■au MOTOROLA PHOTON ISW11M レビュー
 ITmedia +D Mobile主催の「MOTOROLA PHOTON タッチ・アンド・トライ ブロガーミーティング」に参加してきたのでレビューを書いておきます。実はこの端末CEATECでももちろん見てきたのですが、こちらのイベントの予定が入っていたのであまり詳細にはチェックしなかったのでした。MOTOROLA社のプレゼンと合わせて実機にじっくり触り質問もできたのでとても良いイベントでした。

■ハードウェア
 手に持った第一印象は幅広でガッチリという感じでした。4.3インチqHDの大きな画面とそれを取り囲むメタルフレームが相当に強固でしっかりしたインパクトを与えてくれます。その割にひどく重く感じないのは背面カバーの樹脂素材のラウンドデザインと柔らかなマット感によるものかもしれません。手に馴染む感じですべって落としそうなこともなく、安心してホールドできると思いました。プレゼンにあった高級感まではパッケージングには感じませんでしたが、高品質であるとは思います。ディスプレイ自体は非常にキレイで視野角もとても広く表面反射もある程度抑えられているように感じました。タッチ操作の反応も安定感があり非常に好感触です。液晶周辺のメタルフレームが液晶面より少し盛り上がっているため、ホールド感は大振りな感じになってしまってるのですが、むしろ保護ケースを付けているかのような感覚で、ちょっと落としたくらいでは液晶面にはあまりキズがつかなそうな気がします。とはいえ素でそんな感じなので、ケースを付けたりすると女性の手には少し大きすぎるかもしれません。

 ディスプレイ下にはタッチ式ボタンが左から、メニュー・ホーム・戻る・検索と4つ並んでいます。本体の角が少し削れたようなデザインになっているためか、大きさの割に意外と操作しにくい感じはありませんでした。物理的なボタン類は本体右側面に上からボリュームキー・シャッターキー、どちらもボタンに筋がデザインされており使いやすい感じです。上面には左から電源・ヘッドホンジャック、右側面には上からMicroUSB・MicroHDMIとなっており、下部には背面カバーを空けるスキマがあるくらいです。比較的シンプルな印象ですね。ボタン操作も比較重め?でしっかりした印象でした。ISW11Mはクレードルが別途用意され、本体右側面のUSBとHDMI端子を挿入して利用できるようになります。後述しますがその状態でWebTopというMOTOROLAオリジナルのUIを利用することができます。

 バッテリーは1650mAということでスマホとしては大きめ、WiMAXテザリングで240分、3Gテザリングで210分という接続が可能になっているそうです。ただし通常待ち受け時間は210時間とちょっと短めで使い方によっては微妙なところかもしれません。カメラは背面800万画素・前面30万画素となっていましたが(注:当初200万画素と記載していましたがITMedia社よりカタログスペックの記載ミスと訂正メールをいただきました)、低解像度の割にはカメラ切替して前面カメラで表示された画面を見るとノイズも少なくキレイに見える感じがしました。CPUスペックの高さもあってか写真撮影時のAFも素早くスムーズに撮影が可能でした。ただしカメラで設定可能な項目は少なくオプションも少し寂しい感じで、カメラ重視の方には物足りないかもしれません。LEDフラッシュも2コ付きでスペックは悪くないだけにカメラ機能の向上はぜひ実現してほしいところです。

■ソフトウェア
 Androidバージョンは2.3.4,カーネルバージョン 2.6.32.9-00129-gd2042d5 w21120@zkr30Inxdroid20 #2、ベースバンドバージョン N_02.28.15P、ビルド番号 4.5.1A-1_KDI-92_LE-24となっています。ISW11Mに特徴的な項目としてシステムバージョン 45.1.24.ISW11M.KDDI.en.JPという項目と、WebTopバージョン WT-1.2.0-131_29という項目が追加されていました。日本語入力はiWnn IME Ver.2.1.4.jp-Moto-s03となっています。ホームも含めてUIはかなりカスタマイズされており、MOTOBLURというSNSやメールなどのコミュニケーションを統合するアプリと合わせてMOTOROLA製スマートフォンらしい味付けがされています。MOTOBLURについては他のレビュー等を参考にしていただくとして、個人的にはWP7のPeople HUBの方が使い勝手や見通し感はいいなぁと思ってしまいました。MOTOBLUR対応のおかげか、アカウントセットアップで登録可能なサービスは非常に多く、他機種ではあまり見かけないOrkut・LastFM・Photobuket・WindowsLiveなどが利用できるようになっていました。これはユーザには嬉しい部分かもしれません。

 カスタム面でちょっと面白かったのは、内部ストレージ16Gがアプリケーションストレージと内部ストレージに分割されていること。端末容量設定画面で別々に分かれて空き容量が表示されています。ちょっと見ると16Gじゃないの?って驚いてしまうかもしれません。おそらくWebTopの領域が更に別に確保されていると推測されます。また設定にあるアカウント追加メニューが単独アプリケーションとしても用意されており、アカウントという名前になっていました。バッテリーとデータ管理・HDMIなど独自設定メニューになっている項目もあり、使いやすくしようという努力が感じられます。アプリの名前も独自訳が多く、カムコーダーとかテキストメッセージングとか他のスマホではあまり見ない名前になっているものがいくつかありました。その中でも直球だなと思ったのはDLNAアプリで、まんま「DLNA」という名前でアプリになっています。実際の動作確認まではできなかったもののクライアント・サーバ・コントローラと3種類全ての役割が含まれているようです。UIが非常に残念で、必要最低限揃えました、とりあえず使えますという感じ。これについてはもうちょっと工夫してくれてもいいのにと思ってしまいました。ただ特徴的なところとして設定項目に「Xboxのサポート」という項目があり、明示的にXboxへのDLNA接続に対応しているようでした。

