいのになぁと感じます…。

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■Viber 2.1遂に連絡先平文送信を変更
 本日ViberがVer2.1になったということで改めて登録プロセスをキャプチャして、送信内容の確認を試みてみることにした。結論から言うと、これまでTCP4244宛てに平文で送信されていた自端末に保存された連絡先情報は暗号化されたようだ。以下キャプチャで確認できたことを箇条書きにて。

・確認したのは実装が後追いになっていたAndroid版
・001HTにてアプリ起動から登録完了までをキャプチャ
・001HTの連絡先には自番号他ダミーデータを登録
・通話試験は未実施
・登録方法はSMSによるパスコード受信
・Version表示は2.1.0
・登録時の最初のsecure.viber.comへのアクセスはhttps
・電話番号送信はhttpsで送信される
・SMS受信待ちになり受信すると自動でパスコード入力してactivate
・activate後、aloha.viber.com宛てTCP5242へ接続
・認証情報を送信するサーバ情報を受けとる(と思われる)
・指定されたサーバに認証情報をTCP4244で送信する
 これまでのプロセスだとここで連絡先情報が平文で送信されている
 今回は4244の通信内容はSSLではないものの暗号化は実施されているようだ
 少なくともただのBase64エンコードだったりはしない
 暗号強度は不明だが平文で簡単に見られるようになってはいない
・登録完了後viberの電話帳を開いたりいくつかメニューを操作してみた
・viberを終了させてキャプチャも終了

 Viberリリースからかなり長い時間がかかったが、やっと登録時の通信内容が平文のままという恐ろしい状況は改善されたようだ。iPhone版もおそらく同様の改善がされていると推測できる。実機テストがすぐにできない状況なのでここでは割愛。残念なのはアップデートのリリース文にはこうした対応について何も書かれていないこと。実は海外でも平文で連絡先が送信されてたこと、送信先がamazon EC2のサーバ上だったことに気付いていた人は多くなかったかもしれない。むしろ書くことで平文だったのか!とクレームになることを避けたようにも見える。この辺りは誠実さに欠けるという見方もできるが、まぁとにかく約束は果たされたということで、個人的にはやれやれという感じ。明らかな不安材料はひとつ消えたということで、後はViber社が宣言の通り誠実に会社とシステムとポリシーを運用してくれることを願う。

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