 さて、MOTOROLA端末でATRIXに初めて搭載され話題になったWebTopですが、今回ISW11Mに搭載されるに当ってUIやブラウザであるFirefoxが日本語化され日本語入力にも対応し、国内の利用者が問題なく利用できるように改良がほどこされていました。おまけ的位置づけで英語のままになるのではないかと思っていたのですが、UI自体は適切にローカライズされたことで一安心です。残念なのはWebTop向けに用意された各種Webアプリは英語のままということ。DropboxやCITRIXなどシンクライアント的に利用する上で重要なアプリは全て英語のままということで、ちょっと敷居が上がってしまうかもしれません。更にATRIXの頃から実装上心配だった「WebTop=Linux環境」のためセキュリティアップデートがちゃんと提供されるのか、安全のための実装が何か行われているのか」について質問をしてみました。ISW11MのWebTopに実装されているFirefoxは4.0.1でアップデートの予定は現在のところないそうです。WebTop内にアンチウイルス等のセキュリティ実装がされているかもわからないということでした。WebTop自体がUSでアップデートが提供されるようなら、日本でも対応していくが現在のところそうしたアップデートの予定はないとのこと。ARM環境で動くLinuxということで一般的なウイルス感染リスクは少ないと思うものの、比較的狙われやすいブラウザ環境がかなり古いバージョンのままで且つアップデートの仕組みが不透明というのは、ちょっと企業向けにどうこうアピールできる材料ではないのではないかと少し心配になりました。セキュリティ関係については調べてみるということでしたが、どのように公表されるのか興味深いところです(ITmediaの記事?)。とりあえずWebTopを利用しようとする場合には、必ずUTM配下の安全性の高いネットワーク内で試されることをオススメいたします。

■まとめ
 ISW11Mは質実剛健しっかりした拡張可能なハードウェア部分が最大の魅力かなと思いました。残念ながら動画のテストとか音楽の試聴とかもしてこれなかった(試験データ入ったSDを持っていくの忘れたorz)ので具体的な対応フォーマットまではわからないのですが、スタンド付きになっている&クレードルでHDMI出力を便利に利用できるようになっていることからも、メディアプレイヤーとして活躍する場面も多いのではないかと思います。専用クレードルは充電器・HDMIケーブル・リモコンもついて10/21に大手量販店経由8000円くらいで販売されるとのことなので、合わせて購入されるとISW11Mを利用する上でより活用の幅が広がることは間違いないと思います。クレードルにはHDMI1・USB3と拡張ポートがありますのでWebTopでPC的に利用することが容易になっています。一人暮らしでパソコンを占有して置く場所はないが大画面でブラウジングしたい場合などTV接続で活用できる組み合わせは魅力的になるかもしれません(ルータにセキュリティ機能必須ですが…)。HTC EVO ISW11HTが超低価格で販売されている状況下に投入されるので、購入する側も製品の特徴をしっかりと把握して、自身の利用シーンを具体的にイメージしながら選択できるといいなと思います。

【10/26追記】
なんかアクセスが増えたと思ったらITmedia記事からリンクしてもらっていました。イベント時の質問の回答があるのかなと思って確認してみましたが、WebTopのセキュリティに関する質問は記事では一切触れられておらずスルーされてましたorz リンクのために記事内容もチェックしていたと思われるのに、スルーされてしまったのは本当に残念。

 ブロガーイベントで分かった「MOTOROLA PHOTON」、本当の魅力 (2/2)
 http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/1110/25/news002_2.html

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スティーブ・ジョブズ氏訃報を聞いて

 本日スティーブ・ジョブズ氏の訃報がメディア各社で報道されました。iPhone4Sの発表の翌日に息を引き取られたということで、きっと発表の様子を見て安心できたんだろうなと思いました。おそらくiPhone4Sの発表の舞台に立った人達のほとんどがジョブズ氏の状態を知り、その上で発表に臨んでいただろうことは想像に難くありません。アップルの流儀に則り自信を持って恙なく行われた発表は、新しいアップルの強い結束の現れであったのだなと改めて感じました。少なくとも数年はティム・クック氏が安心してアップルを率いてくれるだろうと感じられました。

 私はビジネスパーソンとしてスティーブ・ジョブズ氏を最も尊敬しています。氏の体現した製品群にはとても多くの影響を受けました。コンピュータの本当の楽しさ嬉しさを教えてくれたMacintoshシリーズ、UNIXがどれほど可能性に満ちたプラットフォームであるか教えてくれたNeXTシリーズ、パーソナルデバイスの在り方を教えてくれたiPod/iPhoneシリーズ。どれも今の自分を形作るためになくてはならない一部であったと心の底から思うことができます。特に今仕事を支えている知識と興味と製品思想を与えてくれたMacintoshとNeXTを生み出してくれたことには感謝しかありません。今でもNeXTCube+Dimension Systemは大切に保管しています。そしてMacやNeXTが繋いでくれた人脈や交流は本当に得がたいものでした。

 氏の訃報を聞いても不思議と悲しい気持ちにはなりませんでした。来るべきものがきた、と感じるのと同時に前述のようにアップルは大丈夫なんだなという感覚を感じました。氏が世界に問いかけたコンピュータやソフトウェアの在り方はまだまだ氏のビジョンの一端しか実現できていません。これからも多くの方がその実現に向かって努力を続けていくのだと思います。IT業界に関わるものとして、人を助ける道具としてのコンピュータの理想に向けて、自分自身が受け取った感銘を忘れることなく、自身の信じる仕事に努力していきたいと思います。そうした姿勢こそが氏より学んだ最も大切なことだと思うので。

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